【茶番】
【皆で飲み会開いた結果…が地獄絵図だった〜柱&上弦〜 】
続きです。
詳しい設定(各キャラのお酒に関しての設定など)は一話目に書いてあるので、必ず先にお読み下さい
参考にしたスレの文章を参考にして本文を書きました
【とんでもない文字数になってしまいました。(1万文字以上)】
⚠️注意⚠️
書いている主は未成年ですので、お酒の知識に関しては未熟です
二次創作です、ご本人様とは関係ございません
察するのが早い方は分かるかと思いますが、キャラ崩壊がえげつないです。
上弦の鬼達と柱達が仲良くしていますが、深くは考えないようにお願いします。
先程も言いましたが、今回キャラ崩壊のオンパレードです。
上二つ、 苦手な方はブラウザバックをお願いします
完全に主の欲で書いたので、少々分かりにくい所があるかも知れません。
読む前に各キャラ酔ったらどうなるんだろう?と予想してから読むともっと面白くなるかもしれませんね。
理解した方は行ってらっしゃいませ。
「…わぁ……」
霞柱、時透無一郎は部屋の人気が無い入口の方でポツリと眉を顰めながら呟き、中央の方へ目をやった
今日は珍しい事に柱と上弦で集まり、更に珍しい事にお館様からのご厚意という事で、なんと酒が振る舞われた。
入ってすぐに目に入ったのは、所狭しと並べられた料理の品々、そして中が酒で満たされた瓶。
日本酒や葡萄酒、焼酎や麦酒なども出た。
無一郎や上弦の陸、妓夫太郎と堕姫は基本的には飲まず、お茶やサイダーで過ごしていたのだが……
気付けば辺りには大小構わず空っぽになった酒瓶があちこちに転がり、お酒の匂いがぷんぷん漂って充満している
そこだけを切り取っても控えめに言って酷すぎる。酷い有様で、地獄絵図と言っても過言ではない。
無一郎は無理矢理視野を広げる
その光景に、苦笑混じりにため息をついた
「なァ…霞柱…だったかァ…?」
「あ……確か上弦の陸だったっけ、どうした…って言うまでもないか」
妓夫太郎は無一郎と同じように息をつく、苦笑半分、ため息半分に。
「全く……酒を飲むと大人はこうなってしまうのね…」
妓夫太郎の隣に立つ堕姫も、渋い顔で言った
ともかく、初めてにしてこの三人は目の前に漠然と広げられた地獄絵図という名の状況に対応しなくてはならないので、ガックリと膝をつきそうになるが耐え、瞳を合わせてコクリと頷く
不思議な事に、揃いも揃って口元には微かな笑みが浮かんでいるようだった
と、聞こえてきたのは
「冨岡さぁん!お酒が足りてないんじゃないですか〜?ほらほらぁ!!まだまだ呑みましょうよ〜〜!! 」
「呑むぞ!!呑む!!実際俺はこの程度では酔わないんだ!! よし胡蝶、俺が水柱の名にかけて、この蝶屋敷中の酒を飲み尽くしてやる!!!」
「きゃーーー!!!冨岡さん最高ーーーー!!!!」
……oh……
「…じゃあ僕はこっち…柱達の方にいるから、二人は上弦達の方に行ってくれない?」
「…そうして貰えるとありがたいなァ。…頑張れよ」
「そっちもとんでもないことになってるけどね…」
一先ず彼らはあの光景を見なかったことにして、上弦の陸達は奥の上弦が集う机に向かった
さて……
どうしようもない。
お分かりいただけただろうと思うが、”あれ”があの 蟲柱、胡蝶しのぶと水柱、冨岡義勇。
二人とも酒の瓶を掴んでは酒気に満ちた顔を真っ赤に染め、冨岡義勇は普段の静かさが嘘かのように目立って騒ぎ立て、胡蝶しのぶは彼にまとわりつくように縋っては褒めちぎっているのだ。
その言動の暴れっぷりと言ったら!!見ているのが辛くて直視出来ない程。
普段の言動とは天と地ほどの差があり、これを現実と認識するために時透無一郎は思わず頬をつねってしまった。
───無論、夢ではなかったのだが。
