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⚠死ネタ注意⚠️

かぶちゃ愛され要素ありンゴ

工藤の兄貴はいないけど、息子君はいる。死んでるんじゃない。存在してないんだ。(?)

速水視点




小峠の兄貴が死んだ。


その日はよく晴れていた。小峠の兄貴は見回りに行ってくると言って事務所を出た。

そして行方不明になった。


飯豊「…なぁ、小峠の兄貴、流石に遅すぎやしねえか?」

小峠の兄貴が見回りをするルートは長くなっても約1時間ほどなのだ。だがもう既に3時間は経っている。

速水「そうだよね。何かあったのかな?」

宇佐美「連絡もないなんて、珍しいこともあるもんですね。」

この時はまだ何かあったのだろうか程度にしか思っていなかったが、この後あんなことになるなんて、誰も予想できなかった。

青山「あれ、ちゃんかぶはどこ行ったんだ?」

茂木「それが、3時間前に見回りに出てったっきり戻ってこうへんのですわ。」

香月「3時間前だぁ?いつもならもう既に戻ってきてる時間じゃねえのか?」

須永「1回電話かけてみればぁ?案外ベンチで昼寝してたりしてー」

野田「お前じゃねえんだからそれはないのだ。」

須永の兄貴に助言を受け、俺はおもむろに電話を取り、小峠の兄貴の携帯にかけた。


…おかけになった電話番号は、ただいま電波の届かない所にいるか…


速水「…ガイダンスだ」

何度かけても小峠の兄貴は出なかった。

時間を置いてかけ直してみても、やっぱり小峠の兄貴は出ない。


そして5時間が経過した。

この状況には、さすがの兄貴たちも違和感を感じとったのか、各々が電話をかけたり、小林の兄貴や永瀬の兄貴に至っては、小峠の兄貴のLINEにスタ連を続けている。が、電話には相変わらず出ないし、既読もつかない。

工藤「流石におかしいですよ。兄貴が連絡もなしに帰ってこないなんて。」

小林「…俺1回繁華街出るわぁ。」

和中「俺も同行しよう。」

そして小林の兄貴と和中の兄貴は、繁華街へ出向いていった。

その頃事務所は、重い空気が充満していた。

野田「…ったく、あいつは一体どこ行ったんじゃあ。」

野田の兄貴はぶつくさ言いながら、小峠の兄貴からの連絡を今か今かと待っている。

青山「今までこんなこと無かったのに…」

香月「…何かに巻き込まれた、とか?」

南雲「華太…どこいっちまったんだ…」

矢部「あの二人が帰ってくるまで、俺たちは大人しくしてるしかねえ」

と言っているものの、矢部の兄貴の携帯画面には小峠の兄貴とのトーク履歴が映し出されている。こちらも連絡を待ち続けているのだ。

永瀬「須永の兄貴ぃ、俺アイツになんかしましたかねぇ…」

須永「永瀬きゅん、もしかしたら俺たちのせいかもしれない…」

そしてこちらの2人はあろう事か不安になりすぎて、自分のせいで小峠の兄貴は消えたのではないかと2人で肩を寄せあってどんよりとしている。

工藤「小峠の兄貴が事務作業を放置したまんま消えることなんてないのにな。」

水野「まだデスクに大量の書類が…」

飯豊「小峠の兄貴はいっつも無理して事務作業するからなぁ」

速水「小峠の兄貴が事務所に居ないとなんか寂しいね」

小峠の兄貴が座っていないデスクを見ると、何故かとても寂しい気持ちになった。机の上の冷めたコーヒーを片付けながら、俺は酷い胸騒ぎを覚えた。


1時間後、小林の兄貴と和中の兄貴が帰ってきた。

小林「どこにもいねえわ」

和中「華太の見回りルート含めその周辺にも聞き込みを行い探索したが、見つからないな。」

小峠の兄貴はやはり見つからなかったのだ。

この報告には事務所で待機していた全員が表情を曇らせた。

速水「小峠の兄貴……いったいどこへ行ったんですか…?」




そして翌日。

組全体に阿久津のカシラから、小峠の兄貴の捜索命令が出た。

特に兄貴たちは、いつもよりピリピリしている。

この件は、数人のチームに別れて捜索をすることになった。

事務所待機兼、情報統制係に野田の兄貴。

空龍街北側を小林の兄貴、和中の兄貴。

空龍街西側を須永の兄貴、永瀬の兄貴。

空龍街南側を青山の兄貴、香月の兄貴。

空龍街東側を矢部の兄貴、南雲の兄貴。

黒焉街を飯豊君。

花宝街を宇佐美、工藤。

麒麟街を僕、茂木、水野。

このメンツで捜索を開始した。




1日目。収穫なし。

2日目。収穫なし。



そして3日目。情報屋伍代さんに依頼していた情報が上がってきたんだ。


事務所で待機していた野田の兄貴に、伍代さんから1本の電話が入った。

そしてその電話の内容は、とても耐え難いものだった。


伍代『もしもし、野田さんかい?』

野田「伍代か。華太は見つかったか?」

伍代『…あぁ。見つかったよ。』

伍代さんはなぜか一瞬言葉に詰まった。

野田「!どこにい『ただし、遺体でだ。』


野田「……………………は?」



小峠の兄貴が、“遺体”で見つかったのだ。

野田の兄貴は伍代さんの言葉を飲み込めないまま、耳を傾けた。

そして伍代さんは、いつもより数トーン低いであろう声で話し出した。

伍代『まず小峠の旦那を殺ったのは半グレ集団だ。天羽組に強い恨みを持っているようでね。構成員であれば誰でもよかったみたいだ。そして奴らは子供を2人誘拐した。その後に小峠の旦那の前に現れて、誘拐した子供たちを人質としてチラつかせて小峠の旦那を動けなくした。そして後ろから不意打ちで殴打。ちなみにその時使われたのは鉄バットだ。そしてグラついた所をドスで滅多刺し。そのあとはチャカでトドメを刺した。』

