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翌日、お昼過ぎ、
「お爺ちゃんが倒れて病院に運ばれた!」
と母から電話が…
「ここちゃん、どうしよう?」
「連れて来ない方が良いから、とりあえず、私は病院へ行くわ。待ってて! 洋平くんと、パパに連絡しておいてくれる?」
「分かった。気をつけてね」
そう言って母は、病院へ
美優は、洋平にメールを送り、父にも連絡してもらった。
洋平から電話。
「大丈夫か?」
「うん、まだ何も分からないから…」
「無事を祈ってる。何かあったら又、連絡して!」
「うん、分かった。」
父からも連絡が入った。
「美優、母さんから連絡は?お爺ちゃんは?」
「まだ、連絡ない。あったら、すぐに知らせるから…」
「分かった。」
母方のお爺ちゃん、お婆ちゃんは早くに他界している。
父方のお爺ちゃん、お婆ちゃんしか、もう居ない。
洋平の祖父母は、すでに他界。
お会いしたことすらなかった。
だから、皆んなお爺ちゃん、お婆ちゃんを大切にしている。
女の孫は、私だけ。
父の妹の子ども、すなわち従兄弟が2人いるが、 男だし…まだ2人とも学生だ。
とにかく、お爺ちゃん、助かって!と祈る。
しばらくして、母から電話が…
「お母さん!お爺ちゃんは?」
「とりあえず、入院になった。」
「大丈夫なの?」
「心筋梗塞で危なかったの。でも、今は落ち着いたみたい。」
「良かった〜面会は?」
「この時期だから、会えないみたい。」
「あーそっか〜ツライね。」
「でも、お爺ちゃん携帯電話があるから、今日は無理だけど、談話室へ来れるようになったら、話せるようになるね。談話室の下が駐車場だから、顔を見れるわ。」
「分かった。じゃあ、それまで待ってる。
お爺ちゃんに元気になったら、電話して!って伝えておいてくれる?」
「うん、分かった。」
「お父さんと、洋平に連絡しておくね。お婆ちゃんも一緒に居るの?」
「うん、後で送っていくわ。私は、足りない荷物を届けなきゃいけないし…」
「分かった。ありがとう。気をつけてね。」
「うん。じゃあね。」
ホッとしたが、会えないツラさ…
「あ、洋平に連絡しなきゃ」
洋平に連絡し、父にも連絡してもらった。
とりあえず、何も出来ない虚しさ。
面会は、緊急性のある時以外は出来ない。
流行り病のせいで、家族の面会まで制限される。
なんとも不甲斐ない。
お爺ちゃんが早く回復して、歩けるようになれば、 携帯電話で話しながら、少しでも顔を見ることができる。
どうか早く良くなりますように…と、願うしかなかった。
夜、洋平が帰って来た。
「美優〜」抱きしめられた。
「お爺ちゃん、大丈夫だよね。」
「うん、一命を取り留めたんだから、早く回復するように願おう。」
「うん…」
晩ごはんを食べ、お風呂に入り、いつも通り過ごす。
が、明らかに美優は、元気がない。
心配で仕方がない洋平。
ここちゃんを寝かしつけた美優。
「美優〜おいで」と、
また、ぎゅーっと抱きしめる。
ソファーで、横向きに膝の上に乗せて抱きしめる。
「お爺ちゃん、強いから、きっと大丈夫だよ!」
「うん…元気になって、帰ってくるよね」
「うん、信じて待ってよ」
「うん」
そう言いながら、洋平は美優を離さない。
美優も洋平に抱きしめられたまま…
やっぱり、悲しくなって、涙を流してる美優。
「美優〜」
黙って、頭を撫でる洋平。
ほっぺにキスをする。
ぎゅーっと抱きしめる。
しばらく、黙ったまま抱きしめて、
背中をさする。
しばらくして…
涙目で洋平をジーっと見つめる美優
たまらずキスをする洋平
お爺ちゃん子で、ずっと優しいお爺ちゃんが
大好きな美優
洋平にとっては、ビジネスマンとして、
尊敬し、目標とする元専務さん
素晴らしい人だ
美優の気持ちが痛いほど分かるから…
「信じて待ってよう」
「うん」
眠る時も美優が寝付くまで、手を繋ぎ、頭を撫でて、 美優が抱きついて来たら、抱きしめて寝た。
とりあえず、夜に連絡はなかったから、
良かった。きっと回復しているだろう。
ギリギリまで、美優を寝かせてあげよう。
洋平は、そーっと起きて、出勤の用意をした。
出かけようとした時に、ここちゃんが起きた!
