テラーノベル
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病院に着いた頃。
君から追加の連絡。
「228号室」
言葉は少なくとも、伝えたいことはわかる。
病院に駆け足で入ると、1度受付に止められたが、
君のことを話すと案外すぐに通された。
駆け足で登っていた階段だったが、君のことを考えると、足取りが重くなる。
1度、踵を返そうと思ったが、君に会いたいという気持ちが勝ってしまった。
「228」
その番号をもう一度読み返す。
毎日会っていた君と会うのに、こんなに緊張するなんて思わなかった。
ふっと息を吐いて、吸う。
何度か繰り返して、ドアを開けた。
そこに居たのは、君だった。
痩せこけて、
血色感もなくて、
布団に身を包んで、
医療用帽子を被って、
君がいつも付けていたお気に入りのヘアピンは、
ベッドの横にあった棚に置かれていた。
『ぷりちゃん』
声に覇気がなかった。
でも、そこに居たのは紛れもなく君で、君でしかなかった。
『久しぶり』
その言葉を聞いて、俺は涙を堪えた。
『あぁ、久しぶり。』
そう言って、君が寝ていたベッドの端に腰を下ろす。
スプリングが軋む音がした。
その後の会話は無い。
何処から話せばいいのか分からなかった。というのが正しいのかもしれない。
ふと、君が口を開いた。
『ごめんね』
なんで君が謝るんだ。君が何をしたんだ。
『謝んなや、』
咄嗟に出た言葉。
もっと考えて返答したかった。
でも、この沈黙に耐えられる気がしなかった。
君は、歯を食いしばっていた。
『俺、…』
話さなくていい。そう言いたかった。
でも、俺の中で、君に辛い思いをさせたくない気持ちより、
君のことを知りたいという気持ちが勝ってしまう。
『白血病なんだ』
白血病。
知らない。
そんなの漫画でしか聞いた事ない。
君は、天を仰いだ。
『4歳の頃に発症して、…再発した』
再発。4歳の頃。
保育園にも幼稚園にも行ってないことも、
部活をしていないことも、
全部、繋がった気がした。
ぐっと拳を握りしめるつもりが、君の手を握っていた。
冷たかった。
──思ってたよりも。
でも。
手を握った瞬間、君の瞳孔が揺れた気がした。
コメント
2件
な、泣ける……