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「双子、生き別れかなにかで?」
「はい、私たちが生まれたと同時に養子に……」
「へぇーじゃあ顔とか見たことないんですね」
デリカシーなさそうに森神が言った
今回の件は人探しということらしい
まずは情報から聞き出そう。
「人探しなら情報が鍵となる。この紙にわかるだけの情報を書いてくれ」
「は、はい」
女性は気まずそうにペンを取り、紙に書き込みをしていく
「ど、どうぞ…… すいません、こんなことぐらいしか分からなくて…….」
「…….」
どうも少ないな
名前、誕生日、歳、血液型、出身病院、
その他空欄。
「ほぼわかんないですね!」
「す、すいません…….」
またもや森神のデリカシーのない発言に依頼者の女性は肩をスボませた。
でも確かに、これだけの情報となると探すのは困難になるだろう。
「…そういえば名前を聞いてなかったな。俺はカイ、そっちは森神だ。」
「わ、私は千野 香織(センノ カオリ)と言います」
「千野さん、そして妹さんが沙織(サオリ)さんか…」
「む、難しいですか?」
少し焦りの見える顔で身を前のめりにして聞いてきた
正直に言うと難しい、いや確実にこれだけだと無理と言える。
どうすればいいものか。
まぁどちらにせよ動くのはこれではないが
「難しい、まぁそれは置いといて金だな。人探し、情報が少ないのなら結構な依頼料になるがいいのか?」
「ッッ、わかってます。でも、もうここしかッ」
どうやら千野はここに来るまでにも他に当たっていたらしい
情報の少なさゆえに断られたのだろう。
まぁ当たり前のことだな。
「金さえあればやってやる。」
「ほ、ホントですか!!」
前のめりにしていた身をもっと前のめりにして喜んでいる。
そんなに双子の妹に会いたいのだろうか
「それほど会いたいんですね!顔も見た事ない、ただ血の繋がりがあるだけの他人ですよね?どうしてそれ程に?」
デリカシー無さすぎだな()
直球に森神が千野に尋ねた。
千野は顔を曇らせ、下を向いてしまった。
「私、先月両親を2人とも、交通事故で亡くなってしまったんです。両親から双子の妹については聞いていて、今私は1人です。まだ高校生で来年受験があります!親戚からたらい回しにされて今や、一人暮らし……お金は遺産が残ってますけど、やっぱり1人は寂しんです。」
両親を亡くし1人になってしまったと肩を震わせながら話す彼女。
「だから、顔も見たことないけど、姉妹だから!会ってみたいんです。会って話がしたいんです。たとえあっちが覚えてなくとも、会って話しをして” 友達 “として仲良くなりたいと思ったんです。」
今度はまっすぐと顔を上げ見つめてくる彼女。
決意は固まったようだ。
「それで、いくらになりますか?」
「ざっと、──────────50万」