テラーノベル
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朱雀視点。
時が流れる。
声が聞こえる。
障子の向こう。
晴明くんとせいめい。
足音を殺して近づく。
聞こえてくるのは、穏やかな会話。
「せいめいさんを」
「みんなを救えて、良かったな」
………ああ。
やっぱり、
記憶はあるのか。
救えて良かった。
あれで全て正しい。
そう思っている。
その日の夜。
蔵でばったり 晴明くんを見つける。
探し物を頼まれたらしい。
一人だ。
ちょうどいい。
『晴明くん』
「……あ、蘭丸さん」
純粋無垢な顔。
ふっと笑う、その人懐っこさ。
何も知らない顔。
何も抱えていないような、目。
——本当に?
蔵の戸を背にして言う。
『1つ、聞きたいことがあるんだけどさ~』
別に、特別重そうには言わない。
いつも通りの会話。
日常会話みたいに。
「……うん?」
わざわざ探し物をする手を止めて、
僕と正面を向いて応えてくれる。
『記憶、あるの?』
一瞬の間。
それから、首を傾げる。
「……記憶?」
何のこと。
そう言いたげな顔に声。
でもさ。
『誤魔化さなくて良いんだよ~?』
『分かってるんだから』
ほんのわずかに、空気が張り詰める。
晴明くんの体が、強ばった。
ほんの一瞬。
見逃しはしないよ。
「……すみません…」
「何のことを言ってるのかさっぱりで……」
首に手を当てながら言う。
「それより僕、もう戻りますね…!」
「探し物は無かったって伝えなきゃ」
晴明くんが蔵を出るため、こちらへ向かう。
そうだよね。
出口は僕の後ろだもんね。
僕は戸を閉めた。
「…………え?」
大きな音を立てながら、
蔵は真っ暗に。
このために僕はここに立ってたんだよ。
君を逃がさないために。
『隠さないでって、』
『言ってんの』
そう言った瞬間。
ほんのわずかに。
晴明くんの目つきが鋭くなった。
さっきまでの*何も知らない顔*が、
崩れていく。
「……何のことか、分かんないんですってば」
「はやく開けてください…」
「暗いですから」
開けてなどやらない。
ここから動かないし、
晴明くんから視線を外さない。
沈黙が落ちる。
数秒。
それだけで、十分だった。
やがて。
小さく、息を吐く音。
「……バレるんだ」
諦めたように、呟く。
笑っているのに。
どこか、冷めている。
「全部、覚えてますよ」
やっぱり。
『……そう』
驚きはない。
ただ、確信に変わっただけ。
晴明くんは、肩をすくめる。
『……何で自分を犠牲にするの』
『……何で君はそういう人なの』
言いながら。
晴明くんの顔を見た。
何でって何。
何でって、何で聞かれるの?
そんな顔。
当たり前すぎて、
何でと聞かれる意味さえ分かってない感じ。
……はあ。
その顔。
出ると思ったんだ。
分かってたけどさ。
実際にやられると、ほんと無理。
無理だって、それ。
普通じゃないとか、そういう話じゃなくて。
──いや、もういいや、そこ。
どうでもいい。
問題そこじゃないよね。
そのままだとさ。
また死ぬじゃん。
君。
ほら、あの時だって───
ほげ
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腐ってて何が悪いですか?
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#安倍晴明
ほげ
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コメント
1件
夜のさんぽさん、第18話読みました……! 朱雀が晴明くんを蔵に閉じ込めて問い詰めるシーン、すごく緊迫してて一気に引き込まれました。あの「何も知らない顔」の裏にあるものを朱雀が見抜く瞬間、ゾクッとしましたね。最後の「また死ぬじゃん。君。」って言葉がめちゃくちゃ気になる……過去に何があったんだろう。続きが待ち遠しいです!