その声で、美優も起きた。
「おはよう!大丈夫?」
「うん、あ、ごめん、朝ごはん」
「ううん、ここちゃん、起きたから頼むな」
「うん、いってらっしゃい」
「何かあったら連絡して!行って来ます。」
「うん。」
『ありがとう、洋平』
洋平は、会社の手前にあるコンビニで、
朝ごはんを買って会社へ
「珍しいっすね、洋平さん!」と山本。
「おー」
「え?調子悪いんすか?《《奥さん》》」
「いや、お爺様がね〜」
「え?専務に何かあったんですか?」
「昨日、倒れて入院してるから…」
「えー!大丈夫なんすか?」
「う〜ん、まだ分からない。回復を願ってる。」
「そっかあ〜そりゃあ心配ですね…」
「うん、だからほとんど寝てないだろうから、ギリギリまで寝かしてた。」
「なるほど…優しいっすね。 そう思ったら、洋平さんが会社で朝食を食べてるのを初めて見たから、毎日頑張って作ってるんですね。《《奥さん》》!」
「そうなんだよな〜頑張ってくれてるよ。娘も居るのに…」
「見直した感じですね」
「おー、良かった。言ってくれて…感謝しなきゃだよ。」
「はい…」
「おはようございます!」と井上も来た。
「え?珍しいですね」
「だろう?」と山本
「だよな…そう言えば美優が出産で里帰りしてた時、以来かもな」
「そう思ったら、すごいですね。」
「俺もそうしてもらおう〜」
「あ、井上、お前らどうなってんの?」
「来年には、結婚しようと思ってます。」
「お、そうか…良かった。決まったら教えて!」
「はい、もちろんです。」
「さあ、今日も頑張りますか!」
そう言って、仕事を始めた。3人。
しばらくして、美優から連絡。
『母から連絡があり、お爺ちゃん、安定してるって! ただ、次、同じように心筋梗塞を起こしたら、心臓が持たないって…』
『そっか…とりあえず、安定して良かった!』
『うん、ちょっとお婆ちゃんちに行って来る。』
『うん、気をつけてね』
『うん』
久しぶりにお婆ちゃんちへ
「こんにちは〜」
「はい」
「あ、お母さん!来てたの?」
「うん、病院には着替えを届けるぐらいで、会えないからね。」
「看護師さんに聞いたの?」
「うん、今の状態を聞くぐらいしか…でも、落ちついたから、もう歩いてトイレに行けるようになったらしいわ。」
「良かった。じゃあ、もうすぐ電話で話せるようになるかなぁ?談話室まで歩けたら、電話出来るね、お婆ちゃん。」
「うん、あの人は強い人だから…きっと大丈夫!」
「うん、そうだね。」
美優は、少し安心したが、まだお爺ちゃんの心臓が心配だった。
翌日、お爺ちゃんから電話が鳴った。
「お爺ちゃん!」
「おー美優か?」
「うん、お爺ちゃん大丈夫?」
「うんうん、心配かけたなぁ、もう歩けるようになったし大丈夫だ。2週間ほどで帰れるようだ。」
「良かった〜ホントに良かった」
「うんうん」
「お爺ちゃん、私、明日、そこの下の駐車場まで行くから電話かけて来て!顔を見に行くから…」
「おーそうか…分かった。」
「何時頃がいい?」
「お昼ご飯を食べた1時過ぎならイイよ。」
「分かった、その頃に行くね。」
「はいはい、分かりました。じゃあ、また明日〜」
「うん、電話ありがとうね〜また、明日ね〜気をつけてね。」
「はいはい、じゃあ!」
そう言って電話を切った。
すぐに母に電話をかけ、明日、お爺ちゃんの病院へ行き駐車場で電話することを伝えた。
母は、祖母と一緒に居たようで、
『お婆ちゃんも一緒に行こう!』ということになった。
元気になったお爺ちゃんに、お婆ちゃんを会わせてあげたい。
翌日、美優は、ここちゃんと一緒に、母と祖母を迎えに行って、お爺ちゃんの病院の駐車場へ
しばらく車の中で待つ。
