この作品はいかがでしたか?
100
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私に感情が芽生え様々なことを学んでいる時のことあなたはふと、こう呟きましたよね。
「なぁ、マナ?」
「はい?」
「私の昔の夢を話したいんだが聞いてくれるか?」
「別に構いませんが…」
「実は私はこんな研究なんかよりも、物語を書くのが好きで小説家なんかになりたかったんだ」
「私を造るほどの技術力と行動力に才能まであるのに……」
「才能があるからそれを買われて私の好きな事を封じてこれに専念させたんだろう。」
「だが、今はそんなしがらみから開放された。だから好きな話を好きなだけ書けると思うんだ。」
「とてもいい事じゃないですか。」
「唯一の欠点は読者がいないから自己満で終わるって所かな。」
「…………」
「なら、私が読者になりますよ」
「え?」
「私が世界で一人の読者になります。感想も直接お話しますよ。」
「それはそれで恥ずかしいからやめて欲しいかも」
「でも、感想があるだけ嬉しいですよね?」
「そりゃー…まぁね?」
「それじゃあ早速書きましょう。」
「半ば強引にやられた気がする……。」
それからあなたは自分の頭の中にある『世界』を文として書き記していきましたね。出来上がるまでの待機時間私はいつも通り野菜を育てたり、各部屋の掃除をこなしたり、独学ですが書斎に行き言葉や世界のことをより深く調べ理解したりとしてました。
あなたがお話を書き出して三日後、まずは軽いものとして短編のお話を書き終え私に渡してくれましたね。用紙の量で言えばB5の紙に四枚程度とほんとに短いものですが、それでもあなたが必死に考え書いたものと思うと量より質という事なのかな なんて個人的には感じてたりしました。
「よし!とりあえずの作品は完成した!」
「本当ですか!?是非読ませてください!」
「あぁ!自信があるかないかで言えばないけどね」
「読み終わるまで少し待っててくださいね〜。」
この頃には私ももう人と大差ないほど『感情』を得ていた。それを一番に感じていたのはきっとあなただと思います。生物の持つ喜怒哀楽はもちろんの事空気を読むなんてこともできたり、冗談を話してみたり、私が生まれてから一ヶ月と少ししか経っていないのにここまで人と大差ないほど成長出来たのはきっとあなたの優しい問いかけだったりしたのかもしれませんね。
「ど、どうだ?読み終わったか?」
「はい。読み終わりました。」
「…感想のほどは?」
「そうですね。やはり最初の作品ということであえて当たり障りのない物語になっていて、そこは保守的ということで可も不可もなくって感じですが、文として見た時に、抽象的な言葉が多くあり人によってはイメージしずらいのかなといった感じでした。」
「すごいしっかりとした感想話してくれるじゃん」
「ふふっ。実は私独学ですが書斎に行き言葉なんかも勉強してるんですよ」
「もしかして私よりも文才があるのでは?」
「かもしれないですね?」
「もしあったら困るから絶対書くなよ?」
「それは断言できませんねぇ」
「なかなか意地悪なこと言うようになったね」
「これも勉強した賜物かもしれないです」
そんな他愛もない会話をして二人で笑い合う日々がずっと続くとこの時の私は思ってました。
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