そして二人は信じられないくらい笑顔。
「よぉ、時透。見事に派手になっちまったな」
と、そこへ声をかけてきたのは音柱、宇髄天元。
「宇髄さんは二人みたいになってないんだね、顔とかも大丈夫そうだし、宇髄さんは…… 」
大丈夫、と言いかけたところを上から言葉を重ねられる
「いや、無理だな。俺は派手に記憶が吹っ飛んじまうタイプの人間でな。こんな最高に派手で面白ぇ光景を忘れちまうのが残念でたまらねぇよ」
見れば足取りが少し危ない。無一郎は思わず本音を宇髄にぶちまけた
「はぁ…。じゃあ無理に呑まなければいいのに」
「世間を知られねぇガキだなお前は。付き合いとかで呑みたくなくても呑まなきゃいけないこともあるってもんだ。明日の朝にはどうなってるんだろうなぁ。」
しげしげと宇髄は呟き、別の方向を眺め出した
「…そういや、上弦も派手にやってるな。再生力が化け物の奴らでもやられたみたいだな」
「はぁ……。何なの、一体」
「ともかく、俺は明日にはお陀仏だ。世話かけるが、後は頼んだぜ、色々とよ…」
最後に言い残し、宇髄天元は外に出て行った
無一郎は天元が言った言葉が妙に気になり、ふと上弦の方に目をやる
少し背伸びをして遠くを見ると、口元が微かにピクピクと動き出す。が、すぐに自力で消すと、今度は隅の方で静かに固まっている三人組へ近づいて行った
なんだぁ、これはぁ……
これが第一の感想。
酒の瓶が辺りに散乱しているのも、酒の匂いが毒ガスのように漂っているのも同じだ。腐っても同じ部屋だからだろう。
「少しなら」とはどの口が言うのだろうか。
だが、こちらは比較的ありがたいのか迷惑なのか、固まっているお陰で一気に目の中に現実が飛び込んで来て、状況が整頓できない。
ただ、一つ、この段階で言えるのは___
こんな先輩(?)や同僚(?)の姿は見たことが無い…という事。
さて、どこから詳しく見ていくのが正解だろうか。妓夫太郎は首を動かすが、パッと目に入るのは……
刹那、声が聞こえてくる
「何故…何故私の壺はこんなにも汚いのか…どこを見ても酷い…。色使いも形も理想とはかけ離れている……!!」
「お兄ちゃん…これだr」
「しっ」
何事も口に出して言い訳じゃねぇぞ。「これ」っておい…「これ」はやめておけ。
妓夫太郎は咄嗟に堕姫の口を塞ぐ
隅の方でグスングスンと鳴き声をすする音が聞こえる。それは上弦の伍、玉壺のものだ。
色が滲んだように顔を赤く染めつつも、いつもの芸術家気取りな態度はどこへやら、今は片手で壺を掴みながら悪い悪いと喚いて涙を零している。
器用なことに酒瓶を口に運ぶことも忘れずに。
普段の頭に残る笑い声は、一体どこへ出かけて行ったのだろうか。
そういえば、どこかで聞いた事があるな、酒を呑むと泣き始めるタイプの人もいると……。
あちらのように騒ぎ立てていないからまだマシか、と思うが、そうすると____
明らかに言葉が通じそうではない。妓夫太郎は即座に玉壺を諦め、ちょいちょいともう少し端の方に誘導しておいた
その時、反対に自ら声をかけてきた者が現れる
「妓夫太郎…堕姫……」
「半天狗…いや憎珀天か?平気なのかァ?伍はあんな事になってるが……」
いや、と憎珀天はかぶりを振った
顔は平気そうだが、直立とは言い難い。本人は立っているのだと思うが、僅かに左右にふらふら揺れていた
足元が少しおぼつかないようにも思える。
「呑みすぎなければいいのだが…この調子だと呑まされそうだ、そして呑みすぎると記憶を飛ばす」
憎珀天は苦笑するが、とりあえず話が通じる相手と出会い、内心ほっとする
危ないっちゃ危ないけれど。
「…あの三人が一番の本題じゃない?」
「…合っている、儂も揉まれればすぐさま潰れる。水を持ってきてくれぬか」
