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ライカの乗ったロケットは、上昇を始めた。
打ち上げ直後から、ライカの状態に変化が見られた。最大5Gもの重力がかかり、脈拍が通常時の3倍近い260まで跳ね上がった。もちろんこれは想定の範囲内で、地上のオペレーターやハンドラーたちは、落ち着いてミッションを遂行した。まもなく、地球周回軌道への投入成功が確認された。
ついに、生物が生きた状態で、宇宙飛行を開始した瞬間だった。
軌道投入までは順調だったものの、そこからは予想通りにいかないことも多くなっていった。
ロケット本体と、ライカを乗せた衛星が分離に失敗し、衛星はロケットと結合したまま軌道を周回することを余儀なくされた。また、断熱材も一部が損傷した。
無重力状態になってからは、ライカは約3時間かけて通常の脈拍に戻ったが、これは地上実験の3倍の時間であり、一時は元に戻らないだろうと推測されていた。ライカは異常に強いストレスを受けていたのだ。
宇宙空間にいるライカからは、宇宙の非常に貴重なデータが数多くもたらされた。
まず、宇宙のような無重力状態でも、生物は問題なく生存や食事ができるということ。それまでは、無重力環境下での生物の生存が可能かどうかすらわかっていなかった。また、ロケットや生命維持装置の課題や改良点など、問題点も数多く浮き彫りになった。他にも、ライカは様々なデータをソ連にもたらした。
打ち上げから1週間後、生命維持装置の酸素の供給量が寿命に達しようとしていた。ついに時が来たのだ。
ライカはいつも通り、供給された餌を口にした。しかし、その中には、睡眠薬と毒が含まれており、ライカは安楽死した・・・