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🤍💙〜 香水 包み込む〜
「いい匂いする」
「んー?あぁ香水?」
「うん」
「この香り好き?」
「うん、なんか寄っていきたくなっちゃう感じの安心感」
「へぇ。じゃあ」
そう言って手首を俺の首に擦り付けてくる
「…?」
行動の意図が分からなくて首を傾げると、息遣いが肌をなぞるほどの距離で、すんっと首の匂いを嗅がれて、耳元で低く囁かれる
「これでしょっぴーも、俺と同じ香りだね」
落ち着いた甘い声が頭に響く
前髪が頬を撫でるのがくすぐったい
ゆっくりと顔を引いて、鼻が触れそうな程の距離で見つめられる
にっこりと笑いかけられて、顔に熱が集まるのがわかる
「っ!」
俺の表情を見て、満足そうにより一層円弧が深くなる
その余裕の表情が醸し出す色気に、すっかり当てられてしまって声が出ない
異国の血が混じるエキゾチックな顔立ちが、その艶やかさを引き立てる
「………………っ」
「そんなにうっとり見つめられたら、キスしたくなっちゃう」
「ぁ………………」
声を出せないままの俺の腰を引き寄せる
20cm近くの身長差は、俺の身体なんていとも簡単に包み込む
大きな手が頬に添えられて、香りが濃くなる
心臓の音が体内で大きく響き渡る
顔を上に向けられ、妖艶な笑みに見下ろされる
徐々に近づいてくるのがわかってても、身体が言うことを聞いてくれない
思わず薄く開いた唇に、少し厚めの唇が重なる
「んぅ…」
「かーわいい」
「らう……だめだって」
「んふ、じゃあ逃げなきゃ」
「………そう、なんだけど」
「力が抜けちゃう?」
「……………」
「もういい加減諦めてよ」
「…………だ、め」
「好きなくせに」
「.……………」
「もう〜。じゃあもう1回だけキスして」
「………ん、1回だけ」
ひとまわり近くも年下の、まだまだ若いこの男の恋情を、受け止めてやる覚悟が俺にはまだなくて
でもこの体温を振り切って逃げれるほどには、強くなれなくて
今日も曖昧なままに、その口付けを受け入れてしまう
コメント
2件

ぴぇー!成長著しい🤍笑
