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夢を見た。


僕の瞳に映るのは、赤い薔薇、透き通った流れる水、機械の作動音。


赤い薔薇を手に取った。


するとコウモリがいきなり飛んできて、薔薇を取って行った。


代わりに、手には四葉のクローバーが握られている。


流れる水は紅に染まり、機械の作動音は途切れる。


そして、誰かの高笑い…。




「…ハッ!!!」

僕はベッドから飛び起きた。

汗が滲んだ手のひらを、僕はじぃっと見つめた。

「…夢、なのか」

立って、制服に着替える。

(なんであんな不可解な夢を見たんだ…? 夢の意味もよくわからないし…)

髪の毛をとかして、廊下に出る。

しん…と静まり返って、怖い。

その時、隣の部屋の扉が開いた。

「っ、誰!?」

僕は咄嗟に拳を音がした方向に突き出した。

待って、監督生サン! 敵じゃないから、拳を向けるのをやめてくれないかな…?」

音の正体は、エペルだった。

「え、エペル…」

「よく眠れた?」

「いや、僕は全然…不可解な夢も見たし」

「僕も! 変な夢を見たんだ…。」

「どんな夢?」

「タコを捌いて、ヴィルサンに自慢して褒められる夢…」

「変じゃないじゃん…」

そんな話をしていると、目の前の部屋から人が出てきた。

「おぉ、ムシュー・姫林檎! トリックスターもいるじゃないか! オーララ!!」

「ルークサン! おはようございます!」

「よく眠れましたか?」

「ノン! みんなが私の目の前から消えてしまわないか心配で心配で、眠れなかったさ!」

「えっ!? そんなことしたら、クマができちゃうんじゃ…!?」

「そのために、お手洗いにきたのさ! メイクで隠したのさ!!」

「なるほど…メイクで隠す手があったか…」

エペルとルーク先輩の話をぼんやり聞いていると、放送が入った。


『good morning! 現在時刻は午前6時37分ですよ! 寝ている人は起きてくださいねぇ!!!』


「…偽学園長。」

ルーク先輩の目が細くなる。

エペルは俯いて、拳を固く握りしめた。


『今から朝食を食べますよ! …あっ、毒などは盛っていないので安心してくださいねぇ。起床して、準備が出来次第、一階の一番奥にある食堂に集まってくださいね!!』


放送は終わった。

「食堂だって…。」

「今から行くかい?」

「行きましょう。ずっと部屋にいれば、何をされるかわかったもんじゃないですから。」

僕たちは、一階の食堂に向かった。




食堂に向かうと、もうみんな席についていた。

よっぽど早起きしたのだろう。

「…みんな早いですね」

僕が一言。

「もしかしたら今日が最後かもしれないのに、全然眠れなかったんだ。若様をお守りするためにも、生き延びねばならないというのに…!!!」

セベクが拳を大きくテーブルに振り下ろした。

ダンッという大きな音と共に、フロイド先輩の声が響いた。

「死にたくねーし、死ぬ気もねーし。死にたくないんなら死ななきゃいいんだよ」

みんなは、フロイド先輩のそのポジティブで前向きで、ちょっと乱暴な言葉に驚いていた。

「何を言ってるんスか!? この中に人狼が三人いて、その三人に裏切られて殺されるんスよ!?」

裏切り者を片っ端から殺せばいい。この時点で一番動揺してる奴が人狼か内通者、恋人なんでしょ、金魚ちゃん?」

「どうして僕に聞くんだい? …まぁ、仲間を疑うのは抵抗があるけど、そうなるね。」

僕は俯いて席に着く。


『みんな集まりましたね? それでは、朝食をいただきましょう。』


目を瞑ったメイドたちが、美しく盛り付けされた朝食を持ってきた。


『本日の朝食は、とろけるチーズをのせてこんがり焼き上げたトーストと、一から手間暇かけてつくった自家製コーンポタージュです。』


トースト…食べるの久しぶりだな。

コーンポタージュを口に運ぶと、素材本来の美味しさを最大限に引き出したコーンの甘味が口の中に広がって消えていった。

トーストも、自分にぴったりな焼き加減で、外はサクッと、中はモチッとして絶品だった。

他のみんなも、無我夢中になって食べ進めている。

これから人狼ゲームをするということを忘れてしまいそうな、のどかな朝食。

一生こののどかな時間が続けばいいのに、と願うけど、時はすぐに去ってゆく。


『皆さん、朝食はどうでしたか? ヴィル・シェーンハイトさん、感想をお願いします!』


「今朝食べたトーストは、私がいつも仕事で泊まるホテルの何倍もの美味しさだった。コーンポタージュも、甘すぎず薄すぎない、絶妙なバランスだったわ。簡単に言うと、とても美味しいわ。」

「絶対マジカメにアップしたらバズるじゃ〜ん…もったいな〜い」

「確かに、人の子がつくった料理とは思えない美味さだったな。」

「これなら、モストロ・ラウンジで商売できそうですね…偽学園長さん、後でメイドをお借りしても?」


『また後でですよっ。…それでは、大広間に参りましょう!!』


みんなが席から立ち上がり、大広間へ移動を始めた。



誰もいない世界の中で ツイステ×人狼ゲーム

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