コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あれから予想通り獰猛な謙太を回避しし、彼は少し落ち込んでいたもののご飯を食べて話をしたらいつも通りに過ごせた。
私はドラマのようにタイムループしたのかただの壮大な夢だったのか。
夢だとしたら私はあの時急に倒れた。過労と謙太の死のショックで? なんて私の体はか弱いのだろうか。
私はお皿を汚れを落として軽く水洗いして食洗器に入れながら考える。これから確か夢? の通りだとすれば社内での新システム導入と新企画のダブルリーダーを同時進行。
こんなに激務なのは前の職場や学生時代のバイトがブラックだったからそれに比べて今の会社の方がちょいとホワイトな会社だから大丈夫って思ってたけどやはりブラック企業であって、さすがに人数不足とか自分の断れなさがいけなかった……。
それに疲れていても数打てば当たると謙太の誘いを応えて睡眠時間も削ってしまった。でも人数不足になるのは待ったなしだもん。はぁ。どうしよう。
「どうしたの、ため息ついちゃって。あっ、生ごみ、コンポストに捨てるね」
「ありがとう。ちょっとねぇ……」
謙太は嫌がらず生ごみ処理もためらいもなくしてくれる。私は同僚の愚痴をたまに耳にするけどそのの夫は生ゴミどころかそのまんまで散らかすし、それ以前の問題で家事なんてしてくれないだって。仕事してるからって。はぁ。
一緒に暮らしているのに家事の分担をしないだなんて。でも分担するのは当たり前とかあえてしないとかそれは家庭それぞれよね。そんなこと言うものではない。
「仕事の事で悩んでいるのかい? こっちにも話来てるけど勤務システムの新しいソフト立ち上げるらしいじゃん。僕の会社もそれセールスに来られたけどもうシステム構築していたし……今から変えるの大変じゃん」
「話が早い、さすが。うちも前から導入しないのかなぁって思ってたけどさぁいまさらだよね」
「しかもその導入の先導する仕事ってさ、普通デザインチームでやるものではないよ」
「しょうがないよ、うちは産休育休や時短で出入り激しいから他の企業との商談して何かあって穴抜かすよりいいんじゃないの、こういう仕事」
「そうなのぉ……」
謙太とは事の話も波長が合うし彼はお姉さん二人がいるからか男女平等、それ以外にも何に置いても中立だから嫌味には聞こえないしおかしい事にはおかしい、これはいいとか偏った意見じゃないから本当に話していても楽である。
だが決まっていることは決まっているわけでどうにかしなくてはいけない。でも考えていても無駄だ。
今日はもうしなくていいわけだから早く寝てあとは職場で考えよう。謙太は少しもぞもぞしているけども申し訳ない。温存しておいて。明後日まで。
次の日の朝。謙太はまだ寝てい付けていたテレビをふと見ると
「朝活で健康ライフ!」
と朝早くからにこやかにニュースを読んでいた女子アナがスタジオから離れてスーツからトレーニング着を着て体操をしている。……朝活、かぁ。
あっ……そういう手が。
私はその足で謙太の寝ているところに行く。
「起きてよー謙太」
「えぇーまだ時間じゃないよ」
寝起きの謙太はちょっと子供のようだ。布団の中でスマホ握りしめて寝ていたらしい。そういえばあまりスマホ依存していなかったけどこういう状況よく見かけたなぁ。
何を見ているか分からなかったけど互いに干渉しないから……。
「眠いのにごめんね。頼み事聞いて欲しいな」
「は、はい……」
「最近出社の時間まで寝ているけどさ、早く起きて朝活しようよ」
「朝活?」
「コーヒータイムでもいいけど、ストレッチとかウオーキングとかさ。最近忙しいから体なまっているよね?」
「は、はい……」
私はちらっと見えた謙太のおなかの肉をつまんだ。突然されて驚いてるけど現実を把握したらしい。昔よりも太った。もう少し締まっていたのに。
互いに忙しくてジムも休会中。私も人のこと言えない。
健康な体と妊娠しやすい体にするには運動も必要である。
「だから仕事が遅くても謙太も早く起きて一緒に運動しようよ」
ってかなり無理矢理感もあるがきっと彼なら良いよって言ってくれるかもしれない。……だが謙太はうつむいている。
……ダメだったか。
「うーん、本当は寝たいけどね。よく考えたら梨花ちゃんも頑張って朝早く起きて家事をしてくれているし。健康の為になるなら起きます」
よし! でもあなたは夕方や休みの日も家事してくれているのに申し訳ないけど朝もあなたの力が必要なの。
「じゃあ朝からベッドの中で運動しよう」
「キャッ!」
そう来るかっ……、謙太は昨晩の力を持て余せていたのか。押し倒されて布団の中で暴れだすモンスターには私は何もすることが出来なかった。
結局終わった後、謙太はまた寝てしまって私は少し遅刻した。
まぁ、明日から。てことにしよう。少しずつ変えていけばいい。
あれが本当に夢であるのであれば。