テラーノベル
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戸惑ったような顔をする花月。俺は…優しいわけじゃない。花月にいい人だって思ってほしくて…いい人を…演じてきた。
「ちょ……。」
花月の首に顔を埋め首筋を舐めながらゆっくりとキスを落としていく。
さすがに体をビクつかせる花月。
「聖さん…からかっているの…?こんなことするような人じゃ…。」
一生懸命、俺の胸を押して抵抗しようとする花月。その姿さえ愛おしく感じる。
「最後までしたら…信じてくれるか…?」
花月の服に手をかけボタンを外していく。
「聖さん…やめて…。」
次第に花月の声が涙声になる。震えていく体。
でも止める気なんて俺にはなかった。このまま……自分のものにしてしまえば…信じてもらえる気さえした。
「本当の俺を…受け入れてくれ…。」
唇を重ねようとしていたそのとき——
ドンドンドン ドンドンドン
1階から聞こえる玄関の扉をたたく音。その音で我に返った。
「俺…何して……花月、ごめ…」
「……。」
俺を見る花月の瞳は脅えていて、化け物を見るかのようだった。
俺は…とんでもない過ちを…犯してしまった……
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