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羽海汐遠
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ふわもちお餅
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#探偵
橘靖竜
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#ロマンスファンタジー
花月夜れん
407
ルナ帝国から遠く離れた龍人族が住む龍華國、 四季を問わずに年中咲いている桜が有名で、フォアントムウルフと同じく独立国家であった。
中国の時代劇に出てきそうな華やかな都町の中でも、皇帝が住む宮廷は一際目立ち、至る所に龍の像が見られる。
龍人族は見た目は普通の人間と同じだが、腕や足に鱗があり、本来の龍の姿を見せるのは心を許した相手のみ、気高き龍は簡単に他人に心を開かない。
現在、龍華國の若き王が政を改正し、同じ独立国家であるファントムウルフ国とは良好な関係を築き、自分達の国と同盟を組みたがっているルナ帝国とは敵対している。
奴隷制度が禁止されている中、ルナ帝国の現皇帝ガルシアは恐ろしい事に奴隷制度を確約させようと、ファントムウルフ国と龍華國に戦争を仕掛けて来ると情報が入ってきていた。
ルナ帝国が龍華國に戦を仕掛けて来るのは始めての事じゃない、数十年前にもルナ帝国が龍華國に攻めて来たのだが、その戦は一瞬で終わらせたのが初陣した第一王子と第二王子だ。
龍人族は長命で有名なのだが、王に着ける将軍や兵士達の武力の高さも密かに噂され、各国の王達が新たな勢力を加える為に、龍人族をスカウトに来る程。
そして、ダンタリオンの配下であるリリィの主人は、龍華國の王である。
王の寝室から甘いお香の香りが漂う、大きなベットで肌を寄せ合うように、ダンタリオンの配下であるリリィは自分の主人の腕の中で眠っていた。
『リリィ』
彼女の脳内にダンタリオンの低い声が響き、リリィは重たい瞼を開けて窓の方に視線を向ける。
ダンタリオンの使いであるコウモリが手紙を口に咥え、男の腕からリリィが出て来るのを待っているかのように大人しくし、彼女の主人の方に顔を向けた。
リリィは主人を起こさないようにベットから出て、閉ざされていた窓を開けてコウモリを寝室の中に招き入れて手紙を受け取る。
内容を見なくても、ダンタリオンが送って来た手紙の内容は分かっており、リリィはすぐに魔界に向かう為の支度をしようとした時。
「どこに行く気だ、リリィ」
男の低い声が背後から聞こえ、振り返るとベットから抜け出したリリィの事を男は睨み付けていた。
ツンツンした美しい真っ白な髪は前髪をセンターに分け、襟足の長い髪と同じように、真っ白な肌に合う琥珀色の瞳、耳には煌びやかなピアスが光り。
上半身裸な所為か鍛えられた筋肉が露わになっている。
背中には美しい天女を守る白龍と桜の和彫りが彫られ、その天女の顔がリリィに似ていた。
そして、リリィの細い手首に着けられたブレスレットにも、男と同じ瞳の色の石があしらわれ、彼女はこの男のモノだと一目でわかってしまう。
「あ、おはよう王子様。ダンタリオンの様の所に行ってくる」
「ダンタリオン?お前、この間もダンタリオンに呼び出しされてたろ」
男は適当な上着を羽織りながらベットから降り、煙管を咥えながらリリィの前に立つ。
「うん、この前は女王様の妹様との顔合わせ」
「女王様?あぁ、ダンタリオンの女か。んで?今回は何だ」
「リリィ達、配下だけの集まり」
喋るのが遅いリリィが話終えるのを煙管を吸いながら待ち、男はリリィの腕を引いて猫足の中華風のソファ
ーに座って自分の膝の上に座らす。
男の琥珀色の瞳が朝日を浴びて更に輝き、リリィのピンク色の瞳に琥珀色が混ざり合う。
「なんの要件で?お前が呼ばれてるんだ」
「女王様の妹ちゃんの事を守らないといけないの、その為の集まり」
「その妹の為に戦わないといけないのか?俺のリリィが?」
そう言いながら、男はリリィの手首に着けられたブレスレットに優しく触れる。
「リリィ、他の悪魔よりも強いから大丈夫だよ?簡単に怪我しないもん」
「そう言う事じゃねーよ、お前が強いのは分かってる。俺が気に入らねぇのは、お前の意志を無視して赤の他人を守らされる事だ」
「ふふっ」
「何笑ってんだ」
「リリィの事を大事思ってくれて嬉しいなって」
リリィの可愛らしい笑顔を見た男は耳を赤く染め、恥ずかしさを隠すようにリリィの唇を乱暴に奪い、そのままソファーに押し倒した。
***
魔界では、バフォメットの屋敷の地下で投獄したバエルが手錠と足枷に繋がれ、バフォメットの命令でフルフルはバエルの事を傷めつけていた。
バシンッ!!!
