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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

32 - 第二章 恋の分岐は、ありやなしや? EP.2「三度目の出会いは、何かが起こる予感」⑤

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2024年12月31日

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「まだ緊張しているのか? よければ、これを飲むといい」


備え付けの小型冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルが取り出され、車内にそんなオプションまであることに驚かされつつ、「ありがとうございます」と受け取った。


水をごくっと一口飲むと、少しだけ強張りがとけたようにも感じて、


「あの、今日はリムジンなんですね?」


話のとっかかりにと、傍らに座る彼へ何気なく問いかけた。


「ああ、私は必要ないと断ったんだが、周りから、新社長に就任したけんを示すべきだと言われて、仕方なくな。目立つことこの上なくて、あまりいいものでもないだろ」


薄っすらと眉間にしわを寄せ、彼が苦笑を浮かべる。


「そう、だったんですか」


自身で望んだことではなかったんだと思うと、この人は若くしてKOOGAという大企業のトップに就いたことで、こんな風にいつもプレッシャーを押しつけられてきたのかもしれないとも感じられて、ふと背負った重責はいかばかりなんだろうと、にわかに胸が痛むようだった……。

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