テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
最初の違和感は、滅びの魔物を倒した時だった。
攻撃魔法の出来ないカナ様の攻撃方法になるために私達は魔法を魔物に撃ち込んでいたのに、まったく歯が立たなかった。
どうすればいいのか。
頭の中で、目の前の魔物を倒す方法を何度も何度も考えたが全て跳ね返るだけに終わる答えしか出てこなかった。
「きゃっ!!」
カナ様が倒れ、カトル殿下が急ぎ彼女の体を支えていた。
このままでは、状況は悪化の一途を辿るしかない。そう思った時だった。
カナ様が光を放った。その光は上空を飛んできた二つの光と合流し、魔物の身体にぶつかった。大きくなった光が全てを包み込むと魔物の動きが止まりドゥと倒れこんだ。
「今のは……」
カナ様は精霊の名前を呼んでいなかった。しかし、光の魔法が発動していた。
いったい、誰が今の魔法を発動させたんだ?
「聖女カナ様バンザーイ。カトル殿下バンザーイ!!」
まわりの声が小さく聞こえるくらいに私は思考の海に深く潜った。
ーーー
「外にでるには、私の結界がいるの。ライト!」
「ありがとうございます、カナ様。行って参ります」
私の結界がいる――。二つ目の違和感だ。
彼らが外に出ていくのには、誰が結界をはったのか?
ラーファに乗って、私は彼らの後を追った。
ーーー
「う……ん……」
何が起こったんだろう。私はたしか何かにぶつかってこられて、後ろにとばされてそれで――
「わぁ!! いったい何が?!」
頭をぶつけて気を失ったと思うのだけれど、頭はまったく痛くない。
「包んでもらった料理がぐちゃぐちゃに……」
服だけがびしょびしょで何故か真っ赤に染まっている。そうか、料理をここにいれていた。でもこれだけの衝撃を受けて、私は何故どこも痛くないのだろう……。
「アリスト様、いったい何があったんです?」
「んー? ヒミツ」
「なっ?!」
「だって、ルードは兄上のお友達だからね。教えてあげる義理はないよ」
違和感がどんどん増えていく。
もう、彼女は魔法が使えるのでは?
ーーー
彼女の様子を確かめようと観察したいのに、アリスト様は私の目から彼女を隠した。
「水の精霊よ」
「――――」
少しだけ見えた彼女の口は、アリスト様とちがう形に動いていた。
ーーー
自分の体調がすこぶる悪いのはわかっていた。寝ないと魔力が回復しないのに考え出すと眠れなくなる。昨日もそうだった。
だから、短期決戦のつもりで、今出来る最大出力の火の魔法を放つ。
「火の精霊よ」
残り一匹、なんとかなりそうだ。私はもう一度、杖を構えて魔法を放つ。
「火の精霊よ」
何故か、自分が放った炎が想像の上をいく大きさになった。あのサイズを放ったら、最低限残しておくつもりの魔力が――。
残っている……。おかしい。
違和感は次第に確信へと姿を変えていく。
ーーー
「ライト!」
彼女の呼んだ名前はカナ様と同じだった。
そう、光の精霊の名前だ。
カナ様と同じ光の結界が私の前にあるのだ。
「これは――」
やはり、彼女、リサ様は魔法を使える。それだけじゃない。聖女の守護魔法まで使える。その事実を目の前の光の結界が物語っていた。
リサ様は守護魔法も攻撃魔法も使える、――本物の聖女だ。
では何故? 彼女に初めて出会ったあの日。私は彼女の力の数値をカトル殿下と一緒に確認している。カナ様と正反対のあの数値を――。
何にせよ聖女であるなら彼女は守らなければならない。国の大事な人だ。そう、ライトコールにとって、そしてカトル殿下にとっても。私が無事に国へ送り届けなければならない。
「キレイな眼ですね」
彼女が私にかけた言葉が何故か頭の中に甦ってきた。
コメント
1件
みぅです🥀 今回のライト視点の番外編、めっちゃ好きでした…! 「違和感」が少しずつ積み重なって、最後には“リサ様こそ本物の聖女なんじゃないか”って確信に変わっていく流れ、ゾクゾクしました。カナ様との数値の正反対の設定がここで効いてくるの、本当に上手いなって思います。それに「キレイな眼ですね」の言葉が最初の伏線だったんだ…って気づくと胸がギュッとなる。花月夜さんの伏線の張り方、毎回美しいです🌙
月城 蓮桜音
34
羽海汐遠
14,514
#オリジナル
ゆいらーめん
512