一番まともそうなのは憎珀天らしい。なんか意外だなと思いつつも、堕姫は水を注ぎに器を持って去った
「…止められはしないだろう、儂が言えることでは無いが…頑張れ」
そう言ってからある方を見て苦笑し、憎珀天は元の位置へ戻って行ってしまった。妓夫太郎は目で彼を目で追うと、自然と目に入ってしまう
それに対して、笑いと苦笑とため息が混ざってくちゃくちゃになり、とりあえず小さく笑いを落とした
そして、問題の「三人」にトコトコと近づいて行った
時透無一郎は隅の方で身を寄せあっている三人に近付き、立ち止まった
なんだろうか、周りに漂う雰囲気というか、空気感というものが、妙に酒臭い。上手く言葉で表せないのだが。辛気臭い、の方が伝わるだろうか。
無一郎は普段の癖も相まってかいつもは満場一致で「明るい」という印象をつけられるであろう一人に呼びかけた
「煉獄さん? 」
あれ?と無一郎は感じた
煉獄杏寿郎は無一郎の方を僅かに首を向けると、頷くだけで返事をせずに、盃を口に運ぶ。首を定位置に戻した以外は、身動ぎすらしない。
無一郎は思う。煉獄さん「らしくない」…と。
「(置物みたいだ…いつもは冨岡さんがそうなのに…)」
無一郎は後ろの方に再び目をやると、さっきのような見るも見れない様子が当たり前のようにあった
遠くからだと聞こえにくいかとも思ったが、問題なく飛んでくる冨岡義勇の声。次から次へと何やら調子のいい事を言っているみたいだ。
まるで自由の女神のように盃を持ち上げながら。
そんな冨岡の腕に抱きつきながら地面に寝そべり笑い転げている胡蝶しのぶ。説明していても正直何が何だか分からない。
そして奥底から笑いがこみ上がってくるが…無一郎は噛み殺す。
冨岡さんと煉獄さんが入れ替わったのかな…?と思わずにはいられないではないか。
極端に静かになってるだけだからまだまだ…と思い、煉獄杏寿郎から目を離し、今度は隣で葡萄酒の瓶を傾けている不死川実弥に声を掛けた
「不死川さん」
「おォ……時透かぁ……」
返事をくれた。それだけで無一郎はいくらか安堵感に包まれた
「不死川さんは大丈」
「あのなァ…時透…この葡萄酒……」
「…?」
「これなぁ…あのなァ…」
「え? 」
「まろみ…まろみが……」
____ダメだこりゃ。時透無一郎は早々に不死川実弥を諦めた。
返事を寄越したとしても、会話ができるとは限らない。
今初めて知った。時透無一郎、14歳、初めての経験である。
チッ、とそこそこ大きめの舌打ちをかましそうになった途端、それと反対に、自ら声をかけてきた者がいた
「時透……」
「あ…悲鳴嶼さん……」
岩柱の悲鳴嶼行冥だ。彼は顔が赤く染まっており、今の二人と比べると酔いやすい体質のようだ。
「すまないが…水を持ってきてはくれないか…ついでにこの二人にも…」
「あ…はい」
「すまない…歳若い君に世話をかけて……」
「いいんですよ、悲鳴嶼さん。休んでて下さい…」
無一郎は3つ茶碗に水を注いで持ってくると、行冥に手渡す
自分がこの状態なのに関わらず、他の柱を心配して気遣える悲鳴嶼行冥は流石だと、無一郎は心の底で深々と頷いた
二人にも水が入った茶碗を置いてやる
「…恩に着る……」
「世話ンなるなぁ…」
あ、そうだ。と思いつき、時透無一郎は周囲を見渡して、視界に飛び込んできた木桶を掴み、水をたっぷりと取って持ってきて、酒の瓶達の間に置いておいた。
こうすればあとは自分達でこの三人は何とかしてくれるだろう。
はぁ。なんだか疲れた。
「(でもあの三人は極端に物静かになってるだけだからね…)」
これで大丈夫。手間がかからないと言ってしまえばそれまでなのだから。
「(これで良し…あとは…)」
一息ついて、グッと背を伸ばし、座敷に目を向けた時透無一郎。
「伊黒さ〜〜〜〜〜ん!!!」
「おい童磨ぁ〜〜!!!!!」
