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夜の帳が錆の都を包む中、廃工場の跡地に冷たい風が吹き抜け、静寂の中にただならぬ緊張が漂っていた。その中心には、向かい合う二つの影――鷹津と鋼谷の姿があった。
「お前が…ゴーストバスターエースだって?」鷹津は笑みを浮かべながら問いかけた。彼の体には、淡いクラゲの光が宿っており、その霊的な輝きが彼を妖しげに彩っていた。
鋼谷は一瞬、鷹津の異様な気配に気圧されるも、すぐに鋭い視線で応じる。「ああ、お前こそこの都で何を企んでいる?」
鷹津は微笑を浮かべたまま、ゆっくりと右手を前に出し、クラゲと契約して得た異能の力を解放した。その瞬間、彼の手から青白い光が迸り、水中を漂う触手のように空中で揺らめき始めた。
「企み?ただ、都の秩序を少し揺さぶってやろうと思ってるだけさ…」彼は肩をすくめながら、鋼谷に向かって一歩踏み出した。「それに、今のお前には俺を止められないさ。この新しい力の前じゃ、どんな鎖も無意味だ。」
鋼谷は鷹津の挑発を受け、すかさず霊具「鉄鎖」を召喚。彼の手元に現れた鉄鎖は、鋼のような強固な輝きを放ち、まるで生き物のように鋭くうねり、鷹津に向かって一気に襲いかかった。
「なら、試してみろ!」鋼谷は叫び、鉄鎖を鷹津の方に叩きつけるように振りかざした。鉄鎖は空気を裂きながら鷹津に向かっていくが、彼は冷静に青白い霊の触手を使ってその攻撃を受け止め、鉄鎖の動きを絡め取るようにして封じてしまう。
「くっ…この力、まさか…!」鋼谷は驚愕の表情を浮かべた。
「驚いたか?このクラゲの霊の力は、あらゆる物理的干渉を緩和し、吸収する…」鷹津は口元に笑みを浮かべながら、さらに霊の触手を伸ばし、鋼谷の周囲を取り囲むように操った。
鋼谷は瞬時に状況を判断し、鉄鎖を引き戻しつつ体勢を整え、鷹津の触手の網から抜け出す隙を伺った。「なるほど、だが、俺は簡単にはやられんぞ!」
二人は攻防を繰り返し、廃工場の床がひび割れ、壁が崩れるほどの激しい戦いが繰り広げられた。鷹津の青白い光と鋼谷の鉄鎖の閃光が交差し、夜の闇を切り裂くように輝いた。
「霊が何者かは知らないが、傲慢さが命取りになるぞ!」鋼谷は息を切らしながら、力強く叫ぶ。彼は最後の一撃に賭け、全力で鉄鎖を鷹津に叩きつけようとする。
だが、鷹津は不敵な笑みを浮かべ、「甘いな…」と呟くと、クラゲの力で姿を霧状に変え、鋼谷の攻撃をするりと回避した。気づけば、鷹津は鋼谷のすぐ背後に立っていた。
「さらばだ、鋼谷。」鷹津が手を掲げたその時、再び触手が鋼谷を縛り上げようと伸びてくる。鋼谷は振り返りざま、必死に防御の態勢を取るが、限界が迫っていた。
しかし、ここで彼は、内に秘めた最後の力を引き出し、鉄鎖に全霊を込めた。「まだ終わっていない…!」彼は鉄鎖を一気に収縮させ、鷹津の触手ごと引き裂く勢いで攻撃する。
鷹津も予想していなかった鋼谷の意地に、初めて表情を強ばらせた。「なんだと…!」
次の瞬間、鉄鎖が鷹津の触手を断ち切り、二人の間に激しい衝撃が走った。廃工場の床が崩れ、埃が舞い上がり、二人の姿が霞んで見えなくなる。
静寂が戻った中、埃が晴れると、倒れ込む鋼谷と、立っている鷹津の姿があった。だが、鷹津の体もボロボロで、勝利の余韻に浸る余裕はなかった。
「まだ…生きてるか、さすがだな、ゴーストバスターのエースさんよ…」鷹津はかすれた声で呟きながら、その場を後にしようとする。
鋼谷は倒れながらも、彼に視線を向け、辛うじて息をつきながら呟いた。「鷹津…次は、逃がさないぞ…」
二人の戦いは、一時的な幕引きとなったが、互いの心にはさらなる決着への思いが宿っていた。