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お化けと命境ペアがひたすらに可愛いかった…好きです((
・これはオリジナルストーリーと関係ありません。
・オリジナルキャラクター達の物語です。
・ハロウィン企画の書き下ろしのお話です。
・イラストも出てきます。汚いです。
・ハロオリ企画(創作者さん達で行ってるイベント)のものです。
・最後までお楽しみください。
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十月の下旬くらいになって、空気が乾燥して、昼でも肌寒いと感じるようになってきた。
僕達は、依頼で屋敷の調査をしていた。
「うーん……。本当に大丈夫だと思う?」
僕は、遺騎治 命(いのち めい)。
一人称が僕ってだけで、女の子だ。
「多分な」
隣に居るのは、天竜 境(あまたつ けい)。
僕の仕事仲間であり、恩人でもある。
僕らは『天音探偵部(あまおとたんていぶ)』という所で、探偵の仕事をしている。
……とは言えども、何でも屋みたいなものだ。
メインが探偵なだけで、人のお手伝いや依頼だって仕事として行う。
その中で僕らは、屋敷の調査に来たのだ。
「た、多分って……うぅ、明らかに薄暗いくて嫌な所だよ……」
屋敷はほとんど真っ暗と言っても過言ではなかった。
部屋も廊下も散らかっていて、見ていて恐怖の感情が出てくる。
「確かにな。だが、何かあれば、俺が居るから」
境はそう言って僕の背中をそっと叩く。
その時に、彼のオーラが伝わる。
僕は人のオーラに敏感なのだ。
彼のオーラに安心感を覚えたが、まだ少し不安があった。
「うん、ありがとう」
そして、僕らは歩き出す。
この屋敷には、気候が冷たくなるにつれて、怪しげな現象が起きているらしい。
最近では、屋敷の周りで幽霊を見たり、突然誰かの笑い声が聞こえたり、物が浮いたり動いたりすると言う。
「……ねぇ、境?」
「どうした?」
「怖くないの……?」
「……どうだろう。俺はそうでもないのかもしれない。……だが」
「だが……?」
「命と一緒だから、大丈夫だ」
「……!?わ、もう、君って人は……!」
境は、小首を傾げていた。
境は無意識に、そういうことを言う人だから、僕は少し困っているものの、彼の良い所だと思っている。
一言で言うと、天然だ。
また暫く歩いていると、見る限り怪しげな扉を見つけた。
御札が貼ってあるようだが、もう取れてしまいそうなのか、ひらひらとしている。
「わ……」
僕は少し、声を出した。
扉の向こうから、不気味なオーラが漂ってくる。
境も薄々と感じているのか、少しだけ動きが止まっていた。
「……見てみるか?」
「み、見てみないと……調査に、ならない、でしょ……?」
「……そうだな」
僕らは不安になりながらもその扉を開けてみた。
此処は誰かの寝室のようだった。
中はシーンとしていて、廊下と同様に散らかっている。
鏡の破片も飛んでいて、人形はボロボロ。
勿論、誰かが居る様子はなかった。
「……何も、ない?」
僕は部屋を見渡しながら、様子を見ていると、突然______。
ガタガタ……。
……と、箱が揺れるような音がした。
「……っ!!!???」
僕は驚いて、肩に力が入った。
境もその音に反応して、音がした方向を見る。
ガタガタ……。
まだ音がする。
僕らは、こっそりと音がする方へ歩いてみる。
そこには小さな箱が置かれてあった。
おもちゃ入れのような、それぐらい小さな箱だった。
ガタガタ……。
音の正体は、この箱だ。
その箱にはフタで中身が見えなかった。
「何か入っているのだろうか」
境は箱を見ながら言う。
僕は不安になりながら箱に手を伸ばしてみた。
そして持ち上げてみる。
「あれ……軽い……」
それは有り得ないくらいの軽さだった。
紙を持ってるような、そんな軽さだった。
僕はまた箱を床に置くと、また揺れる。
僕は境の方を見てみる。
「開けてるか……?見ている限り怪しいと思うが……」
「そうだよね……じゃあ、僕が開けるよ」
「……大丈夫なのか?」
「ぼ、僕だってやる時はやるから……」
「無理はするなよ」
「だ、大丈夫だよ〜……」
僕はそう言いながら箱のフタを開けてみた。
箱の中には______。
『……!?』
小さな可愛らしい『モノ』が居た。
「………………え???」
僕の第一声は、その一言だった。
「うむ?物とかあったのか?」
境は様子を見るため、ちらっと覗き込んだ。
「………………ん???」
境も僕と同じような反応をした。
「……『コレ』は、お化けか……?」
「んええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!???」
僕の驚きがあとから来たのか、僕は大声を出した。
(え、マスコットみたいなお化け!?え、これ、お化けで良いんだよね!?えええええぇっ!!!???)
