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「よぉ、ジャンヌ! 暇になったから来てやったぜぇ〜」
後ろから来ていたジャンヌに気づいたのか、名残惜しげに、サーティーンがゆっくりと私から離れた。
「あれ、サーティーンさん? 女性物はわからないから〜なんて言っていたのに、結局ついて来たのですか?」
ふたり分の飲み物を持って戻ってきていたジャンヌは、訝しげにサーティーンを見ていた。
あんな言い方をしていたのだ。
まさか来るとは思わないだろう。
「……お堅いジャンヌとだめだめ相棒だけだとなぁ〜というわけで、こっからは俺っちも合流しまーす!」
言うや否や、グイッと私の肩を抱くと、やれやれといった感じで片腕を上げた。
休憩もそこそこに、メインストリートからショップモールへ。
……というか、最後の買い物インナーなんだけど……マジで来るの??
「あと何買うんだ? あ、なるほどなぁ……俺が、上下セットで選んでやろうか笑?」
マジでこいつ、デリカシーっての天界に置いてきたんか??
「……サーティーンさん、本当にふざけてないで、外で荷物番しててください。邪魔です。」
またもや私が怒る前に、ジャンヌの雷が落ちた。……トーンが低い。これはマジだ。
ノンデリを外に締め出し、店内で下着を見てみると、結構可愛いのがいっぱいある。
……似合うかどうかは別として。
「とりあえず3〜4くらいは買っておいていいと思いますよ!」
そうは言っても初めてのショップだし、最初はサイズをちゃんと測ってからが良さそうだ。
……最近新調はおろか、測った記憶がないし。
隣で「私も買おうかな」と見ているジャンヌのサイズを見て、驚愕する。
……え、モデルスタイルじゃん。
胸あって、スタイル良くて……やっぱりサーティーンは、ジャンヌみたいなのが好きなのかも。
私はあくまで相棒でしかないし。
モヤモヤしつつ、店員さんにサイズを測ってもらう。
……当然ですが、ジャンヌには及ばない、平々凡々なサイズでした。
せめて下着くらいは可愛くあろうと、直感で何セットか見繕い、ついでにパジャマ代わりのルームウェアも購入。
モヤモヤを胸に残したまま、退店する。
店外のベンチには、暇そうにダルっと座っているサーティーンがいた。
意外にも荷物番はちゃんとしていたようだ。
「待ちくたびれて寝ちまうとこだったぜ。
ちゃんと相棒のサイズにしたか? ジャンヌじゃねぇんだからよ〜」
サーティーンの軽い声が、胸に刺さった。
見てわかるほど私の体は平凡なんだ……。
買った下着も、結局似合わないかもって、急に自信がなくなった。
さすがにちょっと悲しくなってきた。
「……ったく、何沈んでんだよ。お前は俺の相棒だろ? サイズなんか気にすんなよ。」
そう言って立ち上がると、両頬をむにーっと上に伸ばされる。
「ほら、笑っとけって。俺っちの相棒は呑気にヘラヘラ笑ってるのが一番だぜ?」
雑な言葉と仕草なのに、
私を真っ直ぐ見つめてくるその顔は、笑っていて、優しさに溢れていた。
ジャンヌと3人で夕食をとり、ジャンヌとは解散した。
2人でサーティーンの家に帰ると、色々あったせいか少し疲れていたようで、ソファーに沈むように座り込んだ。
「相棒はちょっと歩いただけですぐ疲れちまうんだからなぁ」
サーティーンは豪快な音を立てて隣に座ってきた。
私のスカートを一瞬見て、
「……へぇ、今日の服、意外と悪くねぇな。ジャンヌに選ばせただけあるぜ」
と、からかいながらもどこか満足げに笑った。
「体力なくて、悪かったね。私はヒーローとは違うんです〜」
「……いや、……あーっと、悪ぃ」
サーティーンにしては珍しく、私に対して申し訳ないような言葉をかけてきて、少々面食らってしまった。
「……色々お疲れ」
そっぽを向きながら少し気まずそうに、頭をぽんぽん撫でてきたのだ。
あの、サーティーンが、私に、労わりと謝罪を。
その意外な優しさに、 心が一瞬で揺さぶられた。 急に気恥ずかしくなって、 なんだか変な空気が流れてしまう。
サーティーンの手が頭に触れたまま温かくて、顔が熱くなり、胸がきゅっと締めつけられるように鼓動が鳴った。
そっぽを向いたサーティーンの耳が、少し赤い気がした。
「…明日、帰りの手掛かり見つけような。」
とても優しい声で、サーティーンが言った。
こんな風にサーティーンとずっと笑って一緒に過ごせたら……。
頭をぽんぽん撫でてくれる温かい手、
からかいながらも優しい視線、
豪快に隣に座ってくれる存在感……。
この時間が永遠に続けばいいのにって、
思うほどに、 胸の奥が甘く疼いた。
そう思えば思うほど、 帰る手段なんて見つからなければいいのに……
ーなんて、危うい考えが頭を過ぎった。