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五条悟の死から数時間、鋼谷は再び立ち上がった。疲弊しきった体、痛む筋肉、そして五条の死に伴う深い悲しみ。それでも、鋼谷の瞳に宿るのは、決して揺らがない決意だった。彼の背中には、五条が残した遺志が重くのしかかっている。

「五条の意志を無駄にするわけにはいかない…」

鋼谷は静かに呟き、ゆっくりと手を伸ばした。その目の前には宿儺が待ち構えている。宿儺は冷ややかな視線で鋼谷を見つめ、口元に薄く笑みを浮かべる。

「どうした、鋼谷。もう力尽きたのか?お前の異能も、五条悟と違って、大したことはないだろう?」

宿儺の言葉には挑発的な響きがあったが、鋼谷の目には揺るぎない決意が宿っている。その一瞬、鋼谷の周りに異能の力が集まり始める。その場に渦巻く気配は、もはや異能ではない。

「お前は何も分かっていない。」

鋼谷は冷たく言い放つ。彼の目が不意に鋭く輝き、手のひらに集まる異能のエネルギーが加速度的に増していく。鋼谷が使うその異能は、単純な力の集約ではない。それは、五条悟が教えた「無限」の使い方、そして宿儺の「虚無」に対抗するために封印されていた力だった。

「お前を完封する力は、もう手に入れた。」

鋼谷がそう言った瞬間、周囲の空間が歪み、異能の力が爆発的に解放される。その力は宿儺が操る解をも打破し、無限の空間を圧倒する勢いを見せる。

宿儺は目を見開き、少しだけ驚きの表情を見せるが、すぐに冷笑を浮かべた。

「ほう、そんな力を持っていたか…だが、それが俺に通用すると思っているのか?」

宿儺が再び両手を広げ、虚無の手を繰り出す。目の前の空間が一瞬で崩れ、全てを無に返すその力に鋼谷も身構える。しかし、鋼谷の力は予想以上に強力で、宿儺を完全に打ち破り始める。

「無限の空間に、限界を設定してみろ!」

鋼谷の叫びと共に、彼の力が爆発的に膨れ上がり、宿儺の虚無の手が全て歪み、弾ける。虚無の力が鋼谷のエネルギーに飲み込まれ、瞬く間に空間全体が反転し、元の形に戻る。

宿儺の顔に明らかな驚愕の色が広がる。

「まさか…こんな力を持っていたとは。」

鋼谷は息を呑みながらも、決してその目を宿儺から外さなかった。その目は、ただの怒りではない。五条悟の死を受けて、確信に変わった信念の色が浮かび上がっていた。

「終わりだ。」

鋼谷は力を最大限に引き出し、宿儺に向かって一歩踏み出す。

その瞬間、宿儺は震えながら後退し、虚無の力が完全に失われる。宿儺はその姿を消し、鋼谷の圧倒的な力の前に立ち尽くすことができなかった。

宿儺の目には恐怖の色が浮かび、彼はついに力尽きて倒れる。

鋼谷はその場に立ち、宿儺の姿が消えるのを見届ける。戦いが終わったことにほっとしたような表情を見せるが、その胸中には新たな疑念と不安が渦巻いていた。

「これで終わりじゃない…五条が見たかった未来は、俺が引き継がないと。」

鋼谷は静かに呟き、目を閉じた。そして、新たな決意を胸に、錆の都の再建に向けて歩みを進めるのだった。

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