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そこからは、登りもあれば下りもあるという感じ。
送電線を越えたあたりから、道が良くなった。
鉄の網で階段が作られているところもある。
ただ、階段の方が楽という訳では無い。
自然な道だと、登り方で歩幅を狭くしたり、段差の高さを工夫出来たりする。
でも階段は、必ず一定以上の段差を要求される。
栗原さんがとっても大変そう。
個人的には、自然な道の方が楽だと思う。
でも尾根道だから、所々景色がいい。
30分くらい歩いて、また栗原さんが無口になりかけたところで。
「ここが最初の山頂、乳頭山山頂です。狭いから本格的な休憩は、もう少し先でしますけれど」
木々が茂っていて、あまり明るくない。
人も一杯いるし。
でも一方向だけ、視界が開けていて遠くまで見える。
「あれが横浜ベイブリッジ、あそこが千葉市、あちらが千葉の山って感じかな」
「結構見えるものですね」
なお栗原さんは無口だ。
「ほれガソリン」
先輩から、今度は小さいパック入りゼリーが回ってきた。
これもいいな。喉にいい感じ。
栗原さんもちょっと機械的な動作で食べている。
手がふらふらしているので、ゴミだけさっと受け取った。
「人が多いので、少し下りたところで休憩します。もう少し頑張って」
栗原さん、一応頷いた。
そんな訳で。今まで稼いだ高さが勿体ない位、下りたところで。
やっと小休止した。
栗原さん、ぺたっとレジャーシートに伸びる。
◇◇◇
そんな感じで更に歩いて。
次の休憩で昼ご飯。
「ここは古戦場だから、首無し武者が出るらしい」
なんて先輩が脅して。
「私が見る限りは、見えないようです」
なんてわからないつっこみを、竹川さんがして。
そこからはずっと下りだった。
下りて下りて下りて、という感じ。
登りより下りの方が、何気に足の筋肉に響くというのに気づいたころ。
やっと人家の屋根の高さあたりまで下りてきた。
そこで小休止。
例によって栗原さんが座り込む。
ラップで包んだキウイフルーツを、先輩が配ってくれた。
寮で切ってきたらしい。
「本日のスペシャルな差し入れ。心して食え」
確かに。
これは異常に美味しい。
「あー」
何か栗原さんから、ため息のような声が漏れている。
ゾンビが少し生き返った、という感じだ。
先輩が宣言する。
「ここが最後の休憩だ。ここから目的地までは、ゆっくり歩いても30分かからない。
最後の坂以外は、全部ゆるい下りだ。ペースもなかなか順調に来ている。
目的地には風呂もシャワーもある。だから頑張るぞ」