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社内がざわつく中、必死に人と人の間をすり抜けて走った。
佐久間から階段とだけ聞いて飛び出してきたから詳しい場所はわからない。
人集りを進んで行くと深澤がいた。
大声を出してやじ馬達を追っ払っている。
💙「ふっか!涼子さんは!?」
💜「なべ、いいところに!もうすぐ救急車が来るから道を開けるの手伝って!」
💙「涼子さんは!?」
💜「落ち着けよ!心配してるのはお前だけじゃない!早く病院に行けるように協力しろって!」
よく見てみると阿部や向井が必死に身振り手振りしながら声を掛けていた。
深澤に言われた通り、そこに加わり下りながら社員達を業務に戻るように呼び掛ける。
途中の踊り場で倒れている涼子さんを応急処置してる社長を見かけた。
社長に隠れて涼子さんはあまり見えなかったけど頭をタオルで押さえていたから血が出たのかもしれない。
道も開けて一階に辿り着くと丁度、救急車が到着し涼子さんの所まで救急隊を案内する。
ストレッチャーに、ゆっくり乗せられ運ばれた涼子さんの付き添いには代表して佐久間がついていくことになった。
本当は俺が行きたかったけど深澤に呼び止められた。
どうやら涼子さんを階段から落とした犯人はわかっていて社長室で事情を聞くらしい。
話を聞くために俺と深澤、そして目黒も一緒に社長室へ向かった。
***
事情聴取が終わった社長室は重苦しい雰囲気が漂っていた。
💜「……照。あの子、クビでいいんだよね?」
深澤が社長に対して名前呼びの敬語なし。
相当怒っている証拠だ。
💛「…………そうだな」
社長もいつもより眉間にシワが寄っている。
元から強面だから、かなり怖い。
事情聴取の結果、動機は自分が好きな人と仲良くしてることへの嫉妬。
涼子さんを階段から落としたのは技術部の女性だった。
歓迎会の時、俺の隣にいたやつの部下。
涼子さんが酒の席で『目黒くんと付き合ってるのか何回も聞かれて疲れた』と呟く原因を作った張本人。
最近は渡辺部長と付き合ってるのか、とも聞いてたらしい。
他にも涼子さんが清掃する場所に鋭利なモノを仕掛けたり、物を隠したり、嫌がらせ行為をしてたようだ。
あの時、指に絆創膏をしてたのは、その嫌がらせのせいだったわけだ。
『コケさせて困らせようとしたら階段から落ちた。わざとじゃない』なんて言ってたけど一緒に確認した監視カメラにバッチリ映ってたから、その言い訳は通用しない。
そもそも見た人がいたから、すぐに犯人がわかったんだ。
遅かれ早かれバレてたことに変わりはない。
💜「さっき佐久間から連絡あった。意識はないけど命に別状はないってさ」
🖤「良かった…!」
それを聞いて雰囲気が少し和らいだ。
とりあえず一安心…かな。
💛「二人共、心配は尽きないだろうが業務に集中するように。自分のせいで仕事が出来てないと知ったら涼子さんが悲しむ」
💙🖤「「はい」」
💜「病院から面会の許可出てないから行っちゃダメだぞ。連絡来るまで我慢な」
話し合いの後、俺達は解散した。
次の日。
例の女性は退職届を出し会社を去った。
***
三日後の午後。
病院から涼子さんが意識を取り戻したと連絡があった。
定時に退社して目黒と共に病院に向かう。
病室を開けると外を見ていた涼子さんがこちらに振り向いた。
頭部に巻かれた包帯が痛々しい。
🖤「涼子さん、大丈夫?」
❤️「……大丈夫」
💙「タオルとスキンケア用品買ってきたから、よければ使って」
❤️「ありがとう、……ございます」
目覚めたばかりだからか顔色はあまり良くなかったけど他愛のない話をした。
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❤️「目黒……。喉渇いたから一階の自販機で飲み物買って来てくれる?」
🖤「いいよ。………ちょっと待ってて」
目黒が病室を出ていき涼子さんと二人きり。
急に言葉が出てこなくなった。
❤️「心配かけて…ごめん、なさい」
💙「無事で良かった。……長居しても悪いし目黒が戻って来たら帰るよ」
❤️「……うん」
沈黙が続いてたところで病室のドアがノックされ開いた。
入って来たのは看護師だった。
「宮舘さん、血圧測りに来ました」
💙「あっ、帰ります!……それじゃあ、涼子さん。お大事に」
❤️「……ありがとう、ございました」
頭を下げる涼子さんに手を振って病室から出た。
階段まで行くと目黒と会った。
🖤「部長、どうしたんですか?」
💙「先帰ることにした」
🖤「了解です。飲み物届けたら帰ります」
💙「………長居するなよ」
🖤「わかってます」
目黒と別れて帰路につく。
病院から出て振り返り涼子さんの病室の場所を見ると先程まで開いていたカーテンが閉められていた。
夕日も落ちていて丁度眩しい位置になったのかもしれない。
毎日のお見舞いは迷惑になるだろうし明日は止めておこう。
早く退院出来るといいな。
***
💙「え?退院した?」
更に三日後のこと。
昨日お見舞いに行く予定が、トラブルで遅くなって無しになり今日は行こうと病院に向かってる最中だった。
後五分で病院につくところで深澤から何故かビデオ電話があり、聞かされたのは涼子さんが退院したという知らせだった。
意外と早い退院で驚いたけど良かった。
💙「それで連絡くれたのか。悪いな」
💜「用件はそれだけじゃない。ついさっき……涼子さんが退職願を出しに来た」
💙「…………え」
💜「『迷惑をおかけして申し訳ございません』って言ってたよ」
深澤は退職願を画面に映るように裏返すと確かに本人の名前が書いてある。
💙「……マジかよ」
💛「…………まだ受理してない」
💙「え?」
画面に社長が映った。
相変わらず気難しい顔をしている。
💛「預かっただけ。もう一日考えて答えを聞かせてほしいって伝えた」
💜「……だからさ、今から涼子さんを説得してきてほしいんだよね」
…………今から?
