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ピカ tigulove
381
放課後の玄関は、人が多くてざわざわしてた。
靴箱の前で、あっきぃが少しだけ立ち止まる。
ころん(……帰るの、怖いよな)
【ころん】「一緒に帰ろ」
【あっきぃ】「……うん」
【莉犬】「今日は遠回りしよっか」
あっきぃは小さく頷いた。
外に出た瞬間、空気が変わったのが分かった。
ころん(……あ)
校門の近く。
見覚えのある背中が、五つ。
【けちゃ】「……あ」
【まぜ太】「は?」
【ぷりっつ】「……」
【あっと】「何してんだ、あいつ」
【ちぐさ】「……」
兄弟全員。 完全に、偶然。
あっきぃの足が止まる。
【あっきぃ】「……っ」
声が出てない。
ころん(……まずい)
一歩、前に出たのは、あっとだった。
周りの生徒が、ちらちら見る。
【あっと】「お前、昨日どこ行ってた」
【あっきぃ】「……」
【けちゃ】「連絡もなしでさ」
【まぜ太】「迷惑なんだけど」
あっきぃの肩が、目に見えて強張る。
ころん(……ここで責めるのかよ)
【ころん】「……すみません」
思わず、口が出た。
全員の視線が、こっちに集まる。
【あっと】「は?」
【ころん】「今、帰りなんで」
【けちゃ】「関係ないだろ、部外者」
【莉犬】「部外者じゃないよ」
莉犬くんが、あっきぃの隣に立つ。
【莉犬】「クラスメイト」
【ぷりっつ】「……」
ぷりっつだけが、何も言わない。
あっきぃが、小さく声を出す。
【あっきぃ】「……俺、今日は」
【あっと】「何」
【あっきぃ】「……寄り道して帰る」
空気が、凍る。
【まぜ太】「は?」
【けちゃ】「ふざけてんの?」
【ちぐさ】「……」
【あっと】「勝手なことすんな」
その瞬間、あっきぃが一歩下がった。
ころん(……反射的だ)
俺は、あっきぃの前に立った。
【ころん】「……今日は、俺たちと帰ります」
【けちゃ】「は?」
【まぜ太】「何様だよ」
【ころん】「少なくとも…
今、責められる状態じゃない」
一瞬、沈黙。
【莉犬】「無理だから、また今度話して」
「今日はここまで」
【ぷりっつ】「……あっきぃ」
ぷりっつが、初めて口を開いた。名前だけ。
あっきぃの指が、きゅっと握られる。
【あっきぃ】「……ごめん」
その一言が、全部だった。
【あっと】「……好きにしろ」
吐き捨てるように言って、背を向ける。
【けちゃ】「ほんと勝手」
【まぜ太】「もう行こうぜー」
【ちぐさ】「……」
兄弟たちは、別の方向へ歩いていった。
残った空気が、重い。
しばらく誰も喋れず動けなかった。
【ころん】「……歩こ」
【あっきぃ】「……うん」
【莉犬】「大丈夫。ちゃんと立ってる」
三人で歩き出す。
少し進んでから、あっきぃが小さく言った。
【あっきぃ】「……迷惑、かけたよね」
【ころん】「かけられてない(即答」
【莉犬】「むしろ、選択肢増えたじゃん」
あっきぃが、少しだけ笑った。
ころん(……今は、それでいい)
夕方の光の中、三人の影が並んで伸びていた。
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