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 フィーレが初対面でぶちまけた言葉は合衆国側を凍り付かせる結果となった。軍民問わず全ての技術データを開示することを要求されたのだ。合衆国側の反応も無理はない。これが地球の他国或いは勢力ならば、笑い飛ばすか身の程知らずとして逆に圧力をかけて終わりだ。 だが、相手は自分達より遥かに格上のアードである。当然そのような対応は絶対に出来ない。しかし大勢の報道陣の前で下手な振る舞いをすれば威信に関わる。ハリソン含め皆が瞬間的に胃を痛め、どうしたものかと頭を悩ませたが幸いにして救いの手は直ぐに差し伸べられた。




「フィーレ、あって早々それは失礼だよ。ごめんなさい、ハリソンさん。この娘、地球の技術に興味津々なんです。だから先走っちゃったみたいで」

「ああ、そう言うことか。地球の技術に興味をもって貰えるとは光栄だ。是非ともメカニックとしての意見をお聞きしたいな」

「ん、任せて~」




 ティナのフォローにより発言の真意を探れたハリソン等はほっとした。また、話としては合衆国としても悪くはない。

 自分達より遥かに進んだ技術を持つ惑星の技術者との交流は間違いなく技術革新を促すだろうし、実現不可能と結論付けられていた技術が実現する可能性すら含んでいるのだ。当然合衆国としては断る理由もない。ハリソンは瞬時に判断して快諾する。




「ちょっとしたサプライズはあったが、本題に入ろう。先のフロンティア彗星の件では地球を滅亡の危機から救ってくれた。地球人を代表して心からの感謝を捧げたい」

「地球の皆さんが無事で何よりでした。今度は大きな船を持ってきましたので、彗星がまたやって来ても安心できますよ」

「それは心強い。これからも双方のより良い未来のために交流を深めていこう」




 ここでティナとハリソンは握手を交わし、場は拍手喝采に包まれた。




 取り敢えず落ち着ける場所にってことで、私達はハリソンさん達に案内されてホワイトハウスの会議室へやって来た。前世ではまるで縁がなかったのに、今世では何度も来てる場所だから不思議な感じだ。

 フィーレは物珍しそうにキョロキョロしてて、皆さん表情を和ませてる。フィーレは小動物的な可愛さがあるし、仕方無いね。




「私は?☆」

「しれっと心読まないで?ばっちゃん」




 ちょっと紛らわしいけど、アリアが上手く翻訳してくれて私がばっちゃんと呼んでも皆さんにはティリスと聞こえるし、逆にばっちゃんがティナちゃんと呼んでもお姉ちゃんと聞こえるようになってる。

 ただし、私は日本語だけは翻訳しないからそこだけは注意しないといけないけどさ。




「最初にこちらを納めさせてください。前回では渡せなかった交易品になります」




 当然トランク百個と医療シート二千枚なんて纏めて渡せるはずもない。だから取り敢えずハリソンさんに目録を渡して、後で指定された場所へ送り届ける事になる。

 これまではフェルの転送魔法やギャラクシー号で往復して渡していたけど、銀河一美少女ティリスちゃん号。つまりデストロイヤー級は大気圏内航行能力を持っているから直接持ち込める。フィーレの作業ポットを使えば搬出は簡単だ。

 まあ、飛行場はとても広いし簡単だよね?




「これは……ありがとう。医療シート二千枚とは凄い数だな」

「臨時収入がありましたし、地球の食べ物はアードでも人気ですから」

「それは良かった。今回も大量に用意させてもらったが釣り合うかどうか怪しいな」

「大丈夫、少なくとも私は釣り合うと考えていますから」



 トランクや医療シートは地球からすればまさに魔法のような道具だけどアードからすればありふれた日用品だ。トランクもグレードは一番低いものだしね。

 それと、ばっちゃんからアードでベビーブームを引き起こしたことは秘密にするように言われた。言い触らすつもりはないよ。何があるか分からないし、アード内部にも敵が居るのは分かるからね。




「フェル嬢も久しぶりだ。東南アジアでは大活躍だったみたいじゃないか。雨を降らせるなんて前代未聞だよ」

「少しでもお役に立てたなら良かったです、ハリソン大統領」




 フェルとハリソンさんが握手を交わして。



「さて、次のお二人は初対面だったね。私はジャック=ハリソン、ここ合衆国の大統領を務めている身だ。あなた方がティナ嬢の妹さんと先ほど紹介してもらったフィーレ嬢だね?」

「ティリスちゃんだよ!☆」

「よろしくー。さっきはお騒がせしてごめんねー」

「フィーレ、軽いって」

「ははは、構わないよ。むしろ私の事は叔父のように思って気軽に接してくれるとありがたい」



 ハリソンさん、相変わらずフレンドリーだなぁ。




『ティナが椎崎首相と繋がりが深くなっているので、危機感を抱いているのかもしれません』

「そんなものかな?」




 私としてはハリソンさん達とも仲良くしてるように思ってるけど、やっぱり政治の世界は難しい。ばっちゃんに丸投げだ。




「さて、来訪早々お騒がせをしてしまい申し訳ない。人工衛星破壊の経緯はアリアから詳細なデータをもらっているし、統合宇宙開発局の解析データとも整合性がとれた。この件に関して我が国が君達を非難することはないと断言しておこう」

「こちらこそ、やり過ぎてしまって……やっぱり抗議が出ているんじゃないですか?」




 当事国とか。




「それについては心配無用だ。その、ミサイルの件と今回の件でかの国は半ば恐慌状態に陥ったみたいでね……」

「ええ!?」




 ハリソンさんの話だと、立て続けにアード側の武力を見せ付けられたあの国の指導者は面子が丸潰れ。これ迄なんとか抑え込んでいた国内の問題や不満が一気に爆発して内乱一歩手前らしい。私達のせいで犠牲者が出るのは容認できないんだけど!



「ティナちゃんは優しいね☆」

「だって私達がやったことだよ、ばっちゃん!それで内乱が起きるなんて!」

「違うよ、私達はやられたからやり返しただけ。それで内乱が起きたとしても、それは内政を疎かにした指導者の責任であって私達には関係ない。

 それともティナちゃんは、あのミサイルが落ちて良かったの?アリアの解析だとあのまま放置していたら故障して日本に落ちた可能性が高い。あの人工衛星だって、船は無事でも飛び散った残骸が間違いなくISSを傷付けたよ。それで良かったの?」

「それは……」




 ばっちゃんの言葉は翻訳されていない。




「君が気に病む必要は無いよ、ティナ嬢。それに、安心して欲しい。おそらく内乱にはならないだろう」

「え?」

「中華が強く干渉している。おそらく、指導者の首をすげ替えて終わりだ。この数十年何度も繰り返してきたことさ」

「えぇっ!?」




 どうやらあの国は前世より遥かに中華に依存しているみたいです……なんか怪しいと感じるのは前世が日本人だからかな?

星渡りの少女~TS転生したポンコツ美少女天使は故郷と地球の架け橋となる~

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