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ああ〜もう第3話読み終わったんだけど!?!?😭💕 氷衣ちゃんの内心のパニックと外面のスン…のギャップが可愛すぎて悶えた〜!王時くんとウォータークーラーで話すシーン、水飲みながら喋るところがアホ可愛すぎて私も笑ったわ🤣💗 沙那たちとお昼食べる約束できて、嬉しすぎて午後の授業全然集中できなかったっていう描写、わかるわかる〜!!新しい友達できるのってこんなに緊張するんだね🥺 白城くんへの課金しちゃう発言もツボ。次回のオリエンテーション合宿、どうなるのか楽しみすぎる!
なぜあんなにも高いのか…
と昨日のことを思い出しながら学校に向かう氷衣(ころも)。オリエンテーション合宿が近づいてきて
冷静に考えたら人に部屋着を見られるんだと思い、部屋着兼寝巻きを買いに行った。
一応ネットで調べた、ダサくもないけど目立たず
オシャレすぎないコーディネートを見て、いろいろなアパレルショップを巡った。
そしてハイブランド「Dressing the heart」のプチプライス店「Dressing the heart hands」へ行った。
レディース専門店ということもあり、可愛い服を多く扱っていた。
しかし元はハイブランド。いくらプチプライス店とはいえそこそこの値段がした。
…あぁ。モバイル版のオレトラ(「オレとトランプしよ?」の略称)に課金要素がなくてよかったぁ〜…
と思う氷衣。スマートフォン版の「オレとトランプしよ?」にはガチャ要素はない。
さらに広告もないので、非常に良心的なゲームなのである。
その分、神殿堂社のハード、Satisfy(サティスフィー)で複数本出している上、グッズの売り上げも好調
スマートフォン版はいい宣伝になるため、お金を取らなくてもいいのだ。
…。白城くんのためなら課金するけどなぁ〜…
氷衣のような人はおそらく破産まっしぐらなため
氷衣のためにはむしろ課金要素はなくてよかったのかもしれない。
氷衣は、“もし”スマートフォン版の「オレトラ」に課金要素があった?を想像する。
まず定番なのがガチャ要素。登場するキャラの1枚絵があたったり、スペシャルボイスがあたったりする。
そしてたまにあるのが、シナリオの解放。これはガチャとかではなく、シンプルに、ここまでは無料だが
ここから先のシナリオを解放するためには課金をしてください。的なやつだ。
これは通常のゲームでいうところの体験版のようなもので
無料でプレイできるシナリオで気に入らなければ課金せずにアンインストールすればいいし
気に入ったら課金してその先をプレイすればいい。
新章とか追加されないかなぁ〜…。白城くんの新章…。チョー見たい
ガチャかぁ〜…。たしかにお目当てが出ないとストレスエグいんだよなぁ〜…
「オレトラ」のグッズはカプセルトイまで展開されているため、もちろん氷衣は回しに行ったことがあるのだが
そもそもスマートフォン版の「オレトラ」はグッズ展開も少なく
カプセルトイもSatisfy版のシリーズのものだけ。
しかし氷衣は特にスマートフォン版の「オレトラ」にだけ固執しているわけではないので
各シリーズの王子様担当キャラを当てようとガチャを回した。
しかしオレ様キャラ、クールキャラが出まくった。これが俗に言うところの物欲センサーというやつである。
こういうガチャ要素のあるもの、たとえばボックス、箱型のもの。
そのパッケージの作品のフィギュアが入ってたりするものは
基本的にボックス買い、1ボックス12箱入りの1ボックスを買えば、だいたいの場合コンプリートできるのだが
たまにコミックの購入者特典、映画の入場者特典でランダムのものがあったりする。
コミックの購入者特典で、店員さん側が特典を確認できる場合
優しい店員さんであれば、コミック購入数に応じて別の特典をつけてくれる。
しかし、たまに銀色の袋に特典が入っている場合があり、その場合は店員さんがいくら優しくても
コミック購入数に応じて別の特典をつけてくれる、なんてことは起こらない。というかできない。
