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翌日、打ち上げ3日前の1957年10月31日、バイコヌール宇宙基地。
その日は晴れていた。午前10時、訓練施設からハンドラーとともに1匹の犬が定時散歩に出かけた。ライカである。この時、ライカはまだ、これが最後の散歩であり、地球で見る最後の空であり、最後のハンドラーと過ごせる時間だったということを知らなかっただろう。
散歩を終えたライカは、最終準備に取り掛かった。
背中に埋め込まれた電極を消毒して装置に接続し、生命維持装置には、餌と酸素の充填、供給も始まった。センサーを体に取り付け、排泄物用袋が装着された。ベストとハーネスもつけられ、ライカの体を固定した。
ライカが中に入れられたカプセルがロケットの先端に取り付けられたのは、午後2時。カプセルには観察窓がついており、打ち上げまで頻繁に状態チェックが行われていた。ライカは、呼吸も心拍数もすべてが正常で安定しており、ストレスは見られなかった。
それから3日後。ハンドラーが最後に観察窓を覗き、そのあとにロケットのハッチが閉められ、誰もライカの姿を見られなくなった。
1957年11月3日午前5時30分。
ライカを乗せたロケットのエンジンが点火され、ライカは、帰還予定のない宇宙へと旅立った。