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#契約結婚
鷹槻れん

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コメント
2件
みそかで仕入れてたのね。 はなちゃんのために♥
わ〜!裏話エピソード読んだよ〜😭💕 宗親パパ、春凪ちゃんのためにこっそりチーズと酒を仕入れてたんやね…!明智との「ブーメラン」なやりとりも微笑ましくて、特に「お前がそれ言う?」って睨まれるの、仲良し感あって良き♡ そして宗親が自然に笑えるようになったって気づくシーン、心が温かくなったよ…!春凪ちゃんへの愛が滲み出てて、もう尊すぎる…!続きも待ってるね🌸
本編38話『キミが思っている以上に僕は』の裏話的なお話です。
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「明智、今日帰りにMisokaへ寄りますから例のもの、用意しといてもらえますか?」
春凪を先に退社させて、夕飯の支度を頼んだ後で、宗親は友人の明智統和に電話をかけた。
『了解。――なるべく店が混み合う前に来いよ?』
まだ、明智が営むバー『Misoka』の営業時間には達していない時間帯だったけれど、のんびりと会社を出て目的地に着いた頃には、看板に明かりが灯っているだろう。
それを見越しての電話だ。
春凪が家で待っているのに長居をする気はないので、今日の宗親は明智から目当てのものを受け取ったら、即座に踵を返すつもりだ。
***
さすがに週の真ん中で、19時にもならない早い時間帯だからだろうか。
客はまだたったの1組だった。
「今日は『白州』と『ロックフォール』な」
すでに件の客へは注文の品を提供し終えた後らしく、手があいていたんだろう。
宗親が店の扉を抜けるなり、こちらをチラリと見た明智が、カウンター上に紙袋を置きながら言った。
「これ、柴田さんにも勧めたことある組み合わせ。旨いって喜んでたし、外すことはないはずだ」
袋の中を覗き込んだ宗親に、そう声を掛けながら。
「けどさ――。いい加減店にも来られるようにしてやってくれよ? ほら、柴田さんが来ねぇと彼女の友達も来てくんねぇじゃん?」
前に宗親に、春凪が店に来なくなることを渋るような口ぶりをしてみせたことがある明智だったが、どうやら本音はそっちらしい。
「春凪の友人のあの子、春凪と同級生って話ですし、明智より8つも年下だと思うんですけど……いいんですか?」
意地悪く笑いながら聞けば、「お前がそれ言う?」と睨まれた。
春凪と友人のほたるがそうであるように、明智と宗親もまた同級生だ。
今言った言葉は、そっくりそのまま自分へのブーメランにもなると分かっていてあえて言ったのだから、明智の反応も当たり前だった。
「それもそうですね」と笑いながら、宗親が商品の代金を支払ったら、明智に少し驚いた顔をされた。
それを何事かと見つめ返したら、
「織田、お前もそんな顔で笑えるんだな」
心底意外そうに言われて、そう言えば春凪と一緒に居るようになってから、狙ったように作った笑いではない本心からの笑顔が、時折自然と出るようになっていことに気付かされる。
それは結局、春凪が喜怒哀楽を全面に出して自分と向き合ってくれるからに他ならないのだが、あまり自分の感情は表に出すべきではないと育てられてきた宗親にとっては、気を引き締めなければいけないな、とも思えて。
(せめて春凪の前だけにしないと――)
無意識にそう考えてから、自分にとって春凪の存在が思った以上に大きくなりつつあることを改めて思い知った宗親だ。
この、ある意味裏ルートで仕入れている品々だって、全ては春凪が喜ぶ顔が見たいからに他ならないわけだし。
「もう少し落ち着いたら遊びに出られるよう取り計います。とりあえず春凪に指輪を贈るまで待ってもらえますか?」
この子は予約済みだと世間に知らしめてからなら、と言外に含ませれば「大至急でお願いします」とわざとらしく頭を下げられた。
***
春凪の好物がチーズだと知った時、宗親の脳裏には、即座にバーを営む友人のことが浮かんだ。
それとなく相談してみたら、店の仕入れと一緒に手配してやろうか?と提案してくれて。
以来、春凪が好みそうなチーズと酒を、明智に見繕ってもらって購入する、という構図が成り立っている。
春凪を飲みに出せない負い目もあって、色を付けて多めに支払うと提案した宗親だったけれど、明智は割と律儀なタイプで「正規の料金で構わねぇよ」と、決して多くは求めてこなかった。
だからこそ落ち着いたらちゃんと、とは思っている宗親だ。
ひとまず春凪の生家の方の問題も何とかなりそうだし、あとは割とスムーズに話が流れるだろう。
春凪を初めて家に泊めた日に、明智に預けたモノも、そろそろ何とかしないといけない。
宗親は、春凪の待つマンションへの家路を急ぎながら、そんなことを思った。
END(2021/10/03)
【あとがき】
宅配便では届いている気配のない、チーズのストック裏話でした(笑)。
本編38話『キミが思っている以上に僕は』で、宗親と春凪が飲み食いしている、ロックフォール(ブルーチーズ)と、ジャパニーズウィスキーを仕入れた日のお話です。(本編でも仕入れ先、分かる人には分かるよね、という書き方はしたつもりではありますが、こちらでは更にハッキリとそれを書きました)