登場人物
ツカサ…ある王国の王。自身の死を偽装するようルイに指示する。
ルイ…ツカサの重臣。ツカサの言う通り一連の事件を偽装した。
トウヤ…貴族。
アキト…トウヤを守る騎士。真相に近づきつつある。
ネネ…城のメイド。ツカサとルイの共謀犯。
from.ルイ
突然何を言い出すのか、この方は。毎度毎度突拍子もない事ばかり…それに振り回される僕の身にもなってほしいよ。
アキトくんに話すという事は…どっちだろう。
もう諦めたのか、それとも…
「ルイ、心配するな。考えはある。」
そっと耳打ちされた。そんなに不安そうにしていたのだろうか。
ゆっくりと話し出すツカサ様。その時間は永遠ように感じられた。
「俺は…ずっとルイが好きだった。」
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from.ツカサ
「ツカサ様、おはようございます。」
寝ぼけていても、その男が美しさは理解できた。きっとルイは城で…いや、国で1番の美人だ。
そんな俺を、ルイは物好き、変人という。
「僕が美人?そんな事言っているのは、貴方だけですよ。」
だが、少し嬉しそうなルイを見て俺は愛しいと感じたんだ。
これからもずっとそばにいて欲しい。
だが、俺は王だ。もちろん、婚約者もいた。
『ツカサ様は…私の事、愛してくださいますか?戦略的な結婚だったとしても、好いてない相手だったとしても。』
そう聞いてきた事もあった。だが、どうしても嘘はつけなかった。
「すまない、君のことは嫌いではないが、諦められない人がいるんだ。だから…すまない。」
俺は、花が咲き乱れる庭園が好きだった。綺麗に手入れされ、育てられた花は美しかった。
「育てる者が美しいと、花も美しくなるのだな。」
「はい?」
趣味だと言って庭園の手入れをしているルイにそう言った事がある。
「花はきちんと正しく手入れすれば、誰でも綺麗に咲かせる事ができますよ。」
コイツを口説く難易度はレベル∞だった。
どれだけ口説いてもするりとかわされる。
そんな態度をとられたら、もっと欲しくなるじゃないか。
「ルイ、好きだ。俺と共に生きてはくれんか?」
「……はい?とうとう水で酔うようにでもなったんですか?」
「ルイ、愛してる。」
「寝言は寝て言いましょうね。」
「ルイ、俺は嘘をついてない。本当に好きなんだ。」
「はいはい。それより仕事してください。」
「どうしたら信じてくれるんだ?」
「信じるも何も、僕と貴方では身分が違います。それに、貴方には婚約者がいるでしょう。諦めて下さい。」
「今のはお前の本心か?俺にはそう見えないが…立場上、自分の気持ちを伝えてはならないとでも思ってるんだろう?」
「な……!自惚れないで下さい。貴方の事は嫌いではありません。しかし、そういう対象ではありませんので。」
俺は毎回フラれてしまった。
しかし、どうしても諦めきれない。なんなら、王なんか辞めてしまってルイを取ろうか。
そんな馬鹿な事も考え始めていた。
そしてとうとう、仕事にも支障が出るようになってしまったんだ。
from.ルイ
最近、ツカサ様が僕をからかってくる。
そういう遊びでもしてるのだろうか?どちらにせよ、軽く流せばいい。きっとただの遊びなのだから。
けど、段々エスカレートしていって最近は、『好きだ』『愛してる』『俺と共に生きてくれ』……
いくらなんでもやりすぎだ。
そう言われる度に、適当にあしらって忘れるようにしていた。自分のこの気持ちに蓋をするように。
本当は分かってた。ツカサ様が本気な事くらい。それと、僕もツカサ様に情を抱いている事くらい。
けれどこれは、絶対に叶ってはいけない恋なんだ。大丈夫、安心してください。
僕はもう、ちゃんと捨てましたから。
貴方もちゃんと捨ててくださいね。
しかし、最近ツカサ様の元気がない。
婚約者と上手くいってないのだろうか?ツカサ様はあまり婚約者の話をしたがらない。
仕事にも影響が出ているから、早く解決しなければ。
「ツカサ様、最近元気がないようですが、どうかされましたか?」
「あ……いや、少し体調が優れなくてな。」
「ストレスですかね?きちんと休んでくださいよ。」
「ああ。そうだな。」
「あ、もしかして恋煩いだったりします?」
「ああ、そうだな。」
「婚約者様と上手くいってないんですか?」
「ああ、どうも馬が合わなくてな。」
そんな会話をしていたが、ツカサ様の元気は戻らなかった。
元のような明るさには何度も救われた。今度は僕に出来ることはないだろうか。
そう思い、夜、ホットミルクを持ってツカサ様の部屋へ行った。
「失礼します、ツカサ様。体調は大丈夫ですか?」
すると突然、抱きつかれた。
「?!?!ツカサ様?!」
「ルイ、すまない。すきだ、すきなんだ。」
「………」
あぁ、僕のせいだったのか。
「ツカサ様、それならば命令してください。貴方の命令には逆らえませんので。」
「それは……嫌だ。」
「なら……僕はどうすれば良いんですか?」
「俺の事、嫌いか?」
「いいえ。それはありません。」
「なら、好きか?」
「……もちろん、好きですけど。」
「本当か?」
すると優しく押し倒された。
「ツカサ様?」
「……はぁぁぁぁぁ、、、」
ツカサ様は大きなため息をついた。
「なぜ抵抗せんのだ……」
from.ツカサ
押し倒されとるのになぜ抵抗せんのだ。
「貴方のする事には逆らいません。僕は貴方に殺されようと、何をされようとも拒否する権利はありません。」
「違うだろ、嫌だったらきちんと抵抗し…」
ルイが顔を背けた。よく見ると、耳が赤くなっている。
「…おい、ルイ。もしかして今の照れ隠し…」
「こっち見ないで下さい。違いますから!」
なんて可愛らしいのだろう。俺よりでかいくせに。
ああ、これはどうだろうか。いいのか、悪いのか。
俺は王だが、人間だ。
人くらい、愛したっていいだろう__。
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コメント
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なんかBL…なってきた?
ごめんなさいいつもならば考察コメを残すのですが今の私にはそれができません不可能ですありがとうございました(絶命)