※この話はポケモン×カンヒュのクロスオーバーです。
今回は日本家とアメリカさん中心です。国達の手持ちは全て独断と偏見。
戦闘描写大幅に有り。
⚠️旧国注意
ミーンミーンと、蝉の鳴き声が響く夏の日。
東洋に浮かぶ日ノ本の島国にて、古めかしい一軒家の縁側では一人の男が団扇片手に空を仰いでいた。
「…………いくらなんでも暑すぎるぞ…私の頃はもっと涼しかったというのに」
ふてぶてしく文句を呟いた彼の名前は、『大日本帝国』。
先代の日本国化身で、世界からは『旧国の一人』と称されている。
今はラフな着物姿だが、かつては世界を震え上がらせたアジア唯一の列強だったのだ。清国やロシア帝国を屈し、WW2ではアメリカ・イギリス相手に奮闘した歴戦の猛者….
しかしそんな彼でも、この暑さは異常と言えるらしい。
「ちりーん……」
廊下をフラフラ飛んでいた風鈴のようなポケモン────
チリーンは、暑さに耐えかねて日帝の膝に転がってきた。しかし日帝がチリーンを撫でたその時。
「ッ熱….!!熱がこもっているんだな。水を飲みに行こう」
ポケモンでも熱中症になることがあるのか…と新しい発見に驚きつつ、チリーンを抱えて台所へと急ごうとすると。
ガサガサっと茂みから物音が聞こえてきた。
「…………そんな所で何をしている?」
「米帝が」
名前を呼ばれたアメリカは、素早く茂みから顔を出す。
こいつ、同盟国相手なのを良い事に不法侵入しやがって….💢
「Hi, 日帝….」
「玄関から入れと何度言えば分かるんだ?
全く貴様のような物覚えの悪い煩悩に何故ここまで我が国が付き合ってやらなくてはいけないん「日帝……」五月蝿い!!まだ話の途中…って、」
よく見ると米帝は、暑さのせいか萎れたトマトのように干上がりかけていた。これは放っておけば普通に〇ぬだろう。
そう、熱中症である。
「日本の夏が、ここまで暑いと思わなくてさ…流石のHEROもお手上げ、う”っ、ぷ……!!」
「は….っおいおいおいちょっと待て此処で吐くな馬鹿者!!!父上ぇえぇええーーーーーー!!!!ビニール袋持ってきてくださいっっっ!!!」
「にって、たすけゔぅえ” ぇ” えええっっオロロロロロロ….ッ」
「やめろこっちに寄るな!救急車!!救急車ーーーーー!!!!」
「ちりぃいーーーー!(泣)」
カオスである。(お決まり)
テンテンテテテン♪♪(ここから汚い映像が続きますので、ポケモンセンターBGMの脳内再生を推奨します。)
「……で、本家ゲーム風に回復場面を省略した訳だが。」
早々に回復したチリーンと軽く手遊びをしつつ、日帝はジト目でアメリカに視線を向ける。
まさか世界一の超大国が熱中症で倒れるなんて…ここが治安の良い日本だったから良かったものの、反米の国でやらかしたら即アウトだったぞ。馬鹿者め。
「貴様、今日はどういった要件でここに来た?
日本は久しぶりの出勤で夜まで帰ってこないぞ」
「日本が居ないのは分かってる。今日はお前ら旧国に用があるんだよ」
「わしらに?」
ヤバソチャとお茶を立てている江戸が振り返る。アメリカはコクリと頷いて、どこからか取り出したパソコンを操作しだした。
パソコンはロトム式の用で、ディスプレイからケテケテと笑い声が聞こえてくる。
……何か、不気味だな。
「…………….っし。出てきたな、これを見てくれ」
「「ん?」」
江戸と日帝が揃って画面を覗き込むと、そこには国連で使われたらしい報告書の文面が打ち込まれていた。
内容はこうだ。
「ポケモン、マフィアだと?」
「嗚呼。」
アメリカの話によると、ポケモンの社会進出が進んでいる近年、それに伴った犯罪組織も勢力を拡大しているのだと。
そうした治安悪化にFBIやMI6も頭を悩ませているらしく、国民の中にも少なからず影響を受ける者達が増えてきているらしい。
「マフィアと言われるとイタ王のことを思い出してしまうな…奴らはどういった連中だ?」
「アイツらはポケモンを悪用して、人のポケモンを奪って売り捌いたりしている酷い奴らなんだ。
新人トレーナーとか、子供のポケモンは特に狙われやすくてな….実際に何人も被害届が出されていて、俺の国含め社会問題化しつつある事態だ」
「何と、子どもに手を出すとは卑怯な奴らじゃな……」
許せん、と眉を顰める江戸にアメリカが大きく頷く。
弱気を助け悪を滅するHEROを名乗るアメリカとしては、当然見過ごすことは出来ないだろう。
「それで、私達に何かしろと言うのか?」
「YES!! 俺たち現国は忙しいからな。
どうせなら各国にいる旧国に、治安維持の手伝いをしてもらおうと思っているんだ」
……成程。アメリカの言うことが本当なら、
我々旧国もポケモンについての理解を深め、民を守る為再び立ち上がらなければならないらしい。
