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「あんな風に怒ったりしたら、今まで出会ったホストたちは、大抵がなんとか取り入って私の機嫌を取ろうとしてきたから……」
「そうかよ…」
ぶっきらぼうに彼が応える。その様子はどちらかと言えば、不機嫌なのは私よりも当の流星のようにさえ窺えた。
「うん…だから、あなたもそうなんじゃないかって、勝手に思っていて……」
流星がタバコの煙をふーっと白く吐き出す。
「おまえさぁ……ここ、どこだか知ってんの?」
「えっ?」
ふいにそんなことを訊かれてとまどう私に、
「ここは、他とは違うホストクラブなんだよ。客がホストを選ぶんじゃなく、ホストが客を選ぶ、特別の場所だ。そんな場で、おまえの常識なんかが通用するわけもないだろ」
そう当然のように話した──。
まるで勝ち誇ったかのように、にやりと笑う顔つきが憎たらしくも映る──と、同時に、
どうしようもないくらいに、彼に恋焦がれる気持ちが募る。
やっぱりここは、彼の言うように他とは異なる特別な所なんだと感じる。彼みたいなホストにだって、かつて一度も出会ったことはなかったし……。
そう感じてクスッと笑みがこぼれる私を、流星が不思議そうに覗き込む。
「なに、笑ってんだよ?」
「うん、あのね…ここに来られてよかったな…って」
「なんだ、そんなことかよ」
まるで大したこともなさそうに、そう口にしたかと思えば、
「ここに来るのは、運命だったんだよ」
なんて、甘いセリフを耳のそば近くに囁きかける。
──自信に満ちた彼の言葉に、本気で運命を信じたくなる。
「好き……流星のことが……」
「俺も、おまえが好きだぜ」
思わず呟いた私に、そうなんでもないことのように彼は返したけれど、その目元が微かに赤く染まったのを見逃さなかった。
見た目とは裏腹な、そうした彼の一面が、どうしようもなく好きでたまらなく思えてしまう。
流星は、一見怖いくらいに俺様キャラな印象だけれど、でもふと見せる表情に、言葉に、
真実は、純粋でまっすぐな想いが溢れてる気がした──。