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人が入れ替わりになり、しにがみさんが俺の目の前で立ち止まる。
(…わかんない。けど。)
こんな真面目な雰囲気をした中、しにがみさんが真面目な雰囲気を出せるとは思えない。どんなことを話してくるんだろう、だなんて一瞬考えてしまったけれど、それは逆の発想をすれば良いだけだったと気づく。
真面目な雰囲気を出せないんなら───
「───ほんっとバカです!先輩なのに何ですかそれは!!信じられないくらいアホですよね?!嘘つくのが悪いことなんて言ってないですし!無理に話せとも言ってないんですよ?!だからー!」
「ちょっ!ストップストップ!?!?」
慌てて静止をしたのはぺいんとで、その声にしにがみさんは怒ってそうな顔をしながらむすっとぺいんとを睨んだ。
───やっぱり、予想通り。真面目な雰囲気を作れないなら、作らなきゃ良い。それがしにがみさんだと、よく分かっている。それは俺も、俺以外も。だから今ぺいんとがしにがみさんを静止したのはギャグで。言うならばセットみたいなものだ。……みたいなもの、なんだけどなぁ。
「ふはっ。」
顔に熱が集まり、酷く目頭が熱い。頬を伝う感覚に恥ずかしさも覚えた。でも、予想通りすぎて。
「───サイコーだな、お前らって」
これが嘘かホントかなんて…言わなくても分かるだろう?
「…───言われなくたって。言われなくたって、もう僕らには分かってますから。」
その言葉の意味に、少し悔しくなる。作家だからこそ、その意味がわかってしまう。もちろん、自分たちが最高なのはわかっていると言う意味と、もう一つ。───俺の気持ちを言わなくたって、分かるって意味なんだろうな。
酷く優しい言葉だ。
「……言いたいことある?」
ぺいんとに微かな笑みを向けられて、俺は喋り出す。
「───うん。 」
痛くても、日常組が俺の一言で落ちそうでも、怖くても……みんなの会話は本当に面白かったこと。でもそれに反応するのが怖かったこと。俺は情けないやつだってこと。みんなが羨ましかったこと。みんなに頼られるのが好きなこと。でも取り柄がないこと。
……はは、おかしいな、俺って。もう何話したか覚えてもないや。
「退院したら、また笑わせてくれる?嘘つくことしかできなくても、頼ってくれる?」
ふとした疑問が、頭に浮かぶ。流石に聞いちゃダメだったかな、なんて謝ろうとした口はすぐに塞がれた。
「笑え笑え!!笑うために生きてんだよ!!」
「もちろん!また日常組のフリー素材として頼らせてくださいね!!」
「また豆知識教えてよ!」
───バカだな。お前らも俺も。こんなのわかっていたことなのに。
「…うん。今度は、よろしく。」
俺の言葉にみんなが疑問を浮かべる中、俺は言葉を並べる。
「ぺいんとは持ち前のトーク力でたくさんみんなを笑わせてね。クロノアさんは不意をつくようなボケをして笑わせてね。しにがみさんはたくさんゲーム作って笑わせてね。」
靡くカーテンを見ながらも、そう言った。それで今度は、みんなに顔を向けた。
「───俺、みんなの笑顔好きだから。」