野田「……もういい。伍代、それ以上は…」

これ以上は聞いていられないと、野田の兄貴は伍代さんに制止をかける。

伍代『でもね、野田さん……』

その時、伍代さんの声がかすかに震える。

伍代『その半グレ共はきちんとトドメを刺せてなかった。チャカが腎臓に当たってたんだ。腎臓ってのはひとつしか無くても死なない。出血多量で致命傷だったけどね。…………小峠の旦那、苦しんだだろうなぁ。辛かっただろうね。』


電話先で、伍代さんが微かに泣いていた。

そして伍代さんは、一度鼻をすすったあと、いつもの声でこう言った。

伍代『…野田さん。小峠の旦那を迎えに行ってあげてよ。場所は麒麟街の南部。廃倉庫裏の路地裏だ。』

野田「………あぁ、分かった。情報感謝する。金はいつもの口座に振り込んどくのだ。」

伍代『………いや、お代は結構だ。…小峠の旦那には、世話になったからね。』

伍代さんは報酬を断った。

伍代『あと最後にもうひとつ。その人質にされた子供たちだけどね、空龍街で誘拐されたんだ。しかも、もうこの世に居ない。今頃海の底だ。』


それは、野田の兄貴の堪忍袋の緒を引きちぎるのには十分すぎた。そして電話は切れた。


野田「……ウチの華太を殺った上、シマ荒らしまでしやがるか、この糞共がぁ………首洗って待っとけよ。着払いで地獄に送り届けてやらァ…!!」

そう言って携帯を握りしめる野田の兄貴の頬には、微かに涙の跡が残っていた。



そして野田の兄貴は、おやっさんとカシラにその事を報告した。

おやっさん「そうか……小峠が………」

おやっさんはとても辛そうな表情をしながら、拳を握りしめていた。

阿久津「くそ……華太、なんで……くそったれ…」

阿久津のカシラは片手で顔を覆い、咽び泣いていた。

野田「おやっさん、華太を殺った半グレ共は、必ず天羽組でカタに嵌めます。」

おやっさん「あぁ。小峠を殺した上、シマを荒らしたんだ。そいつら皆殺しにしてこい!!」

こうしておやっさんから粛清命令が出た。



野田の兄貴は次に、捜索に出ていた全ての組員を事務所に呼び戻した。

野田「お前らよく聞け。華太だがな、…遺体で発見された。」

事務所に帰って、開口一番がこれだ。

信じられるはずもない。組員たちは信じられないという表情で、野田の兄貴を問いつめた。

小林「…華太が?死んだ?んな訳ないでしょうが」

和中「お言葉ですが野田の兄貴。華太は殺しても死なないような奴です。間違いでは?」

ほかの組員たちもみんなその通りだという顔をしている。無論僕も信じてはいなかった。…あの人から連絡が来るまでは。

その時、小林の兄貴の携帯が鳴った。

小林「…あ?死龍じゃねえか。」

そう。小林の兄貴の同期である、瓜生龍臣さんから電話がかかってきたのだ。小林の兄貴はなんの躊躇もなく、その電話に出る。

小林「何の用だ、死龍。」

瓜生『…あぁ、小林。今いいか?』

小林「いいけど、さっさとしてくれぇ。」

瓜生『わかった。………単刀直入に言わせてもらうが…』

その時瓜生さんが発した言葉に耳を疑った。

瓜生『……おたくのとこの小峠君が、麒麟街南部の路地裏で見つかった。…遺体で、な。』

なんと小峠の兄貴の遺体を、瓜生さんが発見したというのだ。

小林「…おい死龍…今なんつった?コラ…」

瓜生『言葉のままだ。正確に言うと見つけたのはカリンだがな。カリンはギャン泣きで今何も言えねえ。だから俺が連絡させてもらった。小峠君の遺体は……』

小林「ッそんなわけねえだろうが!!」

その時小林の兄貴が凄まじい咆哮を上げる。

宇佐美「うおっ!?」

青山「小林の兄貴?どうしました?」

構わずに瓜生さんは続ける。

瓜生『聞け、小林。辛いだろうがな。小峠君の遺体は、天羽組お抱えの闇医者にバースが送り届けた。………迎えに行ってやれ。』

小林「………わかっ、た……」

瓜生『……じゃあな、小林。事が落ち着いたらメロンパン差し入れに行ってやるよ。』

こうして、電話は切れた。

電話が切れたあとも小林の兄貴はしばらく呆然としていた。

それを見かねた兄貴たちが声をかける。

須永「小林きゅん…?どぉしたんだ?この俺に話してみたまえよ。」

和中「黙っていてはなにも解決しない。何があった?」

少しの沈黙の後、小林の兄貴は口を開きぼそりと呟いた。



小林「華太が………麒麟街で、遺体で…見つかった…って……」

『…………は?』


野田「………ッ…」


to be continued…




いやここまで続くとは思わなかったよ。

長いのに見てくれてありがとう!

次回もお楽しみに!

この作品はいかがでしたか?

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コメント

6

ユーザー

目から滝が、泣

ユーザー
ユーザー

え、なにこれ前なんも見えない

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