「ゔっ!!!」
鞭で思いっきり体を叩きつけられたバエルは口から血を吐き、フルフルの事をキッと睨み付けるが本人は全く気にせず、豪華な椅子に座っているバフォメットに視線を向ける。
「ボス、相変わらず口を割りません」
「うーん、アスタロトへの忠誠心が強いのは分かったけど。なんの目的で人間と取引したんだい?バエル」
フルフルの言葉を聞いたバフォメットは煙草を咥えながら立ち上がり、バエルの事の前に立って見下ろす。
「お前に関係ない事だよ。それに…、人間と取引をして命を奪う事なんか悪魔にとって普通な事。僕は顔が良い若い人間を、人間は僕の血を求めた…、それだけの事だよ」
「バエルが昔から美形の人間しか喰わないのは知ってる。けどさ?人間と契約なんかせずに、人間界に降りて勝手に喰いに行っていただろ」
「…」
「アスタロトの命令で人間と取引をさせられていただろ。そうだなぁ、例えばアスタロトが人間と関わり出したとか」
バエルの肩がビクンッと跳ね上がった事をバフォメットは見逃さなかった。
「やっぱりな、脳虫を放たせたのもアスタロトだろ。どんな人間と関わり出したのかは分からないけど、利害が一致したんだろうねぇ。そうだなぁ、異世界から来た女の子」
「っ…!!!」
「アスタロトは女王様の事を、ダンタリオンと同じ熱量の愛を未だに持っている。ダンタリオンとアスタロトの何が違うんのか、バエルは分かる?」
「女王様はアスタロト様の事を愛してたっ、なのにっ、横取りしたのはダンタリオンだろ⁉強引な手を使っ…」
バシンッ!!!
バフォメットの表情を見たフルフルは彼に鞭を渡し、バエルの頬に向かって思いっきり鞭を叩きつける。
「ガハッ⁉」
顔を鞭で叩かれたバエルの頬が切れ、強い衝撃が直接脳に伝わり、倒れそうになったバエルの髪をフルフルが乱暴に掴む。
バエルに視線に合わせるようにバフォメットは膝を曲げ、バエルの顔を覗き込む瞳がとても恐ろしい。
バフォメットと目が合ったバエルの額から冷汗が流れ落ち、何も言葉を発さない彼は何もしていないのに怖く感じた。
「強引な手?卑怯な手を使って来たのは、お前等の方だろ。ダンタリオンが生死を彷徨う事になったのも、アスタロトが人間の女をあの場に連れて来たからだ。悪魔同士の戦に、人間を連れて来るなんてもってのほかだ」
「おいおい、そんな言い方はないだろ?バフォメット」
「バフォメット様、お下がりください」
バエルの足元に青色の魔法陣が現れ、フルフルがバフォメットの前に出て距離を取らせると、フルフルの右手首から血が噴き出す。
ブシャアアッ!!!
露出度の高い服を着たアスタロトが手に付着した血を舐めながら、フルフルの背後にいるバフォメットに視線を向ける。
「俺の配下の悪魔を傷めつけるのはやめてもらえる?しかも、こんな薄暗い地下牢なんかに閉じ込めちゃって」
パチンッ。
そう言いながらアスタロトが指を鳴らすと、バエルの手首と手足を繋いでいた手錠と足枷が破壊された。
ガシャンッ、ガシャンッ!!!
