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部長と私の秘め事

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部長と私の秘め事

436 - 第436話 なんでもっと早く出会えなかったかな ☆

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2025年03月05日

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ただ耳を舐められているだけなのに、どうしてこんな声が出てしまうのか分からない。


私はビクビクと体を跳ねさせ、渾身の力で逃げようとするけれど、涼さんに押さえつけられていて敵わない。


圧倒的な力の差を見せつけられ、本来なら心の底に少しの怯えがあるはずなのに、相手が涼さんだからか本当の意味での恐怖は感じなかった。


胸を満たすのは羞恥、快楽、……悦びだ。


涼さんは好きなだけ私の耳を舐めたあと、「……はぁっ」と息を吐いて私を解放する。


とんでもない悦楽の余韻に浸ってぐったりしていると、彼は乱れた私の髪を撫でつけて顔を出し、鼻をつまんできた。


「恵ちゃん? 今みたいな事を言ったら、またお仕置きするからね」


お仕置きと言われ、私はカーッと赤面する。


今の耳舐めは、涼さんなりのお仕置きだったのだ。


(びっくりしたけど、気持ちいい事ならしてほしい……、けど。これは繰り返したらいけないやつだ)


彼は私の頭を撫で、穏やかに微笑んで言い含めてくる。


「自分の体を『使っていい』なんて、道具みたいな事を言わないで。聞いていて悲しくなる。『女性を性欲のはけ口としか見ていない男だと思われているのかな』って、自信もなくなるし」


「あ……。……ごめんなさい」


考えなしな言葉が彼のプライドをも傷つけたのだと知り、私は深く反省する。


「でも、気遣ってくれてありがとう」


お礼を言われ、私はホッとする。


何だかんだで、こうやって意見が衝突しても怒らず、私のほうに非があったのに「ありがとう」を言える人って貴重だと思う。


「さっきも言ったけど、今は性的な行為に慣れる事を重視したほうがいいと思う。男なんて自分でチョチョッとやれば出るもんだから、気にしなくていいよ」


そう言った彼を見て、「大人だなぁ……」と感じる。


「……私だって涼さんに気持ち良くなってほしいのに……。不甲斐ないな……」


ボソッと呟くと、彼がギューッと抱き締めてきた。


「わっ、な、なに……」


「……可愛すぎて、我慢しているのが無駄になるから……、勘弁して……」


かすれた声で言われ、私はこれ以上なく真っ赤になる。


(可愛いとか……! っていうか、この〝大人〟が我慢してるの? 私に?)


もう、彼の言う言葉の一つ一つにクラクラしっぱなしだ。


「可愛いよ、恵ちゃん。……なんでもっと早く出会えなかったかな」


涼さんは耳元で囁き、チュッと私の耳にキスをする。


こんな甘ったるい時を過ごした事のない私は、照れ隠しのあまり拒絶反応を示してしまいそうで、必死に自分と戦っている。


「……あ、あの……。……お、お手柔らかに……」


「ん?」


涼さんは私から顔を離し、不思議そうに目を瞬かせる。


「……その。凄く嬉しいんです。涼さんみたいな素敵な人に、ここまで大切にされて、『可愛い』って言われて、分不相応な幸せでどうにかなってしまいそうです。……でも、こういうの慣れてなくて。……いきなりドカッと大きな幸せや愛情を注がれると、正面から受け止めていいのか分からなくて戸惑っちゃうんです。……はしゃいで『私も涼さんが大好き』ってデレデレしたとして、今まで男性にデレた事ってないので、そんな自分に違和感を抱いて、ウガーッってなりそうです。……だから、少しずつ、適切な距離感で」


「……うん、分かった」


涼さんはゆっくり起き上がるとベッドの上で胡座をかき、ポンポンと私の頭を撫でてくる。


「俺、これと決めたらストレートで、すぐ行動っていう面があるんだ。今まで何度も言ったように、女性関係についてはスペックありきで近づいてくる人が多くて、本当に自分を想ってくれる人をどう見極めたらいいか分からず、当分は焦って相手を決めなくていいかって放置してた。……本当は『付き合ってみたらいい関係になれるかもしれない』と思ってもいた。でも、焦って結論を出す必要はないし、いつかは結婚しなきゃいけないとはいえ、まだ猶予はある。……だから恋愛以外に楽しい事ばかりを求めていたんだけど……」


そこまで言い、涼さんは私をモフッと布団で包む。


「昨日の朝に恵ちゃんと会って挨拶した時、初対面の女性と会った時の〝いつもの〟反応じゃなくて『お?』と興味を引かれる自分がいた。悪いけど『少し話したらいつもみたいに落ちるだろ』と思っていたけど、恵ちゃんはまったく俺に興味を見せず朱里ちゃんばかり気にしてた。……恋愛対象が女性の人なのかな? と思ったけど、尊からはそういう話は聞いていない。……あぁ、安心して。事前に少し聞いたと言っても、二泊三日、円滑に過ごすための基本情報ぐらいしか聞いてないから」


きちんと説明され、私は布団で胸元を隠しつつ頷く。


「……正直、今まで会った女性の中には、俺に媚びるんじゃなくて、そっけない態度をとる事で興味を引こうとする人もいた。……だから注意深く見ていたんだけど……。恵ちゃんは凄く自然体な人だなって感じた。わざとそっけない態度をとる人は、ツンツンしながらも俺を気にする。『構って』オーラを物凄く出すんだ。……でも恵ちゃんはそういうものがまったくなくて、昨日一日かけて君を観察していくうちに『いいな』って感じていった」


涼さんはなぜ私に惹かれたのかを語り、私は興味深く耳を傾ける。

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