それは映画の入場者特典も同じ。何回観ても特典を渡してくれる人が覚えているわけないし
覚えていたとしても映画の入場者特典は中身が見えない完全ランダムの場合が多いので
たとえば6種類あったとして、6回観に行ってもコンプリートできるわけではない。
そこで界隈の人が集まるのがSNS。SNSにて
「○○(当たったキャラ名)が当たりました。
もし○○(自分の欲しいキャラ名)を持ってらっしゃる方で
交換してもいいよ。というお優しい方がいらっしゃいましたらDMください」
などと投稿したりして、なんなら自分が欲しいキャラと交換して欲しがっている人がいないか検索をしてみたり
上映されていた映画館の周辺や、池袋のAnimania(アニマニア)の場合はすぐ近くにある公園などに集まり
交換会的なものが行われている。
なのでランダムで自分のお目当てが当たらなかったとしても、現代では割と簡単に手に入る。
しかしご存じの通り、人と関わるのが苦手な氷衣は
永遠とお目当てのキャラ、王子様担当キャラが出るまで引き続けた。
ま、お目当てのキャラ出ないとストレスエグいけど
急にお目当てのキャラが現れたときの驚きと幸福感はハンパないからなぁ〜…
とギャンブラーが脳汁出たときみたいなことを思う氷衣。「急に現れた」という点で昨日のことを思い出す。
パジャマを買おうと訪れたモールでたまたま王時(おうじ)と出会した。
…。…あれはなんだったのだろうか…
と思う氷衣。
「室城浜(むろばま)さんの笑顔見るの日課にしよーと思って」
そう言う王時の姿を思い出す。
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日課?私の笑顔を見るのを?なぜ?おもしろいから?あぁ、おもしろいからか。…おもしろい?
笑顔ヤバいくらいブスなのに?あぁ。笑顔がブスだからおもしろいのか。
こんな笑顔がブスな人間珍しいなって。…。ま、茶礼(さら)くんはそんなこと思う人ではないと思うけど…
なんて頭の中なのにフォローを入れたりしながら考えていると学校についた。
いつもは校門から入った時点で憂鬱なのだが、この日はそこまで憂鬱に思わなかった。
オリエンテーション合宿で同じ部屋に泊まる沙那(さな)や夏、恵流(える)と
少しだけ仲良くなれたからかもしれない。教室に入ると沙那が気づいて手を振って
「おはよー」
と言ってくれた。しかし氷衣はワイヤレスイヤホンをしていたので聞こえずペコペコした。
沙那が手を振って「おはよー」と言ったので、夏も振り返り氷衣に気づき
「おぉ!おっはー!」
と言ったが、夏の声も聞こえず、ペコペコする。恵流も軽く手を挙げた。
なので恵流にもペコペコする氷衣。自分の席に行く。
「おっはよぉ〜!」
夏の大きな声がワイヤレスイヤホン越しにも聞こえ
「あ」
と言いながらワイヤレスイヤホンを外し
「お、おは、おはようございます」
と挨拶をした。
「堅いなぁ〜」
と笑う夏。
「もっと恵流を見習って「ふぇぇ〜」みたいな感じでさ」
と言う夏に
「どんな感じだ」
とローテンションでツッコむ恵流。
「無理にとは言わないけど、オリエンテーション合宿までにもう少し仲良くなれたら私も嬉しいかも」
と言う沙那に嬉しくなる氷衣。しかしその嬉しさは一切顔には出ていない。
「あ、ありがとうございます」
「嫌だったらいいんだけど、今日お昼一緒に食べない?」
「え。あ、…。いいんですか?」
「もちろん。ね?」
と沙那が夏や恵流に聞くと
「もちろんもちろん!」
と言う夏と
「ま、私はいいけど」
と言う恵流。
「じゃ決定ぇ〜!今日は一緒にご飯だねぇ〜」
と言う夏。そんな話をしていたら担任の先生が入ってきた。
まだホームルームが始まるというわけではないのだが
「じゃ、また後でねぇ〜」
と言いながら自分の席へ行く夏。
「また後でね」
「じゃ」
と沙那と恵流も自分の席へ行った。相変わらず氷の像のように無表情な氷衣だったが
今日…。え?お昼、鹿雨(しかざめ)さんたちと?え。え。え?