「好きに詮索すると良いよ、バフォメット。いつかは全てが明るみに出るんだからさ」
「薄情なアスタロトが配下の悪魔を迎えに来るなんて、珍しい事もあるものだ」
「大事な駒だからねぇ、捨てるべき時まで置いておかないと。俺はダンタリオンみたいに、配下の悪魔に優しくはないから。それにしても、最近の人間は面白いよねぇ」
「さっさとバエルを連れて帰りな、お前の顔を長く見て痛いたくないからな」
「俺はバフォメットの事は好きだよ」
アスタロトの言葉を聞いたバフォメットの眉間に深い皺が入り、アスタロトに対しての嫌悪感を前面に表している。
「アスタロト様、ごめんなさい…」
「あぁ、今回はついてなかっただけだ。これ以上長いしたら、俺の首が吹き飛んでしまうね。バフォメットが怒る前に帰るよ」
「はい、アスタロト様」
バエルはアスタロトが差し出された手を掴んで立ち上がり、2人は早々にバフォメットの前から姿を消すと、バフォメットに仕えている悪魔が地下牢へと続く階段を降りて来た。
「ボス、ダンタリオン様から手紙が」
「ありがとう」
手紙を受け取ったバフォメットはすぐに手紙に目を通し、右手首が復活したフルフルに視線を向ける。
「すぐに馬車の御用意をします、お前はボスの着替えの用意を」
「わ、分かりましたっ」
フルフルの指示を受けた悪魔は急いで階段を駆け上がり、フルフルも馬車を用意する為にバフォメットに一礼してから地下牢を後にし、1人残ったバフォメットは地下牢の天井を見つめた。
***
ルナ帝国の上部街にある宮廷の会議室では、白騎士団の各部隊長数人が集まり、重苦しい空気が流れている。
「今度は何用で俺達まで呼び出されたんだ?ガルバット」
顔に目立つ切り傷がある中年男性が長くなった髭を触りながらガルバットに声をかけ、怪訝な表情を隠そうとしないこの男は第3部隊の隊長ガーディス。
ガルバットやミニョン、青愁の剣術の師匠であり、皇太子殿下にも剣術を指導している男だが、戦事には積極的に参加はするが堅苦しい会議はほとんど参加しない。
「俺にも知らされていません、皇帝陛下には各部隊長を集めろとしか」
「各部隊長が集まる時はよぉ、戦を起こす時か国を挙げての祭りを開催する時だけだろ。俺は頭使う事が嫌いなんだよ」
「ガーディス、仮にも部隊長だろう。会議は必ず出席しろとあれ程言ったのに、お前は自分の部隊の副隊長に任せおって…」
白髪交じりの髪をカチッと全て後ろに流した顔立ちの良い中年男性が、ガーディスに向かって溜息を吐きなら口を開いたのは第4部隊隊長のバーンズだ。
「お前は相変わらず口うるさいな、バーンズ卿?」
「戦がなくとも、私達は陛下や皇太子を守護するのが仕事だ。会議に参加するのも同じ事だ」
「かーっ!!!固い固い!!!お前は本当に頭の固い男よ、少しは肩の力を抜いたらどうだ?」
ガーディスの言葉を聞いたバーンズに額に血管が浮き上がり、怒りが沸き上がって来ているのが見て分かる。
コンコンッと扉がノックされる男が聞こえ、ガルバットが扉を開けに行くと、秘書のアズバルトとガルシア、ルカリオの4人の姿が見えた。
椅子に座っていたミニョンと青愁、ガーディスとバーンズはすぐに立ち上がり、床に膝をついてガルシアに誠意を見せる。
「ガルバット、ミニョン、青愁、ガーディス、バーンズ。頭を上げよ、姿勢も楽にして良い。そこに座れ、今日は大事な話をしに来たんだからな」
「失礼します」
ガルバットとルカリオの2人が椅子に座ってから、ガルバットの一言と同時にさっき座っていた椅子に腰を下ろすと、ルカリオが5人に向かって声をかけた。
「今日は正式に君達に紹介をしたい女性がいるんだ」
「ほう、皇太子殿下のフィアンセですかな」
「おい、ガーディス!!!皇太子殿下に対して馴れ馴れしいぞ!!!」
「バーンズ卿、そう怒る事でもないさ。ガーディス卿、僕のフィアンセになる予定になる女性は他にいるよ。入っておいで、菜穂」
ルカリオがそう言うと閉ざされた扉が再び開き、会議室に入って来たのは煌びやかなドレスを身に纏った河邉菜穂と奴隷の獣人の少女。
以前はおどおどしていた河邉菜穂だったが、ガルバット達の前に現れた河邉菜穂は堂々とした態度で、ミニョン以外の男に優しく微笑む。
「皇太子殿下、こちらの女性は?」
「異世界から来た光の姫さ、バーンズ卿」
「なっ⁉光の姫⁉この女性が?」
