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「ではでは、No.1王子の姫から一発かましちゃってぇ〜」
姫「よいしょぉ〜」
「よいしょぉぉぉ」
キラキラと輝く金色のシャンパン。店に鳴り響く音楽はこの煌びやかな街、歌舞伎町を現しているようだった。
店内で囁かれる甘い言葉や吊るされている蜜は人々の思惑で複雑に絡み合う。
日本で1番刺激的な街と言えばほとんどの人がここだと口を揃えて云うだろう。
🗝「ミカ。ありがとう」
今夜は月終わりの締め日。
皆、この日になるとギラギラとした瞳で虎視眈々とNo.1を狙っている。そんな勝負事に俺も例外ではなかった。
姫「まぁ、あたしが❤︎?ローレンのこと支えてあげてるおかげで今月もホスト界No.1王子様だよねぇ❤︎」
姫が被りに自慢するかのように腕に擦り寄る。
🗝「それ結構恥ずかしいだよね」
🗝「誰が考えたんだか」
タバコを口に咥えライターで火を付けると、甘いシャンパンで染まった口内が苦く心地いい感覚で満たされる。
姫「えぇ〜ミカはローレンにピッタリで良いと思うけど!」
もちろん今月も俺がNo.1だ。
生まれ持ったこの顔も、生きる術として身に着けてきた処世術も今までの人生全てが無駄ではなかったとホストを始めて強くそう思った。
俺の歌舞伎町No.1ホストとしての成功体験は俺自身の承認欲求や自己肯定感に強く影響を与えてくれた。
姫「ねぇ?何で終わったらすぐタバコ吸っちゃうの?」
鼻をきつく結びたくなるようなお酒の匂いと、人工的な甘い香水の香りに包み込まれる。
🗝「でもミカは俺がタバコ吸ってるところ好きでしょ?」
姫「うん、好きだよ」
姫「…」
ちゅっと頬に口付けをした姫は薄着のまま脱衣所へと向かって行った。
🗝(あと手首2本増えたらメンケアかな…)
そんなことを考えながら溜まっていたLINEの通知を機械的にタプタプと打っていくことが俺の今やるべき仕事だった。
ホテルから家に帰ったのは3時頃だった。消耗仕切った身体をベッドへと乱雑に突き飛ばすと、気絶するように眠ってしまっていた。
12時の正午、ローレンは鳴り止まない通知の音に開ききらない瞼を持ち上げ文字を認識した。🗝「… 期待の新人、新生不破湊が現No.1を抑え見事歌舞伎町ホスト月間売上No.1へと輝いた。…」
🗝「は?…」
1位にはいつもある俺の名前が無かった。1年もホスト界のNo.1を飾っていたローレンは2位であるということに苛立ちと焦りを抑えきれなかった。No.1ではないローレン・イロアスはこれまで積み重ねてきた努力をTwitterのタイムラインに流れてくる歌舞伎町ホスト月間売上ランキングもどきに固執し、今までしてきた努力も俺の人生も全てを否定されたかのようだった。 No.1という肩書きが無くなった今やっと自分を認めて貰えた場所をこの不破湊という男にすべてを取られたようなそんな気持ちでいっぱいだった。