境は不思議そうに小首を傾げている。
「……いや……、これは、ますこっと……?とやらでないのか?」
「いや、なんで!?明らかに動いてるよね!?マスコットではないよ!?多分!!!うんっ!!!???」
心の中で、思考を追いつかせながら、落ち着こうと僕は呼吸を整え始める。
『……〜っ!?』
お化けらしきものも、驚いているのか、あわあわとして、箱から飛び出し、部屋中を飛び回った。
「あわわわわわわわ……!?」
僕は呼吸を整えようとしても、落ち着かずにそれを見ていた。
境はどうしたらいいのか、少し困惑していた。
「ふ、二人共……とりあえず……落ち着こう……」
そう言ってくれたが、僕もお化けらしきものも、やはりまだ落ち着きがなかった。
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なんやかんや言いながら、僕も、小さなお化けらしきものも、冷静になれた。
『……』
「はぁ……ごめんね〜……急に叫んじゃって……」
『〜!……〜〜〜……』
まるで話が分かるかのように、お化けも、ごめんねっとしていた。
「それにしても……どうして、この子は、此処に……」
境はお化けに問いかけるようにして言う。
「確かに。なんでかな……箱の中に居たからね」
お化けは、僕らの周りを飛び回って見つめる。
『〜……』
何か言ってるようだったが、僕らには翻訳することが難しかった。
何か事情はあるのには違いなかった。
明らかにお化けは、何かを伝えようとしていた。
「うーん……なんて言ってるんだろう?」
「……分からない」
『……〜〜〜』
そうしてる間に、いつの間にか夕方を迎えていた。
ボロボロなカーテンの隙間から、夕方の日差しが差してくる。
「ぁ……」
「……まだ調査しきれてない所はないだろうか」
「あったとしても……また明日かな……どうなんだろう」
この屋敷は、夜が特に一番危ないと、噂で聞いたことがある。
夜になる前に此処を出なければならないと、依頼としても約束されていた。
「……確かに、あまり時間はなさそうだ。ならば______」
僕らが此処を出ようかと、考え始めた時、お化けは僕らの服を掴んだ。
『〜!!!』
これは、明らかに、待って、と言ってるみたいだった。
「……どうしたの?」
僕がそう言うと、お化けは部屋にある机の方へ飛んで行った。
「そっちに来てほしいのか?」
境はそう言いながら、机の方へ行く。
僕も机の方へ歩く。
机の上には、メモがあった。
お洒落なフレームのメモだった。
「なにこれ?何かの紙?」
「いや、何か書いてあるぞ」
メモの内容はこんなものだった。
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これを見た者へ。
これを見ているということは、僕の可愛いお化けちゃんが、このメモを見るように案内されたのだろう。
おめでとう。
*君達は、『*ハロウィンイベント』に参加出来るよ。
君達が見る三十一日の夜は、いつもとは違う___。
魔物達が闇夜を動き回り、狼男の遠吠えが聞こえ、幽霊達が街を歩く___。
きっと、いつも以上にリアリティなハロウィンになることだろう。
この日は、仮装をして、夜にこの屋敷に来るといいよ。
______では、良きハロウィンデーを。
×××より。
──────
まるで、『招待状』のような内容だった。
「______『ハロウィンイベント』……?」
僕はそれを読んで小首を傾げた。
「……確かに、今はハロウィンのシーズンだな。だが、いつもと違うというのは、どういう事だ?」