1時過ぎに、お爺ちゃんから電話がかかってきた。
「おー美優!」
「お爺ちゃん、どこ?下の駐車場を見て!」
皆んなで車から降りて、2階の休憩室の窓を見る。
「あ、お爺ちゃ〜ん」と手を振る
「おー見えた見えた。」
「お婆ちゃんもお母さんも、心美もいるよ」
「うんうん、見えてるよ〜」と手を振る
「お婆ちゃんに代わるね。」
「おお」
お婆ちゃんに電話を渡す
「もしもし?お父さん?」
「おー」と手を振る
「大丈夫ですか?」
「うん、もうすっかり良くなったから、早く帰りたい!」
「良かったですね。もうしばらく、検査してもらって、ゆっくり休んでくださいね。」
「う…ん」
「じゃあね」
美優に電話を渡そうとするので、
「お母さんに代わるね」と、母に渡す。
「もしもし、お父さん!大丈夫?」
「うん、大丈夫!」
「ご飯は?食べられた?」
「おー全部食べた」
「食欲もあって良かったね」
「うん。」
「また、着替え届けるから、欲しい物があったら言って。」
「うん、爪切りを持って来て!」
「分かった!看護師さんに預けるね。それと退院日が決まったら教えてね」
「うんうん」
「じゃあ、またね。疲れるといけないから…」
「お爺ちゃん、じゃあゆっくりね。」と、心美の手を振る
「ここちゃん、またね〜」
「お爺ちゃん、じゃあね、バイバ〜イ」
「うん、美優!ありがとう〜またな」
「うん、またね〜」手を振って帰って行ったお爺ちゃん。
「お爺ちゃん、元気そうで良かったね。」
「うん、良かった。」少し涙ぐんでるお婆ちゃん。
美優も泣きそうになる。
「じゃあ帰りましょうか…」と、また、お婆ちゃんちへ送って行った。お母さんも寄って行くと言うので、2人を降ろして、美優はここちゃんと買い物をして帰った。
面会が出来ないこの時代。電話で顔を見ながら出来る年代なら、わざわざ近くまで行かなくても顔を見ることが出来るが、やはり高齢者には難しい。
色々、試行錯誤しなくては…
そして、洋平にも連絡した。
『お爺ちゃんと電話しながら、顔が見れたよ。
元気そうで良かった。お婆ちゃんにも会わせてあげられて良かった。』
『良かった〜とにかく回復されることを願ってたから…あとは退院を待つだけだな』
『うん、2週間ほどで帰れるって、お爺ちゃんは言ってた』
『そうか、良かった。お父様にも伝えておくよ。』
『うん、お願いね』
『OK』のスタンプが送られてきた。
とりあえず、一安心。
夜、洋平は、珍しく早く帰って来た。
「ただいま〜」
「あれ?今日は早いね、お帰り〜」
「うん、早く終わったから『今から帰る』って連絡したのに見ないから心配しちゃったよ。」
「あ、ごめん、ご飯の用意してたから、気づかなかった。お風呂入れるね。」
「うん、ここちゃ〜ん!手を洗ってくるから待っててね。」
お風呂の用意をし、洗面所で手を洗った洋平に
捕まる美優。
「ん?何?」
「お爺様、良かったな」と、ぎゅーっとする洋平
「うん、良かった。」
軽くキスをする洋平
「何?それ」
「ん?物足りない?」
「うん」
「じゃあ…」と、熱いキスをする
「それと…ありがとうな!」
「ん?」
「毎日毎日、美優は、朝早く起きて朝食を作ってくれてる。」
「あー今日は、なかったから?」
「うん、コンビニで買って行ったから、山本と井上に珍しいですね?って言われて、初めて気づいたんだ。 毎朝、美優が作ってくれるのが当たり前になってしまってた。無い日に有り難さがよく分かったよ。」
「そっかあー良かった!気づきだね。」
「うん。」
「ね〜ここちゃん待ってるよ。」
「あ、ホントだ。ここちゃん、お待たせ〜」
「きゃっきゃっ、アーアー、パッパ」
「うん、パパだよ〜ここちゃん、天才だね♡」
「ふふ、親バカ…」