テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
車で連れてこられたのは、想像していたよりも明らかに大きくて広い家……というより屋敷だった。
「おい、行くぞ。」
「行くってどこに…?」
「まずはお前を綺麗にする。安心しろ、メイドにやらせるから。」
「馬鹿にしないで!自分のことくらい自分でやるわよ。お風呂に入ればいいんでしょ!」
「お帰りなさいませ、且功様。」
私の声を遮るように男の人が如月さんに話しかけた。肩までかかった長い髪の毛、体の細さから、女性なのではないかとも漢字させる。
いや、待って、この人本当に男の人……だよね…?ズボンもはいてるし。
「こいつは咲月(さつき)。うちの執事だ。お前がいろいろ思っているのは分かるが、こいつはちゃんと男だぞ。」
「こちらが新しい方ですか……珍しく劣っていて、いろいろと足りなそうな人ですね。」
主人が主人なら、執事も執事っていうわけ……ムカつくとか超えて、殴り飛ばしたくなってくる。
「とりあえずこいつを風呂場に連れてけ。服は適当でいい、玩具っぽければ。」
「かしこまりました。」
如月さんと別れ、風呂場へと案内される。この人もお金持ちなのかな……?執事ってなんだろう。
「どうぞお好きにお使いください。頭には赤のボトルと緑のボトルを、体は黄色のボトルの液体をお付けください。」
「ありがとう……。」
こんなに立派なお風呂なんて初めてだ。いつも井戸水を汲ませてもらって、水を浴びるだけだった。
「頭には赤と緑……。」
これ、如月さんも使ってるのかな…いい匂いがする…。いや、そんなの気にするな、私。買われたからって言われたままに従ってたら、本当に玩具になっちゃう……。
お風呂は仕方ないから入るけど、絶対に如月さんの言うことなんか聞かない。言いなりになんかならないんだから!