テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
そして土曜日の夜、7時少し前、カンナは晶子のマンションへやって来た。半袖の派手なTシャツにくたびれたジーンズ、背には武骨な造りの大きなリュックを背負っている。
インターホン越しにエントランスのドアを開錠し、晶子は部屋の玄関に迎えに出た。エレベーターから出て来たカンナと右手でハイタッチをして、中に迎え入れる。
「着替えとか持って来れた?」
そう訊く晶子にカンナはリュックを高く掲げた。
「ああ、父ちゃんのリュック借りて詰め込んで来たぜ」
二人でリビングに入ると、晶子の父親と母親が笑顔でカンナを迎えた。カンナはリュックの中からビニール袋に入ったクッキーを取り出し、母親に手渡す。
「こういう時って手土産っていうのかな、持って行けって母ちゃんに言われて。ほんとはもっと上等な物持って来たかったんだけど、バイトしてる店で従業員割引で買える物しか用意できなくて」
晶子の母親は笑顔で受け取った。
「そんな気を使わなくてよかったのに。晶子のお友達が泊まりに来るなんて初めてなのよ。カンナちゃんなら、こちらこそ大歓迎だわ。晶子、カンナちゃんの荷物を部屋に置いて来なさい。すぐに夕食にするから」
「分かった。カンナ、とりあえずあたしの部屋に行こう」
晶子の部屋へ通されたカンナは、しばらくキョロキョロと中を見回した。
「久しぶりに晶子の部屋に来たけど、いろいろ新しい物増えたな。なあ、あれってパソコンか?」
カンナが指差す先には、勉強机の上のノートパソコンがあった。晶子がうなずくとカンナは矢継ぎ早に訊いてきた。
「学校で配られるやつか? 私立だとそんなのあるって聞いた事ある」
「それとは別。あれは買ったんだよ」
「マジか? けど、父ちゃん、じゃねえや、晶子のお父さんに見られて困る物も中にあるんじゃないのか?」
「え? ああ、いや、あれあたしのパソコンだよ。お父さんとお母さんのは、別にデスクトップがあるし」
「自分専用のパソコンがあんのか? うちとは月とスッポンの違いだな」
「後であのパソコンで面白い物見せてあげる。さ、ダイニングに行こう。もうご飯出来てるよ」
コメント
1件
第36話読んだよ〜!!カンナちゃんが晶子ちゃん家に泊まりに来る回、ほっこりした〜😊 手土産にクッキー持ってくる律儀さとか、父ちゃんのリュック借りてきたっていうエピソードがもうすでに可愛い♡ 晶子ちゃんと両親が温かく迎えてるのも素敵だし、パソコンの話で「面白い物見せてあげる」って晶子ちゃんが言うところ、めっちゃ気になる!次が楽しみすぎる〜!!
#いじめ
るあ🩵🦊🌙
23
284
菊池川詠人
1,785
270