「あぁ、ちゃんと胸元に光の姫の証である太陽と星の刻印が刻まれています。まだ、聖魔法を上手く扱えていませんが」
ルカリオの言葉を聞いた隊長達は一斉に河邉菜穂に視線を向け、彼女が伝説の光の姫なのかと疑心暗鬼になってしまう。
ガーディスは長い髭を触りながら言葉を漏らす。
「これは驚いた、まさかこの子が光の姫とは。近頃、悪魔達の動きが活発になっているのは、光の姫だったのか?それとも、何か別の理由があるかもしれんが」
「悪魔達の動きが酷くなれば、お姫様の力を借りないといけなくなりますけど」
「ルナ帝国から悪魔達を追い出すには、聖魔法が必要になってくる。魔法額を学ばせていますが、実戦をこなした方が身になると思いまして。ミニョンには、彼女の護衛騎士になってもらいたい」
「え?団長でなく、私ですか?」
まさか、ルカリオに河邉菜穂の護衛騎士に任命されるとは思っておらず、ミニョンは動揺を隠せない。
そんなミニョンを見かねたガルシアが、ミニョンとガルバットの顔を交互に見ながら口を開く。
「菜穂嬢はこちらに来て、まだ日が浅い。見知らぬ男性が側に居るよりも、同じ女性の方が少しは安心するだろう。ミニョンはガルバットが隊長に任命し、実力も認められている。頼まれてはくれないか?ミニョン」
「…、分かりました」
「それは良かった。よろしく頼むよ。1週間後の茶会が開催される為、ますは城門の警備を固め、各部隊長には庭園の警備だ」
ミニョンの返答を聞いたガルシアは、茶会当日の警備について話をする。
「ちなみに、その茶会は光の姫のお披露目の茶会になっている。来客は女性のみ、黒騎士団の騎士以外の護衛騎士を2名を連れてくる事が条件になっている。当日は我が白騎士団の騎士だけで、周囲と宮廷、庭園の警備をしてもらう。それから今後、黒騎士団の騎士を任務以外は宮廷に入れない事にした」
「皇帝陛下はコンラットの事を気にっていませんでしたか?宜しいのですか?」
「おい、ガーディス!!!皇帝陛下に対して、その口の利き方は…」
「バーンズ、こやつは昔からそうだ、長年の付き合いだからな。お前のその態度には目を瞑って来たが、俺にはそれなりの敬意を見せろよ?ガーディス」
ガルシアはそう言ってガーディスに視線を送り、その視線が何かを探ろうとしているのがガーディス本人にも伝わった。
視線を向けられたガーディスは、いつものようにおちゃらけた態度をガルシアに見せ、「分かりましたよ、皇帝陛下」と答える。
「せっかく各部隊の隊長が集まっているから、今一度確認しておこう。お前達が忠義を尽くすべき人間は、誰だ?」
「我々、白騎士団《ホワイトナイト》は皇帝陛下に忠義を尽くし、命に代えても守るべき主君であります。数百年もの前から受け継がれた騎士としての根源であります」
バーンズが白騎士団《ホワイトナイト》の教訓に書かれている言葉を並べると、ガルシアは机を強く叩く。
ドンッ!!!
「バーンズ、ガーディス、ガルバット、俺が分かりきった事を言い出している事の意味を分かっているな。白騎士団《ホワイトナイト》は、俺に絶対的な忠誠心を持たなければならない。それは、俺の息子に対してもだ。青愁、お前の部隊の隊員が息子に無礼を働いたそうだな」
ガルシアに名だしされた青愁は先日の闇市場での出来事を思い出し、ルカリオに意見した斬られて死んでしまった隊員の顔が脳裏に浮かぶ。
青愁は椅子から立ち上がり、床に膝をついてガルシアとルカリオに向かって頭を下げる。
「先日は私の部下が大変失礼いたしました、本来なら謝って済む問題ではありません」
「そうだな、部下の責任は隊長の責任である。しかし、お前を失うのは惜しい。近いうち、お前達には血を流してもらう事になるだろう」
「ほう、戦でもなさるのですか?皇帝陛下」
戦と聞いて心が躍ったガーディスはガルシアに尋ねると、アズバルトに目配せしてテーブルの上に地図を広げさせた。
ルナ帝国と同盟を組んでいるシャモワールの下にある名前のない国に丸印がされ、その国を指さしながらガルシアが語る。
「この国は突如、海の上に現れた名前のない国。この国を調べようと訪れた者は消息不明となっている事は知っているな?」
「はい、独立国のファントムウルフ国、龍華國、ギヴゼンの3国もこの国を狙っていると耳にしました。噂ですが、この国には神の力を宿す聖剣が隠されているんだとか」
