テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
楽屋の空気が、一瞬で凍った。
🎼🍍「……すち、俺の番に手ぇ出して何してんだよ」
その声は、低く、張りつめていた。
こさめが思わずすちの腕をつかむ。
🎼☔️「なつくん……っ、聞いて。すちくんはそんな――」
🎼🍍「こさめは黙ってろ」
その言葉に、こさめの肩がびくりと震える。
🎼🍵「……ひまちゃん、怒るのはわかるよ〜。
でも俺、“こさめちゃん”を傷つけるつもりなんて、ないもん」
🎼🍍「口答えしてんじゃねえよ」
なつはゆっくりとすちに近づく。
その目は、笑っていない。いや、いつも以上に“支配者”のそれだった。
🎼🍍「お前は、部外者だ。番でもねぇ、仕事相手でもねぇ。
勝手に距離詰めて、何様のつもり?」
🎼🍵「俺は……俺なりに、こさめちゃんを守りたいだけ。
それが“番じゃないからダメ”なら――そんなの、こさめちゃんが可哀想だよ」
🎼🍍「“可哀想”?」
ぐっと、なつの手がすちの胸ぐらをつかむ。
🎼🍍「お前に何がわかる。
こさめがどれだけ“俺のそば”で、必死で生きてきたか」
🎼☔️「なつくん、もうやめて!!」
こさめの叫びに、二人の動きが止まった。
🎼☔️「こさめは……っ、なつくんの“番”だけど、それだけじゃないの。
こさめ自身で、ちゃんと“考えたい”って思ってるの!
なのに、なつくんはいつも勝手に決めつけて……
こさめの“気持ち”なんて、見ようともしないじゃん!!」
静寂が落ちる。
その場にいた全員が、こさめの涙に言葉を失っていた。
🎼🍵「……こさめちゃん」
🎼🍍「……」
しばらくして、なつがゆっくり手を離す。
🎼🍍「……悪かったな。
俺、ずっと“番”って立場に甘えてたのかもしれねぇ」
その背中は、ほんの少しだけ、寂しそうだった。
🎼🍍「……すち、お前とは後で話す。
でも今は……こさめを、ちゃんと見る。
“所有物”じゃなくて、“一人の人間”として」
そう言って、なつは静かにその場をあとにした。
⸻
一方、廊下の角――
ひとり壁にもたれて、ずっとその様子を見ていたのはみことだった。
🎼👑「……結局、誰もこさめちゃんの気持ちを“まっすぐ”に受け止めてないじゃん」
胸の奥で渦巻いていた、嫉妬と焦燥。
それが少しずつ、形を変え始めていた。
(どうして、すちくんは――)
⸻
その夜、ひとりレッスン室に残っていたのはすち。
ピアノの前に座り、鍵盤をなぞりながら、誰にも聞こえない声でつぶやく。
🎼🍵「俺も……“番”だったら、変われたのかなぁ」
鍵盤に置かれた指先が、そっと震えた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!