💙「どこにいんの?」
💜「わかんない。……でもさ、なべなら見つけられる気がする」
💙「……なにそれ」
自信なんかない。
立ち止まり俯いて足元を見つめた。
💛「渡辺」
社長の低い声が響く。
目線を上げてスマホの画面を見た。
社長が深澤の頬にキスしてた。
俺がツッコむ間もなく深澤がバカでかい声で騒ぎ出した。
社長は深澤の口を手で塞いで画面から外す。
💛「…好きな人には近くにいてほしいだろ」
💙「……社長」
💛「探してこい。……見つけたら、」
【しっかり掴んで、二度と離すな】
俺は電話を切り、走り出した。
どこにいるか見当もつかない。
走りながら涼子さんに電話をするけど一向に繋がらない。
革靴が擦れて足が痛むけど走り続ける。
涼子さんに会いたい。
それだけが俺を前へ動かしていた。
☆おまけ☆
渡辺が電話を切った後の社長室。
岩本により口を塞がれていた深澤は漸く、その手を振り解き、スマホに呼び掛ける。
💜「なべ!!今のは……って切れてるぅ!」
💛「ねぇ、マジでうるさい」
岩本は心底迷惑そうな顔を深澤に向ける。
それが余計に深澤の声のボリュームを上げさせていく。
💜「うるさくさせる原因作ってるの誰だよ!絶対バレたぁ!!」
💛「別にいいじゃん。聞かれたら説明すればいいよ。………ふっかが」
岩本と深澤は恋人同士だ。
高校の先輩と後輩という関係から秘書と社長になった時、交際を開始した。
二人の交際は深澤の強い希望により誰にも明かされたことのない秘密だった。
渡辺に知られた(であろう)ショックで前髪を
ワシャワシャと掻き乱す。
💜「……はぁ。…………それよりさぁ、しれっと嘘つくなよ」
💛「……嘘?」
深澤は机の上にある宮舘の退職願に指で触れトントンと叩く。
それを見てもわからないフリをする岩本に呆れた表情をする。
💜「受理したんじゃないの?『残念』とは言ったけど『一日考えて』なんて言ってなかったじゃん」
💛「これが【退職届】なら無理だったけど、これは【退職願】だから。渡辺が説得すれば嘘じゃなくなる」
フフンッと自慢気な顔をする岩本に深澤は驚きを隠せず目を見開いた。
💜「………屁理屈じゃね?」
💛「それを知ってたから渡辺に電話したんだろ?同じことだよ」
💜「……まぁ、そっか」
深澤は机に寄りかかり、フーッと長めの息を吐いた。
岩本は注意することもなく足を組んで深澤を後ろ姿を見つめる。
💜「なべのやつ、探せると思う?」
💛「…………俺は、あの二人が社長室に来てくれると信じてる」
💜「そうね。………あっ、なべに【アレ】伝えた方が良かったぁ?」
深澤が岩本の方を見ると目を合わせないように、そっぽを向いていた。
その様子にフフッと笑みが溢れる。
💜「(二人して忘れてたな。笑 ……まぁ、なべなら大丈夫だろ。頑張れよ)」
深澤が言う【アレ】がわかるのは次回、最終話までの秘密である。
突然の💛💜+おまけ
盛り込んですいませんでした!
書いてたら楽しくなっちゃったんです…。
おまけに書いた通り次回最終話です!
お楽しみに♡
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コメント
7件

めっちゃきになる!!!!
一気に読んで来ました♡ 毎回気になる展開にドキドキします💗 ドラマにしたくなるくらいのお話です!✨✨✨ 部長! 涼子さんを救えるのは部長しかいない! 🖤❤️も気になるけど、頑張れ部長ー!! 次回も楽しみにしています🥰🥰🥰
【アレ】て何ぃ!?めちゃ気になるぅ〜! てかイチャイチャすんな💛💜!