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次の日、恋愛学校では新しい課題が発表された。それは、「共同で作品を作る」という課題で、ペアが協力して一つの作品を完成させるというものだった。これは、お互いの考え方や意見を尊重し合いながら、一緒に一つの目標に向かう大切さを学ぶための課題だった。
イレブンとセーニャは放課後、学校のアトリエに向かい、何を作るか話し合うことにした。
「僕たち、何を作ろうか?」
イレブンが少しワクワクした様子で言うと、セーニャは真剣な表情で考え込みながら答えた。
「そうですね…。せっかくですから、お互いの気持ちが伝わるようなものを作りたいですわ。」
しばらく話し合った結果、二人は「愛の象徴」となる絵を描くことに決めた。二人で協力して一つの絵を完成させることで、ペアとしての絆を表現しようと考えたのだ。
しかし、制作が始まると、二人の意見が少しずつ食い違い始める。
「イレブン様、こちらの色はもう少し淡い色にしても良いでしょうか?」
セーニャは、優しいパステルカラーで柔らかい雰囲気の絵を描きたいと考えていた。しかし、イレブンはもっと鮮やかで力強い色を使いたいと思っていた。
「でも、もう少し強い色のほうがインパクトが出ると思うんだ。君もそう思わない?」
イレブンの言葉に、セーニャは少し考えたが、どうしても自分のイメージを譲れなかった。
「イレブン様のお気持ちはわかりますが、優しい色合いの方が愛の象徴になるかと…」
普段は意見を合わせる二人だったが、この時ばかりはお互いに譲れない気持ちがあった。結局、どちらの意見を取り入れるかで話し合いが長引き、少し険悪なムードになってしまった。
その夜、二人は少し気まずい気持ちのまま寮の部屋に戻った。いつも一緒に眠る時間が楽しみだったが、今日はどちらも言葉少なげで、なんとなく背中を向けたまま布団に入った。
しばらくの沈黙の後、イレブンが静かに口を開いた。
「ごめん、セーニャ。君の気持ちをちゃんと考えていなかったよ。僕、自分の意見ばかりで…」
セーニャは驚いて振り返り、少しだけ微笑んだ。
「いいえ、イレブン様。私も…あなたの気持ちを尊重するべきでしたね。お互いに意見を出し合えることも大切ですものね。」
二人はお互いに謝り合い、少しずつ心がほぐれていった。いつも一緒にいるからこそ、意見の違いが出てくるのも自然なことだと気づいたのだ。
「じゃあ、明日は君の好きな色合いでやってみようか。」
イレブンは優しく微笑みながら言った。その言葉に、セーニャも心から安心し、うなずいた。
次の日、二人はお互いの意見を少しずつ取り入れながら、パステルカラーと鮮やかな色合いを調和させた絵を描き上げた。最終的には、二人が力を合わせたことで、どちらのイメージも反映された美しい作品が完成した。
教師も、二人の絆が深まったことに気づき、優しく微笑んで「よく頑張りましたね」と声をかけた。
これをきっかけに、イレブンとセーニャはお互いの意見や気持ちを大切にすることの重要さを再確認した。そして、二人の絆はさらに強くなり、今後の学校生活にも自信が生まれたのだった。
次回予告:
第5話では、二人に「ペアでのサプライズ企画」という新たな課題が与えられることに。セーニャがイレブンを驚かせたいと計画するが、思わぬハプニングが発生してしまう。二人の新たな挑戦と成長に注目です!