だが、そういうことなら。
「情報提供感謝する。
大日本帝国の名にかけて、この国の治安維持に努めよう。」
「日帝、わしも忘れるでない。
他国のことは知らぬが列島統治はわしの “得意分野” じゃよ。」
真面目な表情と得意気な微笑みの中に垣間見える猛者感に、さしものアメリカも背筋が伸びる。
……これなら日本の負担も減らせそうだ。
この2人に限らず元々心配はしていなかったが、やはりどんな国でも自分の子への想いは同じである。
ふっと笑ったアメリカに、日帝が更に切り込んできた。
「……………..で、その続きは何だ」
「ん??」
ジト目の日帝。お手上げだと言わんばかりに手を上げたアメリカ。そして唯一状況を理解できていない江戸。
ちょっと不思議な光景だ。
「……やっぱ日帝にはバレてたか」
「当たり前だ、貴様が注意喚起如きでうちに訪ねてくる訳なかろう」
「HAHAHA!Exactly!!」
「え、え….?どゆこと……??」
オロオロと戸惑う江戸に、
アメリカは『とある巻物』を取り出して二人に見せた。
「……それは何じゃ?」
「国連から借りてきた『なぞのぶんしょ』だ。
どうやら日本の古語で書かれてたらしく、解読した結果…未来予知のような事が書かれてたんだ」
手渡された巻物の文章を熟読していくと、
ポケモン出現は神の試練だ、人類は滅ぶ、造られた命が勇者と共に世界を救うなど胡散臭い事しか書かれていなかった、が。
…..勇者、か。
日帝の脳裏に騒動時の日本の背中が蘇る。
「胡散臭い文書だが、WHOが調査中に見つけたもんで無視は出来ねぇらしい。
ただマフィアやらで世界の混乱が近付く今、あながち間違っても無いかもしれねぇしな」
「成程…。この文書の件、先輩やソ連にも相談しておいてやろうか?」
日帝の提案に、アメリカは目を輝かせて大きく頷いた。
「嗚呼頼む。彼奴らの顔見るなんて真っ平御免だからな!!」
「わしからも阿蘭陀に話しておこう。しかしこの世界に勇者か…本当に居たら面白いのぅ」
そこから色々話して、夕暮れが出てきた頃。
「──────んじゃ、俺もそろそろ日本の所寄って帰るか」
「おぉ、もうこんな時間か。玄関まで送って行こう」
「おい米帝、日本の所へ行くなら残業せずに帰るよう伝えておいてくれ。
彼奴こうでもしなければまた終電逃し、」
その時だった。
ドタバタドタッ!!!
「ちぇりちぇり、ちぇりいぃいっ!!!」
「ちーりん!!」
慌ただしくやって来たのは、
にゃぽんの手持ちで今は隠居中のチェリムと、先程熱中症になりかけていたチリーンだった。
二匹の様子に、三人は異常事態を察知する。
「チリーン、どうしたんだ?」
「ちりり、ちりぃーー!」
ゆらゆら揺れながらアメリカに対して説明を試みるチリーン。すると……
ピンポーン。
不意に、玄関のチャイムが鳴った。
「…………父上」
「分かっておる。庭にいるシキジカ達を避難させてこよう」
どこから取りだしたのか、長身の長い日本刀を腰に附けた江戸が玄関とは反対方向へと走っていく。
物音一つ立てない動きにアメリカが感心していると、これまた日本刀を手にした日帝に声をかけられる。
「何をしている米帝。玄関行くぞ」
「へいへい、分かってるよ….
大日本帝国サマ?」
唯一の相棒を秘めたボールを握りしめ、俺は日帝と共に玄関へと一歩踏み出したのだった。
──────玄関前。
俺は日帝と共に、扉から少し離れた廊下に仁王立ちしていた。
隣の日帝はキリキザンを横に携え、扉を挟んだ相手に斬り掛からんとばかりの形相をしている。
リザードンがボールの中で武者震いをしているのは恐らくコイツのせいだ。
本当、真正面からやり合おうとする姿勢は相変わらずだな。
「さて、どいつがあのdoorをopenする?」
「…………….米帝、少し脇道に逸れろ。」
ちら、と後方にアイコンタクトを送る。そこには妖しく光る美空色の瞳がふたつ。
参、弐─────
壱。
「「今!!」」
重なった掛け声と同時に、俺と日帝は同時に反対方向の脇へと飛び退る。
そこで後方待機していたこおりタイプの着物女…
ユキメノコが全身全霊の『ふぶき』を扉に向けて放出した。
扉は思いっきり吹っ飛んで、玄関前に居たであろう複数人の悲鳴が聞こえてくる。
そんな凍て付く様な冷気の中、
玄関を挟んで佇んでいたらしい敵達が尻餅をついているのが薄ら見えた。
そして。
「キリキザン、行くぞ!!」
「ザッキィ!!!!」
氷のような冷気で視界が遮られているのを好機に、日帝とキリキザンが斬込みに掛かる。
三秒後には敵の怒鳴り声やら喚き声やらが響き渡ってきて、俺は口角が自然に引き上がっていくのを感じた。
やっぱ、そう来なくっちゃな!!
