ぺいんとさんが入院して数日経った。
僕はぺいんとさんのいないつまらない学校生活を送っている。
ク「あ、しにがみくん!おはよう!」
し「おはようございます……!」
ク「……………、大丈夫!ぺいんとは必ず戻ってくるから!!」
し「!、そうですよね!!」
僕は何度も、ぺいんとさんなら大丈夫!、と頭の中で自分に言い聞かせた。
だけど不安が収まることはなかった。
放課後、病院に行ってみようか迷ったが、行きすぎると迷惑になるかもしれないと思い
今日は真っ直ぐ家に帰ることにした。
視点 kr
静かな病室には、機械音だけが鳴り響いていた。
看護師「あら、クロノアくん!今日も来たの?毎日来てて偉いわねぇ!」
ク「そんなことないですよ……!笑」
看護師「ぺいんとくん…まだ起きてないの……?」
ク「はい…」
俺はぺいんとを見つめた。目を覚ます気配はない。
看護師「はやく起きると良いわね……」
ク「そうですね…」
看護師「じゃあ面会時間あと15分くらいだから…!気をつけて帰ってね!」
ク「はい……!ありがとうございます…!」
そう言うと、看護師さんは病室をそそくさと出ていった。
『はやく起きると良いわね』
正直俺はこのままでもいいと思っている。
俺はしにがみくんを追っているときのぺいんとが嫌いだ。
ク「何で俺を見てくれないの……?ぺいんと……」
ぺいんとの目線の先にはいつもしにがみくんがいる。
俺がどれだけアプローチしても、目線の先は変わらない。
ク「ごめんね…好きでいることを諦められなくて……」
俺はいつも無意識にぺいんとを目で追い、無駄だったとしても
触れれば好きになってくれるかもと期待をする。
そんな自分が哀れだ。
ク「じゃあ…また来るから……」
俺は椅子から立ち上がった。
ク「ぺいんと、愛してる」
それだけ言い残し、重い足で病室を出た。
廊下に出ると、ともさんが立っていた。
と「こんばんは!」
ク「ともさん!こんばんは!」
特に話すこともなかったので、そのまま横を通りすぎようとした。
が、通りすぎる前にともさんに話しかけられた。
と「あの…一緒に帰ってもいいですか?」
ク「全然大丈夫ですよ!」
と「ありがとうございます!!」
嬉しそうに歩くともさんを横目に、俺はエレベーターに乗った。
と「クロノアさん」
ク「はい?」
俺の名前を呼びながら近づいてくる。
狭いエレベーターの中で俺はすぐに角へ追い込まれた。
ク「あの…どうしたんですか……?」
と「その……あの時はごめんなさい!」
ク「え?あー……もう過ぎたことなんで!気にしないでください!!」
と「だけど………」
ともさんがぐいぐい近づいてくる度に後ろに下がっていると、
ついに背中が壁についてしまった。
と「僕…」
ともさんが話を始めようとしたとき、チーンと音がなった。一階に着いたのだ。
ク「一階着いたんで…離れてください!」
そう言ってともさんを避け、出口まで早足で向かった。
正直話の続きを聞きたくなかった。思い出したくなかった……
と「ちょっと待って!!」
俺はともさんを無視して病院を出た。
ともさんから逃げるため、俺は走り出した。
だけど、すぐに追い付かれて腕を捕まれてしまった。
と「待ってください」
ク「……………」
俺が思っていた以上にともさんは、足がはやく、力が強かった。
と「クロノアさん、ぺんちゃんのこと好きですよね?」
ク「え…なんでぺいんとのこと知って……」
俺はゆっくり振り返った。
と「ぺんちゃんは僕の親戚なんで!」
少し微笑みながらそう言った。
ク「なるほど…だから知ってたんですね」
と「昔よく一緒に遊んでましたから!」
ク「そうですか……あの…そろそろ…」
と「まだもうちょっと待ってください!」
俺は諦めて大人しく話を聞くことにした。
と「あの時…僕、クロノアさんに振り向いてほしくて、女子と仲良くしてたら
嫉妬してくれるかなって思って……ほんとにごめんなさい」
ク「別にもう気にしてないですよ……!」
と「じゃあまたやり直してくれませんか?
……多分だけど…ぺんちゃんとうまくいってないですよね…?」
ク「……………」
そんなこととっくのとうにわかってた。
何をしてもきっとぺいんとは振り向いてくれない。
ク「だけど僕は…」
言いたいことが言えない。いや、言いたくなかった。
と「無理に言わなくていいですよ」
ク「はい……」
ともさんを見ると、笑っているがどこか悲しそうな、そんな表情をしていた。
俺は目を丸くした。あんな表情をしたともさんを見たことがなかった。
と「クロノアさん…愛してます」
そう言うと、ともさんは暗闇の奥へと姿を消した。
コメント
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うわァァァァァ!!ともさんもクロノアさんも今の所報われないぃ!!てかぺいんとさんんん!!起きてぇ!しにーとノアさんが待ってるわよ〜!!