テラーノベル
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────ある冬の夜のことだった。 12月24日、今日も僕は任務に出ていた。吐く息が真っ白で、一人でいるには寂しい程の寒さだった。クリスマスイブというのもあり、町や駅には沢山のカップルや親子がいた。今日のターゲットは、金沢敏夫という男だった。2歳と3歳の娘がいて、ここで呑気に買い物をしているらしい。愚かなものだ。今から殺されるというのに、クリスマスプレゼントだの、ケーキだのと浮かれている。娘たちも気の毒なものだ。目の前で父親が殺されるだなんて、きっとトラウマものだろう。物陰に隠れながら、そんなことを考えた。
「パパ!おにんぎょ、ある!ほしいっ!」
「おぉ、いいぞぉ。一緒に欲しいやつ選ぼうな。」
そう言って、三人は曲がり角に消えていった。今なら殺れる。 そして、スナイパーに指示を送った。運悪く誰もいないスペースに移ってしまった彼を、弾丸はいとも簡単に撃ち抜く。案外、血は飛び散らなかった。遠くで子供泣く声がする。この騒ぎだ。子供が一人二人泣いたところで、何もおかしくない。死体回収の為に、僕は人混みを抜けて曲がり角を曲がった。だが
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい。こんなこと、ありえない。スナイパーのミスか?……いや、それは有り得ないだろう。さっきまで子供の泣き言が聞こえていたというのに。考えながら死体に近づこうとした、 その時だった。
「あら、貴方も御食事?」
透き通ったような、どこか不気味な声が聞こえてきた。驚いて顔をあげると、そこには綺麗な顔をした女性が立っていた。
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