テラーノベル
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怖いくらいに綺麗で、まるでフランス人形のような儚さと美しさがある女性だと思った。
「御食事って?」
思わず問いかけてしまった。どっちにしろ、死体を目の前にして平然にできる女が普通の人間だとは思えない。
「……あら、貴方は吸血鬼じゃないのね。」
「吸血鬼?そんなの、とっくに消えてなくなった存在だろ。」
この女が吸血鬼だなんて、そんなことがあるわけない。吸血鬼だの、ヴァンパイアだのは御伽噺の中の登場人物に過ぎない。実在していたとしても、いつの時代だろうか。とにかく、この女の戯言には付き合っていられない。早く死体を回収してボスに報告しなければ。
「貴方、信じてないでしょ。私が吸血鬼だってこと。」
彼女は、まるで心を読んだかのようにそう言って近づいてきた。月明かりに照らされた彼女の髪は透き通ったように真っ白で、目は血を吸った吸血鬼に相応しく赤黒かった。
「私の髪、綺麗でしょう?血で濡れないように縛ったりしているから。で、どう?信じてくれるかしら。」
確かに、染めたとしてもこんなに綺麗な白にはならないだろう。目だって、カラコンのような違和感はない。何より、口元に付いた血がそれを物語っていた。
「わかった、信じるよ。 でも、もう仕事戻るからさ。」
俺はそう言って死体を担いだ。
「そういや、コイツの子供殺ったのお前だよな?」
そういえばこれが本命だったか。忘れかけていたことをようやく思い出し聞いた。
「そうね、邪魔してきたから。あと、若い子供の方が美味しい血だしね。あ、顔も重要よ? 」
本人は冗談交じりに言っているつもりなんだろうが、こっちはそれどころじゃない。上になんて報告すればいいのだろうか。血を吸うために吸血鬼がターゲットの子供二人を殺しました?そんなふざけたことを言えば、コイツらの隣に俺の首が並ぶことだろう。……とりあえず、戻ってから考えよう。俺は女に背を向けた。
「待って、貴方殺し屋でしょう?」
腕を掴まれた衝撃で子供の腕が垂れる感覚が伝わってきた。殺し屋と言えど、元々は脳死で生きていた人間なのだ。やはり何年経っても慣れない気持ち悪さに、俺は顔を顰めた。
「そうだけど何?早く行かないと首飛ぶんだけど。」
比喩などではない。あの短気な人の事だ。お前の代わりなんざ幾らでもいるといって切り捨ててくるに違いない。
「やっぱりそうなのね!ねぇ、私のことを殺してくださらない?」
彼女は、目をキラキラさせてそう言った。
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