「oh……」
二箇所から聞こえた意表を突く大声に、思わず先程は心で収めておいた…いや収められていたあっけらかんとした声が突かれるようにして飛び出てしまった
「…あっちでも…こっちでも…あーあ…」
無一郎はガックリと肩を落としかけたが、強引に押し戻した
同時刻。
上弦の弐の名を呼ぶ大声が高く鳴った
テクテクと近付いていた妓夫太郎は、驚きで変な声を上げそうになり、片手で口を抑えた
丁度水を運び終えた堕姫が妓夫太郎に寄ってきた時に叫んだものだから、ビクリと肩を特大に跳ね上げてしまったのは、言うまでもない。
妓夫太郎は肩をすくめて、瓶を傾ける三人を見つめた。
声の主は上弦の参、猗窩座。鬼側の酔った冨岡義勇と言えるだろう。
酒気で顔を赤く染め上げ、酒の入った瓶を傾けながら、柱を鬼に勧誘する時よりも明るい笑みを浮かべては笑っている。
まるで別人だ。いつもの仏頂面は一体何処へ去った。童磨に自ら進んで絡みに行く猗窩座なんて、誰が想像できただろうか。
そのお相手となっている童磨はせめてもの救いだったのかどうなのか、酔ったとしてもいつもよりテンションが上がっているだけで性格やらは変わっていない。顔はしっかりと赤くなっているが。
隣に仏像のように座っている上弦の壱、黒死牟。
この中では一番平和だ。二人の絡みからは他人のフリをしているようにガン無視。
妓夫太郎にわかにホッとして、声を掛けた
「黒死牟さんよォ」
「妓夫太郎か…」
あ、ちゃんと会話できそう。そう思った刹那
「あの二人…なんかこう…なんか…狂って騒ぎまくって…やばいな………とにかくやばいな……」
……あ。あーあ……
語彙力崩壊してねぇか…?
いつもの流暢で冷静な口調はどこへやら、まるで子供みたいな言葉遣いに大変身を遂げた。でも、言ってしまえばそれだけ…それだけである。
妓夫太郎と堕姫はこれは頼れると胸を撫で下ろした
____あ、でも…これ以上呑んだら…まともに会話できなくなりそうな気もするし…
「黒死牟さん…あの、お酒は大丈夫なんですか?」
「いや…私は弱い方…。すぐに酔う…、ノリと勢いで行けばこのまま倒れそうだ…。やb」
「やっぱそうですよねェ…」
『やばい』の出現率高っっかいな。確かに語彙力が死んだ時とかによく使うイメージはあるけどよ…
妓夫太郎はため息をつき、堕姫はついでに持ってきていた水を入れた瓶を紛れ込ませるようにして、酒瓶の間に置いておいた。時透無一郎とやっている事は同じである、こういう時は考えが似るのだ。
…本当にこれ以上酔わないで欲しい。悪化したら会話すら出来なくなるだろう。何とか止まってくれよ、と兄妹は心で念じ続けた
「ねぇねぇ堕姫ちゃ〜〜ん!!!」
「げっ…」
割り込むように飛んできた、明るく、けれども絡みつくような声。間違えるはずもない、童磨だ。
堕姫も思わず目を逸らして引いたような目線を送る。だがそんな様子の堕姫に目もくれず、あっはっはと笑いながら手をヒラヒラと動かして手招きしていた
「ね〜ぇ〜堕姫ちゃんも妓夫太郎君も一緒に呑もうよ〜!!」
うっ、これはロックオンされたら揉まれちまう……
憎珀天の言葉が脳裏をよぎる。忠告してくれたのかは分からないけれど、言ってくれただけ有難いと妓夫太郎達は感じた
その時、童磨の肩にトンと置かれた手の平。その指先は青く色が付いていた
呑む前に一度同じ光景があった。その時は、この世のものとは思えない形相をしていたが…
今回は肩から覗く面持ちは輝かしい、弾けるばかりの笑顔。
こいつはこんな表情ができるのか…と、 妓夫太郎は内心驚きを隠せず、数秒空いた口が塞がっていなかった。改めて、お酒…アルコールがどれだけ身体に影響を及ぼすのも同時に理解して。
「おい童磨ぁ、二人は未成年だから呑めないだろうが〜!!」
