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#病み垢
1
スマホ依存症
風呂から出ると、部屋の空気がなんか重くなってた。湿気じゃない、明らかに柊るかの機嫌の悪さだ。
ソファに座ってスマホをいじってるけど、指の動きが荒い。
(たぶんタイムラインで誰かにムカついたんだろうな…)
「…タオル濡れたまま放置しないでくんない?」
不意に言われた。
「え?」
「洗濯機の横。どうせ明日も使うとか思ってんでしょ?キモい」
「あー……ごめん。乾かす場所わかんなくて」
「考えろよ。脳あるんでしょ?」
心臓を爪で引っかかれるような言葉。
でも、俺は怒る気にはなれなかった。
「わかった。次から気をつける」
「……ほんとに?」
「ほんとに」
すると、彼女はスマホの画面から目を逸らさずにポツリと言った。
「だったらルール決めよ。生活ルール」
「ルール?」
「掃除は週1。洗濯は別。冷蔵庫の棚は半分こ。風呂は30分以内。あと、夜中に音鳴らすの禁止」
「了解」
「あと、うちが無言でも話しかけんな。スルーしてたら“話しかけんな”の合図だから」
「……うん」
「わかってんのかよ」
「わかってる。じゃあ俺からも一個だけ」
「は?」
「寝るときはイヤホンつけて。夜中にTikTokの笑い声流れると地味に怖い」
彼女は数秒無言になって、
ふっと鼻で笑った。
「はあ……しょうもな」
そのくせ、その夜はイヤホンつけて、静かに寝たらしい。
ベッドに横になった俺は、
薄暗い天井を見つめながら思った。
(絶対、めんどくさい。…けど、なんか、放っとけないかもしれない)
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