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#uni
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この世界には古くから伝わる伝説がある。剣と魔法そして異形の魔物が蔓延るこの地を救うのは、光り輝く勇者だと……。
だが運命の歯車は狂い――
この地に招かれた救世主は伝説にさえ記されていない「鋼鉄の戦士」だった。
その腰に巻かれた「ベルト」が、新たな神話を紡ぎ始める。
そして――人々はその姿を見た時にこう呼ぶのだ。
**「仮面をつけた騎士……仮面ライダー」**だと
現代
カーテンの隙間から差し込む陽光が容赦なく俺の顔を強く照らした
頬に張り付いたタオルの感触と、妙に静まり返った家の空気…嫌な予感が背筋を駆け抜ける。重い頭を無理やり持ち上げ枕元のデジタル時計に目をやった。
液晶に表示されていたのは――ホームルーム開始まで残り15分という時間だ
「……は?」
一瞬思考が真っ白に染まる
「うわあああああああ! やべぇ、完全に寝過ごしたッ!!」
絶叫とともに布団を蹴り飛ばし、裏返ったままの制服に足を突っ込む
今日は移動教室で、いつも以上に厳しい先生の授業があったはずだ。親友の龍也の「おい〜絶対に遅れるなよ」という、呆れを含んだ低い声が脳内で再生される。
洗面所を飛ばし階段を二段飛ばしで駆け下りる
パンを咥える暇さえない
乱雑に荷物を詰め込んだ鞄を掴み、玄関を飛び出そうとしたその時、鞄の奥で**『カチリ』**と硬い音が響いた
それは昨日立ち寄ったホビーショップで妙に惹かれて手に入れたライオンのフィギュアだった
なぜだか一刻も早く学校へ行かなければならない焦りとは別にそのフィギュアを置いていってはいけないような奇妙な胸騒ぎがしたのを覚えている。
「手荷物検査があったら怒られるけど……まいっか!」
そのライオンを急いでカバンに入れ急いで家を飛び出す
「はぁっ、はぁっ、……ま、間に合った……!」
教室の重い扉を勢いよく開け放つと同時に予鈴のチャイムが校舎に鳴り響いた。
膝に手をつき肺が焼けるような熱い息を吐き出す、教室中の視線が俺に集まったが、そんなことを気にする余裕なんて一ミリもない
「……海斗〜お前あと五秒遅かったらアウトだったぞ」
バカにするような声の主は窓際の席に座る龍也だった。相変わらず人を煽るのが好きなんだな
「っせーな……。間に合ったんだから、いいだろ……」
ふらつく足取りで自分の席へと向かい、鞄を机に放り出す
なんとか日常を繋ぎ止めた……そんな
安堵感に包まれながら俺は鞄の底にある「ライオンのフィギュア」の感触を無意識に確かめた。
「……なあ、海斗?それ何?」
龍也の声が、さっきまでのバカにするようなトーンではなく興味津々で話すように
「これ?それがさ〜……昨日帰る時に古いホビーショップがあってよ」
俺はあの日の事を親友の龍也に話すのだった、あいつは不思議そうにもちゃんと話を聞いてくれている
「ん?なぁ……そのホビーショップ駅近にあったやつか?ならそれ…俺らがガキの頃に潰れたはずだぞ?」
いきなり言われて俺は脳の処理が追いつかなかった、冷や汗をかいた、運動もしていないのに息があがった
「何言ってんだよ?昨日たしかに……あれ……」
記憶が薄れていく……覚えていたことか嘘のように脳内でパズルの用に崩れ、消えていゆく
店の名前、店主の顔、行った道のり、全て竜也に伝えたいけど言葉が出ない、いや出ないんじゃない、脳から消えていくんだ
「海斗?保健室……行くか?」
こいつが本気で心配してくれるのは本当にやばいと思った時だ……そう……心配をかけてしまっている
「いや……大丈夫……うん……」
平然を装い俺は部活用のタオルを使って汗を吹いた、その日の授業に集中しようとしたけど出来なかった、あの日の事を思い出して
放課後。いつもなら部活の掛け声や生徒の話し声で賑やかなはずの校舎がなぜか今日に限って、ひどく寒々しく感じられた。
「……本当なんだな? 海斗」
隣を歩く龍也が鋭い視線を路地の先へと向ける…… 俺は何度も頷きながら昨日通ったはずの道を必死に思い出していた
「ああ。間違いねぇ。細い路地の突き当たり、赤い屋根の……」
だがその言葉は途中で止まった……
辿り着いたその場所にあったのは、赤い屋根の店でも古めかしい看板でもなかった
そこには……ただ、膝の高さまで雑草が伸び切った**「空き地」**が広がっているだけだった
「……そんな、バカな」
足の震えが止まらない。昨日俺は確かにあの扉を開けた、そして店主の親父さんと話して棚に並んだフィギュアを眺めたんだ。その感触だってまだ指先に残っているはずなのに
「言っただろ、海斗。ここは十年前にはもう、何もなくなってたんだ」
龍也が空き地の真ん中に歩み寄り乾いた土を蹴る
「きっと……悪りぃ夢見てたんだよ、お前最近部活頑張りすぎてさ……そのライオンのだって昔からあったけど脳が勝手に認識してるだけとか」
混乱しすぎて龍也の言ったことを信じてしまいそうだった、その時
「違う……」
口が勝手に開いた、何も言う気はなかったけど止まらなかった
「もう帰ろう……」
龍也が乾いた空き地の地面を蹴ったその時だった
この世界に帰って来れなくなったのは