「ああっ、そっかぁ〜、残念だなぁ〜ねぇ猗窩座殿、俺達で呑んじゃおうぜ〜〜???」
「そうですそうです、後は二人で楽しんで下さーい」
と棒読みで返事をしてすごすごと下がる上弦兄妹。実を言えば 彼らは内心冷や汗をかいていた。
「(一番絡まれたら危険な奴だった…)」
と。
酔った奴には酔った奴をぶつけておけば何とかなるだろ、と半ば強引に自分に言い聞かせて、これ以上弐と参に絡まれない内にすごすごと部屋の奥へ一目散に向かった
部屋の隅っこから見える光景は、あまりにも滑稽で、カオスそのものだった
びぃびぃと理由も分からず響くすすり泣く声、真逆にぎゃあぎゃあと騒ぎ合う姿……それが普段は壊滅的に仲が悪い奴だとしたら。
それに混ざり合う、どちらかと言えばマシな人々……
気付けば、妓夫太郎と堕姫は、下を向いてうつむく
気が滅入ってしまったのだろうか?____いや、そうではないようだ。
くすくすと、噛み殺した笑いが噛み切れず溢れ、声を殺して笑っていた
こんな面白すぎる光景を覚えていられるのは、酒を含んでいない彼らだけなのだ。
だとしたなら、この時間を楽しむべきか…という考えに腑が落ち、口元に手を当てて大声で笑いだすことは絶対無いように肝に銘じ、同じく呑んでいない者がいる場所へ向かった
「伊黒さ〜〜〜〜〜ん!!!」
「oh……」
さて、少し時は遡る。
突如として響いた黄色い声に、無一郎は普段使う事のない音階の声を出してしまった。
目を瞑りたくなる気持ちを後ろに隠し、無一郎は声の主を見つめる
その主はもちろん、恋柱、甘露寺蜜璃だ。彼女は自分の辺りいっぱいに「♡」をまるで振りまくようにして蛇柱の伊黒小芭内を抱きしめているのである。
そんな小芭内は、何故か甘露寺に目もくれずに日本酒を注いでは口に運び、注いでは口に運びをロボットのように忙しなく繰り返している
──────二人の顔はペアルックの如く真っ赤。
「伊黒さん!好き!!伊黒さんだぁーーーーいっ好き!!カッコイイし可愛いわ!!伊黒さんは最高に素敵だわ〜〜!!」
「あの……二人共?甘露寺さん、少し酔すぎじゃ…」
って、耳に入る訳もないか、と無一郎は不死川実弥よりも尚早いスピードで諦めた
「あ、うん、もうなんかそれでいいよ。伊黒さん?なんか……色々と大丈夫?」
「時透か……俺は…」
「え?」
「俺はもう……諦めた…」
「諦めたって…何を?」
「甘露寺を引き剥がすことと……この記憶を残す事だ……」
「……?もう引き剥がせるのは上弦達の力を借りるか悲鳴嶼さんくらいだと思うけど…。悲鳴嶼さんあの人ああだし…見る限り上弦も潰れてるし…というか記憶って?」
「俺は泥酔すると記憶が無くなる…だから呑みまくって記憶を飛ばす…この出来事にまつわる恥ずかしい記憶を…」
「えぇ〜〜〜〜っ!?!?伊黒さんやだやだやだやだ私の事忘れないでよぉ〜〜〜〜っ!!!私の事だけずっと見ててよ〜〜〜!!一生一緒!幸せに暮らそうよ〜〜っ!!!!」
その間に、無一郎は伊黒小芭内に悪いとは思いつつも、このままでは自分の身が持たないと、隅の方へ走った
という訳で、時透無一郎は広い部屋の隅に追いやられる羽目になったのだ。彼は胡座をかいて座り込むと、ふと冷静になって辺りを見回す
端で黙りこくっている者…ぎゃあぎゃあわぁわぁと楽しく騒ぎ合う者…一方的に抱きしめている者にずっと無視をし続ける者……
この状況を説明するには、現行用紙三枚を容易く超えるだろう。
「(ひどいなぁ…本当にひどいなぁ……)」
無一郎はしばらく睨むように風景を眺めていたが、次第に口元が緩み、いつの間にか声を殺して笑っていた
そんな中、彼は体勢を直すために少し立ち上がる。
すると、脚が自由に転がっていた空の酒瓶に辺り、また遠くへコロコロと転がって行った