それは僕も知りたい質問だった。
まるで、このメモを読んだ人だけ特別な扱いをされたような内容だった。
……次の瞬間。
僕らが読んでいたメモが、突然、灰のようになり消えてしまった。
「んぇ!?」
「……?消えた……?」
『〜〜〜』
お化けは、また僕らの周りを飛び回る。
僕らは、すぐに今の話をまとめる。
「とにかく、ハロウィンに何か特別な事があるよってことなんだよね」
「そうだな。それに、仮装をして此処に来るように書いてあったな。……仮装か」
お化けは、隣で頷いていた。
「……よく分からないけど、行ってみる?……って!?やばっ!!!夜になっちゃう!」
既に、日差しは弱くなっていた。
それと同時に、ズーンと空気が重くなる。
「嫌な気配がするな……急ごう」
「そうだね!」
『〜〜〜〜……』
僕は最後に、お化けの方を見て言う。
「大丈夫だよ。明日、ここに来るからね。明日がハロウィンだから!」
『〜〜〜♪』
お化けは嬉しそうに飛んでいた。
僕らはそれを確認したあと、急いで屋敷を後にした。
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「疲れたぁ……走ったぁ……」
「何とか出れたな……」
僕らは夜の道を歩いていた。
最近は日が沈むのが早いせいか、本来なら夕方くらいの時間帯でも、夜中と同じくらいの暗さだった。
「それにしても……屋敷を調査して分かったことは『ハロウィンイベント』なんだね……」
「奇妙な現象が多いのは、それが関係しているのだろうか」
「ええぇ……どうなんだろう……」
確かに、あの不思議なお化けと、突然消えてしまった『ハロウィンイベント』のメモ____。
僕も、何かに関係しているのではないかと思い始めた。
「それにしても……仮装をして行かないといけないんだね」
「明日はハロウィンだからだろうか?」
「関係はありそうだよね。しかも……いつもと違うっていう内容が、あまりにも怖そうだから、仮装しておけば安全ってことなのかな?」
「……???食べられるってことなのか?」
「ぇ、やだぁ……」
そんな話をしながら、僕らは天音探偵部へと帰って行った。
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翌日の夜。
ハロウィンの日だ。
僕らは仮装をして、昨日の屋敷へ来た。
屋敷の噂では、夜は危険と聞いたが、今の屋敷は特別、危険なオーラはなかった。
「大丈夫なのかな」
「多分な」
僕らはそう言ったあと、お互いの仮装を見る。
「命は……魔女の仮装か?」
「う、うん。境は……なんだろう……?」
「一応、吸血鬼だ」
「一応って何!?」
そんな会話をしながら、僕らは屋敷の扉を開けてみた。
『〜〜〜〜〜〜!!!』
するとお化けが待っていたかのように、突然僕らに突進してきた。
「わぁっ!?」
「……!昨日のお化けか。こんばんは」
「待ってたんだね、こんばんは〜」
『〜〜〜♪』
お化けは嬉しそうに、僕と境の周りを飛ぶ。
僕は内心、お化けってこんなに可愛かったっけ……と思い込んでしまった。
そして、この後、昨日言い忘れてた自己紹介をお化けにしたあと、案内するところがあるらしく、僕らはそれについて行った。
昨日の部屋だった。
部屋に入ると、突然ぶわっと勢いよくその場の空気が揺れた。
僕らは、その勢いで反射的に目を閉じた。
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