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放課後の玄関は、人が多くてざわざわしてた。
靴箱の前で、あっきぃが少しだけ立ち止まる。
ころん(……帰るの、怖いよな)
【ころん】「一緒に帰ろ」
【あっきぃ】「……うん」
【莉犬】「今日は遠回りしよっか」
あっきぃは小さく頷いた。
外に出た瞬間、空気が変わったのが分かった。
ころん(……あ)
校門の近く。
見覚えのある背中が、五つ。
【けちゃ】「……あ」
【まぜ太】「は?」
【ぷりっつ】「……」
【あっと】「何してんだ、あいつ」
【ちぐさ】「……」
兄弟全員。 完全に、偶然。
あっきぃの足が止まる。
【あっきぃ】「……っ」
声が出てない。
ころん(……まずい)
一歩、前に出たのは、あっとだった。
周りの生徒が、ちらちら見る。
【あっと】「お前、昨日どこ行ってた」
【あっきぃ】「……」
【けちゃ】「連絡もなしでさ」
【まぜ太】「迷惑なんだけど」
あっきぃの肩が、目に見えて強張る。
ころん(……ここで責めるのかよ)
【ころん】「……すみません」
思わず、口が出た。
全員の視線が、こっちに集まる。
【あっと】「は?」
【ころん】「今、帰りなんで」
【けちゃ】「関係ないだろ、部外者」
【莉犬】「部外者じゃないよ」
莉犬くんが、あっきぃの隣に立つ。
【莉犬】「クラスメイト」
【ぷりっつ】「……」
ぷりっつだけが、何も言わない。
あっきぃが、小さく声を出す。
【あっきぃ】「……俺、今日は」
【あっと】「何」
【あっきぃ】「……寄り道して帰る」
空気が、凍る。
【まぜ太】「は?」
【けちゃ】「ふざけてんの?」
【ちぐさ】「……」
【あっと】「勝手なことすんな」
その瞬間、あっきぃが一歩下がった。
ころん(……反射的だ)
俺は、あっきぃの前に立った。
【ころん】「……今日は、俺たちと帰ります」
【けちゃ】「は?」
【まぜ太】「何様だよ」
【ころん】「少なくとも…
今、責められる状態じゃない」
一瞬、沈黙。
【莉犬】「無理だから、また今度話して」
「今日はここまで」
【ぷりっつ】「……あっきぃ」
ぷりっつが、初めて口を開いた。名前だけ。
あっきぃの指が、きゅっと握られる。
【あっきぃ】「……ごめん」
その一言が、全部だった。
【あっと】「……好きにしろ」
吐き捨てるように言って、背を向ける。
【けちゃ】「ほんと勝手」
【まぜ太】「もう行こうぜー」
【ちぐさ】「……」
兄弟たちは、別の方向へ歩いていった。
残った空気が、重い。
しばらく誰も喋れず動けなかった。
【ころん】「……歩こ」
【あっきぃ】「……うん」
【莉犬】「大丈夫。ちゃんと立ってる」
三人で歩き出す。
少し進んでから、あっきぃが小さく言った。
【あっきぃ】「……迷惑、かけたよね」
【ころん】「かけられてない(即答」
【莉犬】「むしろ、選択肢増えたじゃん」
あっきぃが、少しだけ笑った。
ころん(……今は、それでいい)
夕方の光の中、三人の影が並んで伸びていた。