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「みーつけた」
東京都内のある一角。
一人の男が数人のスーツを着た男達に追いかけられていた。
「はぁ…はぁ…し、しつこすぎッ」
「血をよこせ…」
「嫌だって言ってんじゃん。誰がお前らなんかにやるかよ」
スーツを着た男達は男を壁際へと追い込んだ。
彼らは【吸血鬼】
血に飢えた者はこうして夜になると生き血を求めて彷徨う。
そのため【人間】は夜には外出を控える者が多い。
追い込まれた男【吉田仁人】のように特殊体質でなければの話だが。
「貴重な血をお前らに簡単にあげると思う?馬鹿なの?」
「…この野郎…!?そ、それは…ッ」
「嫌いだろ?十字架」
吉田は首に掛けていたネックレスを引っ張り出した。
先端にはロザリオが付いていた。
「ッ……くッ…っははははは!馬鹿だなお前」
「は?ッこれなら…」
笑いだし十字架を恐れない吸血鬼達を見て吉田は焦った。
見せるだけじゃ効かないのなら…とロザリオで自らの掌に十字を切った。
するとロザリオが眩い光に包まれてあっという間に吉田よりも遥かに大きな十字架へと変わったのだった。
「近付いてみろ…お前らなんかこれで…」
男達の一人が目に見えぬ速さで吉田の前に移動し耳元で囁く。
「つくづくアホだな。浅はかすぎたな小僧。お前【あの力】使えないんだろ?そんなお前に我々が怖気付くとでも?」
「…なんで」
吉田の頬にすーっと血が滲む。
男はその血をぺろりと舐め嘲笑う。
吸血鬼と人間。
どちらが強いのか。
「くっそ…ッふざけんなッ…!」
ザシュッ
「グッ…き、貴様ッ」
「はぁ…弱…」
「……?」
突然目の前の吸血鬼が苦しみ倒れる。
そして代わりに目の前に現れたのは金髪で紅い目をした男だった。
男は倒れた吸血鬼を見下ろし一言呟いた後吉田に視線を移す。
「お前…生きてた、のか…」
「黙れ。うるさい」
ドカッ
「雑魚は消えてね」
「ッ……」
吉田に向けられていた視線は喋りかける吸血鬼へと再び向けられたかと思えば、話しかけられた事が気に食わないといった様子で、男は吸血鬼にトドメを刺した。
吸血鬼はもう言葉を発することはない。
「やっと静かになった……ねぇ」
「!?」
満足した男は再び吉田へと視線を移し今度は話しかける。
先程息絶えた吸血鬼よりも遥かにヤバい匂いがする。
人間なのか。
同類なのか。
答えはきっと後者だろう。
吉田は今度こそ殺されると覚悟した。
のだが…
ガシッ
「ッ!」
「俺の事…殺せる?」
「…………は?」