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目覚めると、謎の部屋にいた。
状況を理解するまでに時間はかからなかった。なぜなら、散々似たような事例を見てきたからだ。
俺はまず部屋中を見渡して例のブツがないか確認すると、真っ直ぐにドアへと向かった。案の定、そこには貼り紙があった。内容も予想通りだった。
「✗✗✗しないと出られない部屋」
最後の望みに賭け、部屋の壁やドアを殴ったり蹴ったりした。やはり駄目だった。
部屋には俺含め男2人。つまり俺らを閉じ込めたやつはそういうモノが好きな奴だ。イイ趣味してんじゃねーか。だが俺まで巻き込まれるのは勘弁だ。
ギルベルト「なあそこのお前、さっきから一人で何やってるんだ?気が狂っちまったか?」
こいつの名前はギルベルト。俺の先祖にあたるプロイセンの概念そのものだ。
ド「大丈夫だ、気は狂っていない。今までに散々似たような体験したし、事例も沢山見たり聞いたりした。だから、本当に予想が合ってるか確かめていただけだ。」
ギルベルト「ふーん…で、これは何の部屋なんだ?」
言いづらい。だが、言わねば出られない。
ド「✗✗✗しないと出られない部屋だ」
ギルベルト「✗✗✗!?!?」
ド「そうだ、✗✗✗だ」
ギルベルト「✗✗✗!?おまっ…正気か?」
ド「✗✗✗だ、俺は正気だ、何回も言わせるな」
ギルベルト「だってよ…見ず知らずの、しかも何者かも安全な奴かも分からないやつと✗✗✗するだなんて…」
ド「お前の気持ちは分かるが、こういうのはとっととやっちゃった方が早いんだ。申し訳ないが……寝転がってくれないか?」
ギルベルト「え、俺がそっち側なのかよ」
ド「悪いか?」
ギルベルト「俺にもプライドっちゅーものがあるんだよ…」
俺だってプライドがある、と言い合っている内に何分すぎたのだろうか。これも俺の92の性なのか何なのか、さっさとこれを終わらせて、まだ終わっていない仕事を終わらせたくなってきた。だが、目の前の嫌な仕事をまずは片付けなくてはならない。
とうとう俺らはベッドや床に寝転がり、深いため息をつき、この真っ白な豆腐の中のような空間には沈黙が流れた。
ギルベルト「……なあ、幻聴かもしれないけどさ」
ギルベルトはやがて沈黙を切り裂くように少し希望を持った声、あるいは少し怯えたかのような声で話しだした。
ギルベルト「あそこの壁の方から音が聞こえねえか?」
最初は俺はギルベルトの気がおかしくなって幻聴が聞こえていたのかと思ったが、よく耳を澄ませてみると確かに聞こえる。しかも、なんだか聞きなじみのある音だ。
なぜだ、なぜ今まで聞こえなかったんだ。
先程増築されて新たに人が投入されたというのか。
ふと思い立った俺は、気付けば音のする方の壁を殴ったり蹴ったりしていた。
ギルベルト「お前…また殴っているのか?意味無かったんじゃねーのか?」
ド「いや、もうすぐで破壊できる!お前も手伝ってくれ」
ギルベルト「おおそうか?なら仕方ねーな」
2人で壁を殴ったり蹴ったりしていたその時、壁は音を立てて突き破られた。それも、鉄パイプのようなものによって。
ギルベルト「は…?あ…あ…」
怯えるのも無理はない。だが、怯えようが尋常じゃなかった。
その後も向こう側から壁は破壊されていき、隔てていた壁には大きな穴が空いた。
やはりそうだ、聞きなじみある声がしたんだ。やはりこいつだった。だが、見慣れないやつもいた。
???「あっ、ギルベルト君〜!」
ギルベルト「げっ…」
ロ「お前…居たのか」
ド「目が覚めたら、な」
密室。男4人。しかも今度は互いに知り合いがいる状態。
少しばかり希望が見えたが、その希望はすぐに砕け散った様だった。
イヴァン「あ、始めましてかな?ごめんね、驚かせて。僕はイヴァン。ギルベルト君の仲間だよ。」
先程壁に鉄パイプのようなものを突き刺したこの男はイヴァンと名乗った。どうやらこいつも92の概念そのもののようだ。よく見ると、鉄パイプではなく左手に蛇口を持っている。
イヴァン「うちのギルベルト君、迷惑かけてない?ごめんね、回収していくね」
ギルベルト「み゜ゅ゜」
イヴァンの付けているマフラーが、自我を持ったかのようにギルベルトに巻き付いた。少し恐怖を覚えた。
イヴァン「じゃあ、そっち2人も楽しんでね!」
そう言い残し、イヴァンとギルベルトの2人は向こう側へと去った。
ロ「怖ぇな、あいつら」
ド「だよな」
ロ「なんか気まずいし…俺らはさっさと出ようぜ」
ド「賛成。ほら、とっととやれ。」
ロ「はいはい」
俺らは特に何もお互い変な感情も持たず、やることをやってさっさと出た。不思議なことに、二部屋を隔てていた壁は壊されていたはずなのにいつの間にか元に戻っていた。
外から見るとすごいな、これ。まるで豆腐建築のようだ。それだけではない、外には監視本部らしきものがあり、中の音を盗聴できるものがあった。
勿論俺らは考えることが同じだったようで、早速盗聴してみた。
ロ「…おいおい、これ大丈夫か」
ド「そういう楽しみ方だろ……まああんなに温厚そうなあいつがあんなことするようなやつなのは意外だが…」
中からは見た目から想像もつかないような物騒な音が聞こえた。56し合いをしている、と言われてもおかしくない程だ。
例をあげると、首をかなりギュッと絞められていたり、嗚咽していたり、サイコパスな◯人鬼のような笑い声が聞こえてきたり、鎖に繋がれているかのような音や平手打ちの音などなど。そんな中、愛を囁く言葉まで聞こえてくる。
一回終わったからか、ドアの鍵が開いた音が聞こえた。だが、会話を聞くとまだまだ2人は出てこないようだ。
ロ「随分と物騒……いや、楽しんでいる様だな」
ド「まあ…当分出てこないだろうな」
それからも俺らは中から聞こえる物騒な音を聞き、変な考察を立てたり大喜利をしたりしてゲラゲラと外で笑っていた。
ふ た り と も 何 を し て い る の ? ? ?
背後から悪寒がして振り向くと、そこにはさっきまで中にいたはずの2人がいた。
ド「あ…あ…」
イヴァン「ふふふ、冗談だよ♪もし盗聴とかされていたらプチってしようかな〜とか思っていたけど大丈夫そうだね」
ロ「ゎ…ゎ…」
ド「ず、ずいぶんと長く楽しんでいたようで…な、なんだかギルベルトさんの首元が赤くなっているような…大丈夫ですかね…」
ギルベルト「大丈夫なわけnん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!!ダイジョウブデスダイジョウブデス!!!」
イヴァン「じゃあ今回はここでお開きにしよっか♪わざわざ無事を確認してくれてありがとうね」
ド「いえいえ……」
そうして2人は遠くへと向かっていった。
相変わらずコイツは怯えっぱなしだが、俺は見逃さなかった。
視界から消える寸前に、ギルベルトがイヴァンの頭を撫でていたことを。
そして、ギルベルトの方から口付けをしていたことを。
どうやら俺らは勘違いしていたようだ。