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公園の片隅で座っている二人を夕日が優しく照らす。
「なぁ、どうして泣いてたか教えてくれるか?勿論嫌なら言わなくてもいいんだ」
そっと、優しく俺は伊華に尋ねる。
「io、思い、出しちゃって」
詰まりまくってるけど、ゆっくりだけど、伊華は自身の身の上を話し始めた。
俺は、ゆっくりでいい。そう思いながら、優しく相槌を打ちつつ話を聞き続けた。
「ioの姉さん、えっと、王華は、すんごく、優しくて、格好良くて、素敵なドール、なんね」
王華、、、、?まてよ、どっかで聞いたような気が、するような、しない様な。
「でね、ioの姉さんは、イタリア王国のドールなんね。それで、人間がいっぱい、いろんなこと言ったみたいなんね。それで、なんか、イタ王さんがね、裏切り者?みたいになっちゃったんね」
イタリア王国のドールの王華、、、、って事は、枢軸国のドール。つまり、兄貴と面識があるのでは?というか、なんか兄貴が話してたな、王華さんはシスコンだって。なのに、伊華のこの悲しみ様、どういう事だ?
「それで、なんか、悪者みたいにされちゃって、イタ王さんがね、連れて行かれちゃって、それに、姉さんもついていかなくちゃで、結構前なんだけど、今でも、帰ってこなくって、寂しくなっちゃって、泣いてたんね」
赤と緑のオッドアイを淋しそうに揺らしながら伊華は話してくれた。
「そうか」
俺はその一言しか言えなかった。なんて言えば良いのか、分からなくなったんだ。
俺自身も、孤独になった事があった。その時は、ただ、ただ、そばに居てほしかったな。
「俺、暫くここにいようかな。伊華も一緒に居てくんね?」
「うん。いいんよ」
伊華の隣に座って、ただ二人で、どんどん暗くなってゆく、紫色の空を眺めていた。
その時、なんとなく、伊華の頭を撫でた。昔の俺は、そうして欲しかったような気がしたから。伊華は何も言わず、ほんの少し、嬉しそうに微笑んだ。
「io、もう帰んなきゃ。イタリー様が心配しちゃうんね」
静かに伊華は立ち上がって、そう告げた。
さっきまで体育座りだったから小さく見えたが、俺とさほど変わらないぐらいの身長。強いて言うなら、伊華の方が少し小さいかな。
「ねぇ、独華、明日、又、会えるんね?」
上目遣いで伊華はそう言ってきた。寂しいのだろう。返事はもちろん、YESだ。
「又、明日、なんね」
そう言って伊華は自身の家へ帰って行った。
「さむ」
此処は日本だ。四月なのにこんな寒いはずはないんだがな。
何処かさみしげな風に美しく咲いた桜の花が揺すられていた。
俺はどうやって家に帰ったのか覚えれてない。