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にゃーにゃ
「…俺、お前のこと好きになっちゃった…」
そう蓮に伝えた時の反応を、俺は多分忘れないと思う。
告白なんてされたらさ、多少なりとも照れたり驚いたりするものだろ。
でも蓮は、きょとんとして当たり前みたいに答えた。
「え、そんなわけないでしょ」
「…は?」
さすがにどういうリアクションだよと思って、俺も目が点になる。
あれ? 俺、告白したんだよな?
それでも蓮は動揺することもなく言葉を続ける。
「佐久間くんが俺をなんて、そんなのあるわけないじゃん」
「いや何でだよ。あるわけないわけあるか」
「ちょっと何言ってるか分からないけど」
そう言ってふふっと笑いやがった。何だよこれ、想定外過ぎてどうしたらいいか分かんない。
何言ってるか分からないのはこっちだバカ!
「いや、俺さっきちゃんと好きだって言ったよな?」
「言われたけど…そんなわけないでしょ。佐久間くんが俺を好きなんて有り得ない」
「いやだから何で!」
「俺なんて佐久間くんに好きになってもらえるわけないから」
「…ちょっと待て。俺『なんて』?」
「そうだよ。俺がどんなに想ってたって、佐久間くんが振り向いてくれるわけないんだ。知ってるから、大丈夫」
会話をしてるはずなのに全く噛み合ってない。もどかしく思いながらも、最後の言葉が引っかかった。
『俺がどんなに想ってたって』って、それってもしかして。
「…じゃあ、蓮は? 俺の気持ちは置いといて、お前は俺のことどう思ってんの?」
「どうって…」
「いいから答えろよ。俺のこと好き? それとも、嫌いか?」
「っ、佐久間くんを嫌いなんて、そんなのあるわけないだろ!」
それまでは全く心に響いていない感じの受け答えだったのが一変、強い口調で否定された。
ねえ、やっぱりお前、もしかして俺のこと。
「…じゃあ、好き?」
「好き、だよ…」
告白をするにはあまりそぐわない、悲しげな顔で蓮が「でも」と続ける。
「佐久間くんは俺なんて振り向いてくれないから…だから、俺はそんな俺が嫌い」
同じだって思った。俺も蓮に言ったことがある。好きな人の一番になれない自分が嫌いだって。
ああ、そうか。俺と同じなんだ。
あの人が好きで、想いが大きくなり過ぎて、伝えることすら怖かったあの時の俺と。
そんなに俺のこと想ってくれてたんだ。俺のこと好きなのに、その気持ちを押し殺してずっと側にいてくれたんだって考えたら、胸の奥がぎゅうってなった。
蓮が可愛い。愛しくて堪らない。やばい、もう大好き。
だからどうにかして、俺の気持ちを信じて欲しいって思った。
ソファに座る蓮の正面に立つと、さすがに俺の方が高い。けど、それでもこれだけしか差がないとか、お前どんだけでかいんだよ。
不安と戸惑いの色をした蓮の目を見つめながら、両頬を手で包む。抵抗される前に、そのまま唇を重ねた。
「…っ、佐久間、くん…っ?!」
「好きだよ、蓮。ねえ、大好き」
そう囁きながらもう一度キスをする。キスを繰り返しながら、何度も何度も、言い聞かせるように「好き」と囁いた。
とろりとろりと、蓮の中に染み込むように。
ねえ、蓮。大好きなんだ。
優しくて、自分のことは後回しで俺の気持ちを大切に考えてくれたお前が。
誰よりも誰よりも、大好きになっちゃったんだ。
お願い、信じて。こんなに好きなんだよ。
「好き。蓮、大好き。好きだよ」
「っ、さ、くま…くん…っ」
「ねえ、蓮。俺のこと信じてよ。お願いだから、俺の好きを否定しないで」
「…佐久間くん、泣いてるの…?」
何度もキスを重ねながら、いつの間にか涙が溢れてて。それでももう一度キスをしようとしたら、それまでされるがままだった蓮にそれを阻まれた。
蓮の両手が俺の頬を包んで固定してる。
これでも信じてもらえないのかな。
そんな思いがよぎったその時。蓮の目から涙が一粒だけぽろりと落ちるのが見えた。
コメント
2件
なんですか、もう!! 水瀬さんの世界…きゅんきゅん(๑ ˊ͈ ᐞ ˋ͈ )💕が溢れてる!!! 気持ちが伝わらなくて必死に伝えようとするさっくんも可愛いし、読んでるこっちが「なんでだよ」って言いたくなる程に話通じないめめもなんか可愛い( *´艸) 高熱で伏せってたから、読みにこれなかったんだけど、一気に幸せになれました ありがとう(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゚