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進は見張りをしている間、合間を見ては濃硫酸ともう一つのある薬品を作成していた。
「よし、目標の量生成できたな。」
「ススム君、さっきから何を作っているんだい?」
そう聞いてきたのは、ブルーイーグルのリーダー、アランだった。
「こいつは、濃硫酸と言って肥料や鉛電池に使われるんです。」
「肥料?電池?何だいそれは。」
この世界では、肥料や電池の概念はないのか―――
「そうですね。」
「口で説明するのは難しいので、できたら今度実物を見せますよ。」
「それは楽しみだな。」
こうして、オレたちの見張り当番が過ぎて、次の日となった。
「みんなそれじゃ今日も出発しよう。」
フラムさんの出発の声を挙げた。
「今日は最深部まで行こうと思う。」
「エリア今の階層とこれからの進捗予定を教えてやってくれ。」
「はいよ!」
「そうね~私のスキルでこのダンジョンの階層を調べたところ、今地下の2階層であと3階下まで行くと最下層だよ。」
エリアさんダンジョンの情報が分かる便利なスキルを持ってるんだな。
皆、フラムさんに続いて、魔坑道の最深部を目指し、また進行を開始した。
2時間が過ぎた頃、事件が起きた。
偶然歩いていたグレッグが下に続く階段を見つけた。
「おい!ここに下に降りる階段があるぞ!」
「グレッグ君!ナイスだ。」
フラムさんがグレッグを称賛する。
「ダメ!それは罠よ!」
エリアさんがいきなり大声でそう言った。
グレッグが下の階の階段に足を付けたその瞬間、
その階段がガラガラと崩れ始めた。
「うわぁぁぁぁ!!」
グレッグが漆黒のような穴の下に落ちていった。
冒険者たち一行は突然の出来事に驚いた。
グレッグの取り巻きたちが大慌てで階段の方に向かう。
「グレッグさん!!大丈夫ですかー!」
「グレッグさん!」
「もしかして今ので、グレッグさん死んでしまったんじゃ―――」
「あの人が簡単に死ぬわけないだろ!」
グレッグの取り巻きたちが泣きながら、その穴に向かって大声で叫ぶ。
あいつもそれなりに人望があるんだな。
進はグレッグの意外な人望の高さに驚いた。
「しょうがないな。」
「オレがグレッグを助けに行く。」
進は、グレッグの落ちていった穴に群がっているグレッグの仲間たちにそう言った。
「大丈夫かい?ススム君。」
フラムさんは心配をしてくれている。
「グレッグは今この穴に落ちた。」
「もしかしたら、今から助けに行けば無事に救出できるかもしれない。」
「それにオレは白魔法で傷が治せる。」
「君は彼のことが嫌いではなかったのかい?」
「嫌いってわけではないですよ。」
「ただ前にぶっ飛ばしたのは向こうから攻撃をされたからです。」
「それに死んでもいいって思えるほど悪い奴でもなさそうですし。」
「この穴からもしかしたら最深部に向かえるかもしれません。」
「最深部で落ち合いましょう。」
進はフラムにそう告げる。
「待ってください。ススムさん。」
「私もご一緒させてください。」
マリーは同行することをお願いしてきた。
「この先の穴は危険かもしれない。」
「それでもついてくる気か?」
「どうせこのダンジョンにいる限り危険は続きます。」
「それなら私はススムさんのそばがいいです。」
「そうかなら一緒に行こうか。」
進は自然と笑みを零しながらマリーに言った。
内心ついてこようとしてくれるマリーの存在が嬉しかったのである。
「ではフラムさん、また最深部で会いましょう。」
「気を付けていくんだぞ。」
進とマリーは漆黒の穴にグレッグ救出のため向かっていった。