「俺達も行くぞ!
リザードン、エアスラッシュ!!」
「ウォン!!!!」
霊気という冷気を突っ切って外へと繰り出し、アメリカ合衆国はボールを天高く舞上げる。
中から出てきた炎竜は遠吠えを上げ、敵達に向けてエアスラッシュを乱発。風切り音と共にざっと6名が地に伏した。
うぉっ、結構いるな…50人は居るんじゃねぇか?だが、数だけで俺様に勝てると思うなよ!
「リザードン、上空を旋回!!
家内に入った奴が居たら俺に報告しろ!!」
「ウォオオォン!!!!!」
──────日米安保条約、発動。
江戸side:
一方、庭にいたシキジカやエネコ、キマワリ達を引き連れて、江戸は家の奥の方へと逃げていた。
「エネネッ、エネネェ….」
「まずは日本かにゃぽんに連絡を取らなければ…えぇと、確かすまほの使い方は、」
ドォォォオン………
地響きがする程の轟音が遠くから響くのを感じ、江戸は深いため息をついた。
「……全く、最近の若いのは随分乱暴じゃのぅ」
修理するの誰だと思っとるんじゃ、と頭を抱えそうになったその時。
ジャキンッ。
不意に、前方に現れた気配に向けて刃を抜く。
「…………何者じゃ?」
「…………….勘が良いデスネ。
流石はこの世界の旧国と言ったトコロ」
シュッと前方の気配が消え、背後に移動….間合いが大きく開いたのを感じる。
シキジカ達を庇いながら、江戸がゆっくりと後方を確認すると、そこには白いワンピースに身を包んだ少女が佇んでいた。
しかし可憐な見た目とは裏腹に、少女は明らかに普通の人間の雰囲気では無かった。
「………………お主、唯の不良崩れでは無いな?」
「……ワタシの名は、”エーテル財団” 。」
勝手にボールから出てきたらしい、クレッフィとポリゴンZが彼女の前に出る。
「日本家、江戸幕府。
───アナタの孫。言わば勇者様を引き渡すコトヲ、要求しまス。」
その瞬間、少女に向けて何者かが斬撃を放った。
ガキィンッ!!!!!!!
「…………。」
「あちゃあ、惜しいわい。後少しだったなぁ
“ドドゲザン”。」
名前を呼ばれた、武士の総大将の様なポケモン…ドドゲザンは、冷酷な瞳で刺すような視線を少女に向けた。
斬撃は間一髪、ポリゴンZの『まもる』で防がれた様だ。
「あぁ、そういや話の続きじゃったな。それで….」
スッ、と周囲の温度が一気に低下する。
「─────わしの孫が、何だって?笑」
闇に塗り潰された様な、鬼の形相で質問を返す。
わしの孫が勇者で?初対面かつ、得体の知れないこの目の前の少女に孫を引き渡す?
何だろう、正気なのか?
渡す訳ねぇだろうが腐れf○ck風情が。
心底軽蔑した視線を送りながら、江戸は口を開く。
「あの子はわしの大事な孫じゃ。
顔拝むにしても、まずはそのカビでも生えそうな辛気臭い表情と重症な頭治してから出直してくることじゃな?(笑)」
「…………これだかラ、何も知らなイ虫ケラは嫌いでス。」
無表情に見えて、激昂の炎を瞳に映したエーテル財団はクレッフィとポリゴンZを前に出す。
「プランBに変更。制圧しまス。」
「やってみろ、小童が。」
To be continued….?
コメント
13件
見るのが遅くなったけどマジでこのストーリーすっっっっっっき!!!!!⁝( ‘ᾥ’ )⁝ 日帝と江戸さんがめちゃめちゃカッコイイ...(^p^)
続ききちゃあー! 待っとりました!
見るの遅くなりました〜!! 私こちらのシリーズ大好きで、こちらの作品見てNATO×日本めっちゃ美味しいやん…てなったので更新めちゃくちゃ嬉しいです(´;ω;`) 無理しないでくださいね! いつまでも待ってます(*^^*)