と自身で了承したはずなのに内心パニックになっていた。
すると先生がホームルームを始めると言うのでモナが席に戻ってきた。
「おはよぉ〜」
と氷衣のほうを向いて言うモナ。
「あ、あ。お、はようございます」
「オリエンテーション合宿近づいてきたねぇ〜」
「で、ですね」
「肝試しで室城浜さん脅かすから覚悟しておいてよぉ〜?」
「あ、はい」
「うわぁーよゆーそー」
「いえ。そんなことは…」
「室城浜さんの驚き顔見たんねん」
と意気込むモナに
…なぜ?
と思う氷衣。朝のホームルームが始まる。そして1時間目の授業が始まる。
そして体育の時間が訪れた。女子はグランドで陸上競技、男子は体育館でバスケ。
「王時!パス!」
「うい」
「おい、取られてんじゃねぇよ、アホ昇有(のあ)」
「うるせぇアホ聖最(せい)」
「またやってる」
「あいつら幼馴染くらい仲良いよな」
「…仲…良いのか?」
なんて話しながらバスケをしていた王時たち。王時たちのチームの試合が終わり
「ふうぅ〜…。なんとか勝ったな」
「いやぁ〜、昇有のシュートバンバン入ってたな」
「まあな。聖最のナイスアシストのお陰だけどな」
グータッチをする昇有と聖最。
「やっぱ仲良いね」
「だな」
と言う宣透(せんと)と騎人(ないと)。
一方グランドの女子たちは、陸上競技、走り高跳びや50メートル走など、各自がしたい種目をやっていた。
「モナちゃんいっちょ飛んじゃって」
と言う幸乃萌(このえ)に
「モナちゃんいっちょ飛んじゃうよ」
と言いながら走っていくモナ。そのままベリーロールでバーを越えたモナ。
「しゃーおらー!」
「ナイスモナ!ナイモナ!」
という2人を日陰から見るなのと凪友(なゆ)。
「ナイモナて」
「一文字略すなよな」
「ほんとそれ。マジのこと「マ」とかいうやつもマジキモい」
「それな。わかる」
とローテンションながらに意気投合していた。
「夏行きまーす!」
と手を挙げる夏。そして50メートルを全力ダッシュする。
夏がゴールしたと同時に表情を一切変えずにストップウォッチを止める恵流。
「…。…どお?…でした…?」
息を切らしながら恵流に聞く夏。無言でストップウォッチの表示を見る恵流。
「…8秒72」
「おぉ!…。で?どうなの?…早いの?」
「知らん」
「なんじゃい…」
「室城浜さんは中学のとき足早いほうだった?」
と日陰で氷衣に聞く沙那。
「あ、いえ。なんというか、遅くもなく、…という感じでした」
「あ、そうなんだ。私足遅いから羨ましいよ」
「いっ、いえ全然。羨ましがられるものでは…」
と言いながら思い出した。中学生のとき、なぜ50メートル走のタイムで平均的なポジションにいたのかを。
〜
それは中学1年生のとき。氷衣がまだ明るく活発な女の子だった中学1年生のとき。
そのときの体力測定では、50メートル走、平均より早いタイムを叩き出していた。
しかし走るとき、なるべく早いタイムを出したいと思い、すごい形相をしていた。
そして2年生になる頃には、現在と同じ氷の像のように表情を表に出さない氷衣になっており
走るときも表情を崩さないように心がけていた。表情を崩さないとなると速く走りづらい。
さらに速く走ったら走ったで注目されるし、遅かったら遅かったで変に注目される。
なので氷衣の中の最良の選択というのが、誰にも注目されない、平均的なタイムに留まることだったのだ。
〜
そんなことを思い出して胸が痛んだ。
「すっ、すいません。ちょっと水飲んできます…」
と言って立ち上がる氷衣。
「あ、うん」
氷衣が近くのウォータークーラーのある場所に行くと
ピンク黄色の髪の後ろ姿が水を飲んでいた。王時だった。
「ふぅ〜…あぁ…。召されそう…」
と水を飲んでから顔を上げて言う王時に
え。“生き返る”ではなくて?
