テラーノベル
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💛💙〜香水 刻み込む〜
バサっとシャツを脱いだ音がしたかと思った瞬間に、立ち込めた香りに気づく
照が服を脱ぐまでには、ほんのりとしか香らなかった甘い香りが、色濃く立ってきて頭が痺れる
引き寄せられるように、思わず振り返る
「ん?どうした?」
「や、あの、香りが……」
「あぁ、嫌いだった?」
「や、むしろ好きなんだけど、その」
「ふ、そうだと思った」
そう言って片方だけ唇の先を上げて笑う照
鍛え上げられた身体が目に入って、否応なしに熱が上がる
漢の色気が漂う風貌に目が釘付けになる
「翔太」
照が一歩近づくだけでも、より一層香りが立ってくる
それだけでクラクラと目眩がする
「う、ぁ」
「翔太」
「あ、ちょ、待って」
「待たない」
グイッと引き寄せられて甘い香りの中に囚われる
「あ、ひかる、だめ……だって」
「酔っちゃう?笑」
「なんで、急に、こんな…」
「腰につけたからね」
「おま、狙ってたのかよ……」
「ふふ、目、潤んで蕩けてきてるよ?」
「っ!……だって」
「もっと俺に酔いしれてよ」
「あ……んぅ」
逞しい腕に抱かれたまま、キスを落とされる
角度を変えて、唇を重ねるたびに、香りが芳醇に立ってくる
思い出すのは、ついこの前、激しく求め合った夜のこと
その時もこの甘い香りが2人を包んでいた
キスを重ねている間に、いつのまにか上の服は全て脱がされていて、ゆっくりと照の手が肌を這う
唇も、手も、腕も、どこもかしこもが熱い
「ん、はぁ、ぁう、んっ、んう」
「息上がるの早いな、今日は」
「んっ、わ、ざと、の、くせ、に、はぁ」
「思い出して期待してるだろ?」
「……言う、な」
「可愛い」
力強い腕の中、甘い香りに熱を与えられて、思考がどんどんと溶かされていく
「翔太、こっち」
誘われるがままにベットに傾れ込む
シーツに身体がバウンドした瞬間にまた香りが強くなった
「んぁ、ね、また…ん!」
「ふふ、シーツの間にかけといた」
「あ、や、な、んで」
「ちゃんと覚えて」
そうするあいだも、口付けも愛撫も止めてくれないから、香りと共に鮮烈な快感が刻み込まれていく
「あっん!ひか、る!も、ダメ」
「翔太、俺の翔太……!」
それからも身体を重ねる度に、照は俺の体に甘い香りを覚え込ませた
練習日、激しいダンス練習の連続で、足がもつれてよろけた俺を、とっさに照が支える
その瞬間に、あの甘い香りが微かに香って、一瞬で熱い夜の記憶が蘇って、顔に熱が集まる
「ぅぁ………」
僅かな吐息に気付いた照が、体を支えたまま耳元で低く囁く
「思い出しちゃった?笑」
「っ!」
反射的に睨みつければ、照は意地悪く笑う
「ばか!」
思わず叫んで、その腕を振り払う
「うぉあ!?どーした、翔太!急に」
「なんでもない!トイレ!」
「おぉ……」
突然大声を出す俺にみんながびっくりしてるけど、構わず部屋をあとにする
「ふっは!笑 かわい」
「ちょっと〜?岩本さ〜ん?ナベに何したのよ?」
「なんでもねぇよ笑」
「なんでもないことないでしょうよ」
「ふふ、内緒〜」
火照った顔の熱が治るまで、自販機で買った冷たい水を頬に当てていた俺を迎えにきたふっかに、何かあったら言えよと心配されたけど、とても相談なんてできない
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