無一郎は自然と酒瓶に視線が移り、それを追う。すると、向こうからこちらに歩いてくる二人組に気づいた
「…あ、あの二人は…」
「…よォ、そっちもやばかったみたいだなァ」
「そっちもでしょ。もう止めるとか諦めた方がいいよね」
「そうね、もう可笑しすぎて私達は楽しむ事にしたわ」
堕姫がぷくくと口元を抑えて笑う。思い出し笑いだろうか。
「もう俺達はよォ…この現状を楽しむ事にした…」
「……何だろうなぁ、その気持ち…すっごい分かるよ。じゃあ僕もそうしちゃおっかな〜…」
無一郎はクスリとそう笑い、一つ、立っていた酒瓶をつまみ上げた
その中には4割程麦酒が残っていて、無一郎は先端の所を指で弾いてやると、チン、とラムネの瓶のような透き通った音がした。
鬼殺隊は、命懸けで鬼と戦う者達だ。
鬼は、容赦なく人々を殺し、喰らう者達だ。
いつも何時も、気を張りつめて生きていた。なぜなら、何時、何処で、誰が命を落とすか分からないからだ。
それは、言ってしまえば条件はまるで違えど鬼側も同じ事。
───意味合いが恐ろしく違うのは丸分かりだが。
でも、今の状況はどうだろうか。前例として、まず敵と親しげに宴をしている時点で異常だが、少しは両者共に「敵対意識」を捨てきれずにいても仕方がない事だと思う。
____だが今はどうだろうか。敵も味方も関係ない。ただただ目の前に広がっている楽しい愉しい現実をまるで泳ぐように進んでいる。
この光景を皆は覚えていられるのだろうか。覚えていなかったら、皆に教えてあげよう。きっと顔を真っ青にして驚くだろうな。
今は、この雰囲気を心行くまで楽しもう。教える為にも、この空間で情緒を保っている為にも……
無一郎は上弦の陸の二人と視線を合わせる。目が合うと、静かに微笑んだ。
───考えは一致だ。
彼らは座り込む。目立たない、けれど輪に入っている…その絶妙な距離感の所に。
しつこいくらいに、またもや酔っ払い達の愉快な声が弾けている
その声は、彼らの耳にゆらりと届いた
【ご視聴有難う御座いました。】
【お疲れ様でした、少しスペースを頂きます
※ここからはキャラ崩壊爆発☆。 本編(?)ではありませんが、同様にお楽しみ下さい。時透無一郎 にツッコミを任せます。
長すぎるので、ここで切っていただいても結構です。
小説がコメディ仕様(?)になります】
(無一郎視点)
「はいはいはいはい!!!一発芸やりま〜す!!このウォッカを……」
頼んでもいないのに一発芸の名乗りを上げる冨岡義勇。そしてその辺にあった酒の瓶を両手で包み込むように掴んだ。無一郎はその瓶に記されていた表記を運悪く見てしまった
『ウォッカ 度数80%』
……ん?ハチジュッパーセント…??
待て待て待て、この人(冨岡義勇)どんだけ飲むんだ!?もう体に収まりきらない位飲んでるはずなのに!?……って度数高くない!?あんまり知らないけど高ければ高いほどやばいんじゃなかったっk
ゴキュゴキュゴキュッ……
風呂上がりでもこんながぶ飲みのやり方はしない。滝を浴びるみたいに口の中に注ぎ込んでいる
____なんだよもぉぉぉぉぉぉ
なんなら口から溢れ出てない?ほぼ顔面に振りかけるじゃん
あ、一発芸始めるみたい。
「水の呼吸……拾壱ノ型… 凪!!!イェェェェェェイッ!!!!!!」
なんだよもぉぉぉぉぉぉ!!!
冨岡義勇が先程まで持っていたウォッカの瓶をステージのマイクの如くぶん投げ、どこか遠くでパリンと音が鳴ったが気にとめたのは誰も居ない
そして皆の視線に必ず映る場所で訳の分からないおかしすぎる動きをし続けている。
木刀をめっちゃくっちゃに動かすような動き…と思ったら今度はタコにそっくり……ん??あーあーそんな酔っ払った勢いで逆立ちなんてしちゃったら……!!
