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死ネタに近い
近いというか死ネタです
やっぱ嘘かも
⋯
にゃー。
とある雨の日の帰り道。
雨の打ち付けるアスファルトを、傘を差して歩いていた。
買い物袋の中には、特売で買ったツナ缶やお刺身。
重いなぁ、なんて時折持つ手を変えながら、よたよたと歩いていく。
びゅぅっ
「ぉわ、っ…!」
突然強い風が吹いて、ぎゅっと目を瞑る。
落ち着いた頃合いを見てそっと目を開けば、前方からは何やら黒い何かが転がってくる。
それは、僕の足元でゆっくり回転を止めると姿がはっきりと見えた。
「…猫ちゃん?どうしてこんな雨の中⋯」
それは、少し汚れてしまっているがきれいな茶色の毛をした猫だった。
目はキリッとしていて、それでいて可愛らしさを兼ね備えている。
僕の足元に寄ってきては、すりすりと身を寄せてきた。
小さいその体はびちょびちょで、このまま放っておけば風邪を引いてしまいそうで。
「寒かっただろうなぁ⋯」
「あ、そうだ。雨が止むまで僕の家で保護してあげるね。」
ちょうど、家に空き部屋があったはずだ。
こんな子猫一匹には贅沢かもしれないが、それも悪くない。
カバンからフェイスタオルを取り出し、猫を上に乗せ、軽く巻いてやる。
猫は何をするんだ、と言わんばかりに軽い抵抗をしたが、すぐに落ち着いた。
「ちょっと我慢しててね。すぐ帰るから。」
タオルに包まった猫の身体が、ぶるっと震えたような気がした。
⋯
家に帰ってまず、風呂桶に温かいお湯を出す。
ガーゼをお湯に濡らし、身体を軽く拭いてやる。
目脂を見つけたので、それもガーゼを駆使して取り除く。
「ぅわっ、ちょ、落ち着いて⋯」
お湯が初めてなのか、僕の手からすり抜けてよろよろと逃げる猫。
何度か脱走した後、僕の手からは逃げられないと悟ったのか、悲しそうな鳴き声を響かせ大人しくなる。
僕悪いことしてないじゃん。
しっかり洗ったあとは、しっかり拭く。
小さい身体だから、入念に拭かないと。
時間をかけドライヤーをすれば、ふわふわの毛並みに大変身。
「うわ⋯ふわふわすぎるでしょ」
思わず独り言をこぼす。
猫は脱力していた手にすり寄っては、尻尾を高く上げていた。
にゃーん。
足の爪を切り、その後のケアをしてあげれば、すっかり綺麗になった。
ふぅ、とソファーに身を預けていれば、鳴き声とともに軽い身体が太ももに乗っかる。
もう僕に慣れてくれたのか。なんて撫でてあげれば、まんざらでもなさそうな顔。
「よーし、一緒にご飯食べよっか!」
ごろごろと喉を鳴らして、返事の代わりに答えてくれる猫。
キッチンへ向かう僕の足は、こころなしか軽い気がした。
⋯
続きます
気長にお待ち下さい!