13話目もよろしくお願いします!
今回はキヨとうっしーのバトル勃発です
「好き」の意味は違えど、レトルトが大好きな2人。さぁ、どうなるでしょう笑
スタートヽ(*^ω^*)ノ
ゲームに夢中な2人の笑い声が部屋中に響いていた。
ソファに寝転がるレトルトと、その横で笑いながらツッコミを入れるうっしー。
「おいレトルト!そこジャンプするタイミングだろ!笑」
「いやいや、今のはわざとやって!うっしーが今のは悪いやろ笑」
爆笑とコントローラーの音が部屋に響く。
テーブルの上には空いたお菓子の袋、ソファのクッションはぐちゃぐちゃ、気付けば3時間以上ゲーム漬け。
スマホは、画面を下にしてテーブルに置かれたまま――。
その画面では。
未読のメッセージが、何通も溜まっていた。
⸻
──キヨ視点──
「……返事が、ない……?」
最初は「仕事終わったよ」「今から電話できる?」と軽い内容だった。
けれど1時間、2時間経っても、既読すらつかない。
レトさんが、こんなふうに既読をつけないなんて――
絶対に、ありえない。
「……ッ」
不安が胸に広がる。
まさか、何かあった?
体調崩した?
いや、もしかして……
レトさんに何か“俺の知らない相手”が?
頭に浮かんだのは、あの日、洋服を一緒に選んでいたあの男。
「……行く」
運転席に飛び乗り、スマホをダッシュボードに放り投げるように置いて、 アクセルを強く踏み込んだ。
⸻
ピンポーン――!
チャイムが鳴る音に、レトルトと牛沢が顔を見合わせる。
「こんな時間に……誰だ?」
「配達かなぁ?俺なんも頼んでへんよ
? 」
ガチャ、とドアを開けたその先に立っていたのは――
「……キヨくん!?」
『……。返事が来ない理由が、わかったわ』
スーツ姿のまま、表情は笑っているけれど目がまったく笑っていないキヨがそこには立っていた。
そしてその視線は、レトルトの後ろに立つ牛沢を、真っ直ぐに捉えていた。
『……あんた、洋服見てた時の……』
一瞬で空気が張り詰める。
『はじめまして。レトさんの”彼氏”のキヨです』
「こんにちは。牛沢っていいます。レトルトの“親友”です」
二人の間で火花が散った気がした。
レトルトはただ、あわあわと手を振る。
「え、えっと……キヨくん、急にどうしたん?…うっしー今日はゲームしにきてくれて……その、あのね……」
『レトさん、、、』
急に声が低くなる。
『寂しいって言ってくれてたのに、俺の連絡、無視してたのは……“こいつ”と一緒にいたから?』
「ち、違う!いや、違わないけど!たまたまスマホ見てなくて!」
『ふぅん……』
キヨは、にっこり笑う。
でもその目には、深い暗闇が揺れていた。
『じゃあ……そろそろ、帰ってもらってもいいかな?』
感情のない声でニコリと笑いながらキヨが牛沢に言う。
「ちょっ、キヨくん!?失礼やって!」
「親友としてゲームしてるだけじゃん?
恋人だからって友達と会ったらいけないの?」
一歩も引かない牛沢。
声のトーンは落ち着いているのに、
部屋の空気が一気に冷え込む。
レトルトはオロオロと二人の間に割って入ろうとするけど、
まるで見えない壁で遮られるように、二人は一歩も引かず向き合っていた。
まるで――竜と虎。
キヨの目は鋭く細められ、
うっしーの視線は冷たく澄んでいた。
「レトルトが“寂しいから”って俺を呼んでくれたんだけど?それ以上、他意なんかあるわけない」
『ふぅん。でもその割に、俺のメッセージはずっと未読のままだったけど』
「スマホに気づかないくらい楽しかったってことなんじゃない?そんなのレトルトのせいじゃないだろ」
『……“俺の隣”より、楽しかったってこと?』
「キヨくん、それ言いがかりやって!」
レトルトが間に入ろうとしても、二人とも聞いていない。
目は完全に、お互いしか見ていない。
「俺、レトルトのことはずっと守ってきた」
『へぇ。俺は、レトさんのことずっと“愛してる”んだけど』
「守るも愛するも、行動が伴ってないんじゃ意味ないだろ。急に家来て、恋人面して、束縛するだけなら――」
『束縛?“好きだから離したくない”のは、当然の感情でしょ。……そうだよね?レトさん?』
一歩、キヨが前に出る。
それに合わせて、牛沢もうっすらと笑って、同じように前に出た。
バチン、と火花が散った。
レトルトは、完全に空気に飲まれてフリーズ。
(なにこれ……)
(こわい……!!)
そんなレトルトの手を、キヨがすっと取った。
『レトさん。俺と今から過ごしてくれるよね?』
顔は笑ってるのに、目の奥では黒く渦を巻く独占欲の嵐で鈍く光っていた。
レトルトは小刻みに震えて下を向いていた。
全てを察して牛沢 はキヨを鋭く睨みつけて、一歩前に出る。
「おい、キヨ。俺の親友を泣かせたら……殺すからな」
その言葉にキヨも負けじと目を細めてにらみ返す。
『わかってるよ、うっしー』
うっしーはふっと息を吐くと、肩をすくめて立ち去りながら言った。
「じゃあ、俺は帰るわ。またな」
そう言い残して、足早に帰っていった。
つづく