「あぁ、聖剣を手に入れれば我が国は、誰も手の届かない高貴な国となる。独立国の奴等は私のやり方が気に喰わない連中、そんな奴等と話し合いをするのは無駄だ。なら、絶対的な力でねじ伏せてやれば良い。私に意見する者は潰すまで」
ガルシアの話を聞いたバーンズを含めた隊長達は何も言えず、夢物語のような聖剣を手に入れようとガルシアは心躍らし、異様な空気が会議室に流れた。
***
甘野芣婭 (17歳)
翔ちゃん達が異世界から来てから2日が経ち、熱が下がった芣婭は庭園にある林檎が実っている木の下で、ジオン君とピクニックを楽しんでいた。
何故にジオン君と遊んでいるかと言うと、ハウラスからの紋章試験の内容が【ジオン君と遊ぶ事】だからである。
「お姉ちゃん、あーん」
「わぁ、ありがとー!あーん」
フォークに刺されたオレンジを差し出され、パクッと一口でオレンジを食べると、ジオン君は満足げな笑みを浮かべた。
ケロちゃんとベロちゃん、ハウラスにニックとレヴァさんと言った大所帯で、芝生の上に引かれたレジャーシートの上に座っている。
「ハウラスがこんな簡単な試験を出すとは思ってなかったぜ。本当に、そのガキが好きなんだな」
「ガキ?ガキではなく俺の主人のジオンだ。次、ガキって言ったら殺すぞ」
「はいはい、さーせんでした」
「チッ、黙って茶を飲んどけ」
ベロちゃんとハウラスの言い合いを聞きながら、大きな雲が流れる青空を見ながらギル君の事を思い出す。
実は、ギル君が一足先に芣婭の呪いを調べる為に隣の国に行っちゃったんだよね。
芣婭の為に行ってきてくれたけど、なんか申し訳ないな。
そんな事を考えながら皆で他愛のない話をしてのんびり過ごしていた時、ジオン君が芣婭の腕に抱き付いてきた。
「ん?どーしたの?ジオン君」
「ジオンは、大勢に囲まれる事がないから恥ずかしがってるだけだ」
ハウラスの言葉を聞いたジオン君は、顔を真っ赤に染めて芣婭の後ろに隠れてしまう。
「あー、人見知りなんだね。でも、ここにいるメンバーは陽気で良い人達だよー」
「あ、そうだ!芣婭ちゃん、あと2人増えるんだけど良いかな?」
「2人?全然良いけど、芣婭の知ってる人?」
「知ってる知ってる!ほら、噂をすればなんとやらだ」
ニックはそう言って視線を庭園の入り口に向けると、シーちゃんの案内されたゼパ君と黒騎士団の制服を着た獣人の男の人。
清潔に整えられたサラサラの髪の男の人を、芣婭はどこかで見た事ある気がする、それ直近で。
「芣婭、数日ぶりだな」
爽やかな笑顔のイケメン君が芣婭の名前を呼んで声をかけて来たのだが、このイケメンと知り合いになった覚えがない。
「えっと?」
「あぁ、ゼパと一緒なのに気付かないか?」
「ゼパ君とセット…、あ!!!もしかして、ガゼルっち⁉」
ボサボサの髪だった髪を切っただけで、これだけのイケメンに変身してしまったのか⁉
異世界の男の人の顔面偏差値が高すぎなんだよなぁ、おかげでこっちの美意識も上がって良いんだけど。
「ニックが言ってた人は、ガゼルっちの事だったんだ。怪我は大丈夫?今日はどうしてここに?」
「今日からロールベルグ家の専属騎士になったんだ、
ギルベルト様の命令でな」
「え⁉うちの家の専属騎士?」
「いつでもお前の身を守れる環境に居たかったし、ギルベルト様の申し出はありがたかったよ。ちなみに、ゼパは見習い魔法医師だ」
ガゼルっちに背中を押されたゼパ君は子供用の白衣を着ていて、ガゼルっちと同じように髪を短く切ってサッパリしていた。
「おねえちゃんやガゼルが怪我したら、いつでも治せるようにしたい…、あれ?」
「どーしたの?ゼパ君」
「お空に魔女のおねえさんがいる」
「魔女?」
不思議に思いながら視線を上に向けると、いかにも魔女らしい箒に跨って浮いているのは、ギル君のお家に来た女の子。
「ごきげんよう、お兄様の恋人の女」
「えっと?何しにここに?」
「貴方と勝負をしにきたのよ」
「はい?」
何故かいきなり、勝負を挑まれてしまいました。
コメント
1件
今回も世界観がぐっと広がってめっちゃ面白かったです!龍華國の王様とリリィの関係、重くて良い…。バフォメットの圧がえぐかったし、菜穂ちゃんが光の姫として動き出してからの政治色も気になる。ガゼルっちのイケメン化には笑ったけど、最後の魔女さんの勝負、どうなるんだろう🔥