と思う氷衣。ふと振り返り、氷衣を視認し
「お!室城浜さん!」
と笑顔で言う王時。
「あ、あ、どうも」
とぺこりと頭を下げる氷衣。
「あ、飲む?どうぞ」
と王時が譲る。
「あ、すいません」
と申し訳なさそうにウォータークーラーに近づき、特に水を飲みたかったわけではないが
譲ってくれたので一応水を飲む氷衣。
「女子ってなにしてんの?」
と聞く王時に
「なに」
と一度水を飲むのをやめて呟く氷衣。
「校庭で、体育。オレらは陸上やってるけど」
「あ、女子も同じです。陸上競技を…」
「あ!そうなんだ?え、じゃあ室城浜さんもあれ飛んだりするの?ハードルみたいなやつ」
と言う王時に
ハードルみたいなやつ?
と考える氷衣。しかし現在グランドでやっている“飛ぶ”ものといったら走り高跳びしかない。
なので
「あ、え、はい。飛び、ました」
と答える。
「お、へぇ〜。見てみたかった」
と言う王時に
…。なぜ?
と思う氷衣。氷衣が水を飲み終え、戻ろうと思った氷衣だったが
「もう少し話してかない?」
王時からそう言われて考える。
「オレのサボりに付き合ってよ」
と笑顔で言う王時。そもそも過去の嫌なことを思い出してグラウンドから離れたくて
ついでに水を飲みにきた。だからもう少しくらいいいかと思った。
「わ、私でよければ」
「やった」
と喜ぶ王時。氷衣は縁に座る。王時も氷衣の斜め向かいに座った。
「いや、1人でサボってもつまんないじゃん?」
「そ、そうなんですか」
「うん。あ、室城浜さんサボったことないか」
「あ、は、はい」
「勉強好き?」
「…好き、では、ないですね」
「あ、そうなんだ?意外」
「そうですか。なんかすいません」と言わんばかりにペコッっと頭を下げる氷衣。
「あれは?運動は?得意?」
「と、得意でもなければ」
「苦手でもない?」
コクンと頷く氷衣。
「へえぇ〜。まっ、たしかに卒なくこなしそうだよね」
「いえ…。そんなことは…」
「足とか速そう。オレといい勝負だったりして」
と笑う王時。
女子の早いほうと男子の早いほうってどれくらい差があるんだろう…
と考える氷衣。そして名前を「さん付け」で呼ぶべきか「くん」でいいのかわからず
「ど、どれくらいの早さかわからないので」
と名前を呼ばずに話を進めた。
「…。あ、オレがね?そっかそっか」
「ただ、ちゅ、中学生のときは割と、早いほうだったかと…」
「おぉ」
「でも、今は…あれなので…」
「ん?苦手になった感じ?」
「…あ、。まぁ…、はい」
「へえぇ〜」
「すいません…」
「え?なんで謝るの?」
「い、いや、なんかつまらなくて…」
「いや?全然楽しいけど」
と平然と言う王時に
どこが
と思う氷衣。
「それに苦手になるものなんて誰でもあるでしょ。
オレだって小さい頃虫喜んで捕まえてたけど今マジで無理だもん。バッタですら無理」
と想像して眉間に皺を寄せて言う王時に、思わず口角が緩む氷衣。
「でも体育祭とかで室城浜さん、ガチで走らないといけない状況とか出てくるかもよ?」
「え、ど、どんな状況でしょうか」
「え?あ、んん〜…。たとえば室城浜さんがアンカーで、2位でバトン渡される。とか」
「あぁ…。でも、アンカーって足速い人に任せられませんか?」
と言う氷衣。
「うん。だから、足速い室城浜さんに声かかるかもじゃん?」
「…。でも私、高校では全然なので声はかからないかと…。
もっと速い方いるので、その方にお声がかかるのではないかと…」
と言う氷衣に、斜め上を見て考え
「…たしかに」
と言う王時。
「そっか。もっと速い子いたらアンカーにはならないか」
「かと…」
「そっかそっか。じゃ、今度オレと勝負する?」
と言う王時に
…なぜ
と思う氷衣。
「意味わからんか」
と自分で気づく王時。
「アイスとかかける?」
と言う王時に
だからなぜに?