無一郎が思わず駆け出そうとした時だ。
義勇は漫画のようにすってんころりん、逆立ちしようとした弾みで頭から畳に突っ込んだ
ドシンと派手な音が火花を飛ばし、それがきっと笑いの栓を開けてしまったのだろう。
極端に静かになっている奴らはともかく、酒のせいで陽キャになっている奴らの笑い声は半端じゃない。アッハッハッハと小学校低学年っぽい笑い声が響き合い、混ざり合い、辿り着いたのはここしかない。
これ以外にこれを表す言葉があってたまるか。
───いや、あるかな…
……うん、まぁ、もういいや、それで。
ブワッハッハッハッハッハ!!!
____なんだよぉぉぉぉぉまたかよぉぉぉぉぉぉ
冨岡さぁぁぁぁん僕が周りに気を取られてる内にになにしてたんですかぁぁぁぁぁぁぁぁ
もういい加減にしてくれよぉぉぉぉぉぉ
「どうした煉獄?全然酒が進んでないじゃないか!?ほら飲め飲め!!今日は上弦まで入った宴だ!!!なんだったら、俺がついでやろうか!?!?」
「冨岡…、君はもう少し静かに飲んだらどうなんだ…」
……ゑ?
………ねぇ本当に二人とも人格入れ替わってない???
あ〜…もう本当にちょっとやめてくれないかな、もうここだけで頭の中が爆発しそうなのに上弦がプラスされたら整頓できる自信が無い…
──────あ。僕が思ったのって綺麗なフラグじゃないk
「ねぇ〜冨岡君だっけ?面白すぎるんだってばぁ!!!ねぇ、せっかくなら一緒に飲もうよ!鬼が一緒に飲むのは駄目ってルールなかったもんね!!」
「冨岡さぁん、ヒック、いいですよね〜??私が勝手に連れてきますよぉ?」
「もちろんだ!!!さぁみんなで飲め飲め〜〜!!」
「わぁ〜〜〜い!!冨岡さんさいっこぉ〜!!!ねねっ、そこの二人〜!ほらーほーら、来て下さーい!!」
───やめてくれぇぇ
ただでさえべべれけの胡蝶しのぶ、冨岡義勇だけでもキツすぎるのに、そっちまで合わさらないでくれないかな!?
…あーあーもう無理だ、移動しちゃってら、僕も上弦の陸も止める勇気がないってば……
___化学反応で爆発する未来しか見えないんだけど!?
𝑶𝑯 𝑴𝒀 𝑮𝑶𝑫.
騒がしい奴らがプラスされて、無論、更に騒がしくなった。
あー…あーあー……。もう「あ」しか声が出ないや…
このカオスも楽しんで…待って、騒がしすぎて逆に楽しめないんじゃないかな…?
そういった変な不安すらも現れてくる。
「なぁ杏寿郎〜!!久しいな!!何時ぶりだ??」
「煉獄さぁぁん!!伊黒さんが私に構ってくれないよぉ!!!私の事忘れるとか言ってるの〜〜〜!!」
煉獄さんに集まらないでくれよ……ただでさえ今冨岡さんが憑依してるんだから…
もちろん、酔っ払い達が聞く耳を持ってくれる訳もないのだが。
「猗窩座…蜜璃…二人ももう少し静かに……」
「わぁ伊黒さぁぁん!!忘れる為に飲んでるんでしょ!?!?飲まないでぇぇぇ!!」
聞く耳持たず蜜璃はまた伊黒さんの方へ千鳥足で駆け出していく
「なぁ杏寿郎〜!!前会った時よりも静かじゃないか??お前も飲まないのか?」
「…猗窩座…以前よりも暑苦しいぞ…静かに飲んだ方がいい……」
「なぁきょーじゅろ〜!!少しくらいいいじゃないか〜!!!」
「ええっ!?!?猗窩座殿〜!!!俺と一緒に飲んでくれないのぉ〜?寂しいよぉぅ…」
ほーら化学反応で爆発したよ!!やめてくれダル絡み!
