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あ→🐱洗いと、み→🐶洗いか。(笑)ꉂ🤭❤
恥じらう朱里ちゃんがかーわぃ💜
「お前、ときどき物言いが武士みたいになるよな」
そう言われると、盛り上がっていた気持ちがスンッと収まる。
ムクリと起き上がった私は、真顔で尊さんに尋ねた。
「……なんなんでしょうね? これ。前から言ってた気がします」
「俺としては面白いからいいけど」
「いざという時の彼女の口癖が、武士だったらやじゃないです? ……直したほうがいいのかな」
「喧嘩した時に『切腹しろ!』って言わないなら、いいんじゃないか?」
「ひひひひひ」
私は笑いながら床の上にドテッと落ち、さらに笑いながらズボンをずり上げる。
「……はぁ……」
溜め息をついて座り直したあと、膝を抱えてとどめの溜め息をついた。
「……百合さん、武士みたいな孫嫁をどう思うかな」
「いいんじゃないか? 愛嬌のあるほうが好かれるよ。元気よく『なんでも食べます』って言った時点で、大体の印象は決まったと思うし」
「……マジか……」
私はボソッと呟き、額を膝につける。
「食いしん坊、気にしてるのか?」
「……なんか卑しくないです?」
事あるごとに『食いしん坊』と言われているのは、愛情ゆえのいじりと分かっている。
でも彼以外の人、特に年配の方を相手にすると、あまりいい事じゃないのかな? と心配になってしまった。
「年配の人ほど、沢山食べる若者を好ましく思ってると感じるけど」
「そうでしょうか」
「朱里さ、仔犬や仔猫がガツガツ食べてる姿を見て、『たんとお食べ』って気持ちにならないか?」
「なります」
私は顔を上げ、目をキランとさせて言う。
「俺も小さい子がわんぱくに食べてるのを見て微笑ましくなるし、そういうもんなんだよ。自分は油物とか生クリームが食べられなくなってるから、若い子が食べてるのを見ると『食えるうちにたっぷり食えよ!』って思うんだよな。……だから大丈夫だよ。アレルギーも好き嫌いなく沢山食べられる事は、卑しいんじゃなくて特技だ」
「特技?」
そう言われるとは思わず、私は目を丸くする。
「世の中、結婚していざ飯を作ろうと思っても、アレルギーや好き嫌いが沢山あって、思うように作れない、作っても文句を言われて食べてくれないとか、結構あるんだよ。朱里はよっぽど味付けが極端だったり、材料に火が通ってないとかじゃないと、『食べられない』って言わないだろ? それは誇っていい事だよ」
「……そうなんですね」
「年配の人は、色んな場所で色んな人を見ている。寿司屋に連れて行っても、いきなり『生魚が食べられない』って言い出す人もいるし、料理人の前で『まずい』って言う人もいる。料理を食べていて、嫌いな物だけ除ける人もいる。レストランを手配するにも、アレルギーに気を遣わないとならない。その分、朱里はオールラウンダーだろ? すげぇ有利じゃないか。そりゃ気に入られるよ」
不思議な事に、尊さんに励まされていると、どんどん気にならなくなってきた。
「……うん、分かりました。そう思っておきます」
「よし」
尊さんはクシャッと私の頭を撫で、額にキスをしてくる。
それから私を見つめてニヤッと笑ってきた。
「朱里、一緒に風呂入るか」
「えっ」
温泉の時はさておき、家で改めて言われると恥ずかしい。
「猫洗いさせてくれ」
「もう……」
私は真っ赤になりつつ、ちょっとむくれてみせた。
尊さんが先にバスルームに入って体と髪を洗っている間、私は洗面所で髪を梳かしてからクリップで留め、ドキドキして服を脱ぐ。
「……お、お邪魔します……」
お風呂に入ると、防水スピーカーから雰囲気のいいジャズが流れていて、小さめのアロマキャンドルが数個火を揺らしていた。
酸欠にならないように、ちゃんと窓を開けてるのは尊さんらしい。
マンションのバスルームだからユニットバス……と思いきや、ゴージャスマンションなので、作りがぶっとんでいる。