でも引き剥がす勇気は出てこない…なんだったら空気感だけで吹き飛ばされそうだし…
酔ってて力の加減が出来なさそうだから馬鹿力で飛ばされそうだしな…
見れば今にも組体操を始めそうな空気感。…なんか煉獄さん、馬乗りされてない?
もう諦める!!諦めるが勝ち!!
無一郎は我慢ならずダル絡みで溢れかえった煉獄杏寿郎周りを諦めて目を逸らす
____ごめん、煉獄さん…
───ああ、本当に休む暇がなくカオスな状況が続く
「何っ!?不死川、お手洗いに行きたいだって!?分かった分かった、俺が連れて行ってやろう!」
「おい…そんなもん……お前がいると邪m」
「ほら行くぞ!!!!」
これ本当に連れていく為だよな!?『善意』だよね!?
無一郎はそんなに遠くもないのに目をゴムゴムの実の能力者並に飛び出さんばかりに凝視した。
……何故かって?
それは冨岡義勇が不死川実弥の首を締めるように掴んでいたからさ。
……分かりやすく言えばヘッドロック。そうだ、あれだ。前に胡蝶さんが言ってた。
「鬼を倒そうとしたら冨岡さんにヘッドロックされました。あの状況といえど、首締められたかけてたんですけど」
ってさ。
……あのさ
やりすぎやりすぎ、何してんの冨岡さん!!あーもうー…一時も目を離しちゃダメな奴じゃん……
____胡蝶さんもね。
次は一体なんのイベントが始まるんだろあな〜…
「はいは〜い!!私も一発芸やりまぁぁす!!!」
───うっそ、胡蝶さんが一発芸!?あの胡蝶しのぶさんが!?
っ___ちょっと見てみたい自分が…心の底に…
……これは酔いが覚めた時、伝えたら取り乱して仕方ないだろうな。
もう収集がつかないって…本当に明日どうなっちゃうんだろ。
無一郎が心の中で軽く悟りを開いてるのも知らず、どこからでも必ず視線に入る場所に移動する。
…フラフラと、目隠ししてお化け屋敷に来てもこんな歩き方はしねぇよ、っていう歩き方で。
そして、右手には滑り落ちそうなほどゆる〜く握られたお酒の瓶。
緩く持ちすぎて、ジョボジョボと酒が流れて彼女が歩いた道標になっていたが。
着くまでにお酒空っぽになっちゃうでしょ……飲みすぎてこれ以上狂うのも困るけどさ。
「じゃあやりまぁ〜す」
その一声で全ての視線が胡蝶しのぶに集まる。酒の手を止める者も、止めない者も。
いつもならば真面目な面持ちだろうが、今はここぞとばかり真っ赤で、笑顔で、仕方なかった。
時透無一郎は、一人隅でため息を付くかのように笑った。
楽しむって思ってたのに、つい気にかけちゃう物なんだな、と自分にも呆れるみたいに、心の底で笑った
──────その後。
──────あの張り裂けるような笑い声には、無一郎の声も混じっていた。
あまりのおかしさと物珍しさで、声を出して笑わないと肝に銘じていたのにも関わらず、床を台パンして爆笑してしまう事を、十秒前の霞柱、時透無一郎は知る由もない。
他に見たい出来事(絡みなど)とかあればコメントでお伝えください。中の人のやる気が出ればですが、その後も書きたいと思います。
長々とお時間を拝借してしまいました。
𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮
コメント
17件
初、1話で1万文字突破。いいねとコメントよろしければお願いします。
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙もう最高! 義勇さんが呑むぞ呑むぞ!って言っていてびっくりしたよ、 一瞬煉獄さんかと思って3度見くらいしちゃったよ… というかみんな性格変わりすぎじゃね?ああ現実でもこうだったらな…って思うよ、 アニメ化して欲しいな... もうほんとにそれくらい面白かったー!!! 義勇さんもしかして猗窩座に対して続きは下にあります!
おい!めっっちゃカオスやん!! こんなカオスな話作れるなんて…リーブってやっぱり天才+神や! これほどカオスな物語作るって唯一無二の才能だと思う!!! 鬼殺隊の皆騒がしくて好きww 面白すぎて腹筋割れた気がする!(※え)