と思う氷衣。
「アイスなにが好き?バニラとか抹茶とか」
「ま、抹茶ですかね」
「おぉ〜。渋いね。オレも好きだけど。でも夏とかさ?ソーダ系のアイスよくない?」
「たしかに。夏は私もソーダとかのアイス食べるかもです」
「だよね!?気ぃ合うじゃん」
「そうですか?」と言うのもダメだと思ったし
「そうですね」も「何様?」と思われるかもしれないと思った氷衣は
頷きとも首を傾げているとも取れるように斜めに頷く。
「かき氷は?何味派?」
「かき氷…。レ、レモンでしょうか」
「おぉ〜。これまた渋い。いや、味は渋くないけどチョイスがね?」
「そ、そうですか?」
「ま、オレもレモン好きだけどさ」
と言いながらウォータークーラーに近づいて水を出し、水を飲もうとして
「あおぉええぇ(訳:あれって)」
思い出したことがあって氷衣のほうに顔を向け喋り出したら
一度口に水が入り、そのまま口から水を出ながら喋るという
温泉のお湯が出る部分が喋ってるみたいな形になった。
そのアホな光景に思わず笑ってしまった氷衣。その笑顔を見て
お。今日の笑顔獲得
と思う王時。氷衣は笑ってしまったことに気づいて、またスンと元の無表情に戻る。
「あれ?なに言おうとしたんだっけ」
と氷衣の笑顔で一瞬飛んだが
「あぁそうだ。あれって全部同じ味ってマジ?」
思い出して聞く王時。
「ど、どうなんでしょうか。聞きますけど」
「聞くよね。あれなんで味違く感じんの?てか違うでしょ」
「おそらく香料の違いかと…」
「コーリョー?」
「あ、か、香りのことです」
「あぁ!香料ね!はいはい。なのかな?香りで味も違ってみえんのかな」
と言う王時に
みえる?
と思う氷衣。すると体育館から昇有が出て来て
「あぁ、いたいた」
と王時を発見して言う。そして氷衣も目に入り
「あれ?もしやお邪魔だった?」
と言う。
「うん。お邪魔だった」
と言う王時に
へ?
と思う氷衣。
「なに」
「いや試合。次」
「あぁ〜…めんど」
と言いながら重い腰を上げるようにゆっくり立ち上がり体育館のほうに行く王時。途中で振り返り
「室城浜さん、ありがと、付き合ってくれて。またね」
と言って体育館へ行った。氷衣も「こちらこそありがとうございます」とかなにか言おうとしたのだが
王時は昇有と話しながら体育館へ行ってしまいなにも言えなかった。
その後氷衣もグランドに戻り、体育の授業が終わりお昼ご飯の時間となった。
氷衣は約束通り、沙那と夏と恵流と一緒にお昼ご飯を食べることになった。
「いっよいっよ、来週だっねっ」
リズミカルに言う夏。
「だねぇ〜」
と笑顔で言う沙那。
「たっのっしっみっだっねっ。恵流っ」
「楽シミダネー」
「おい。棒読みぃ〜」
と戯れる恵流と夏。
「楽しみだね、室城浜(むろばま)さん」
と氷衣に言う沙那。
「あっ、は、はい」
「室城浜さんっていっつもどこで食べてんの?」
と夏が聞く。すると恵流が夏の足を蹴る。
「いてっ。なに」
と聞くが恵流はスンとしている。
「え、あ、い、いつもは、芝のところで座って食べてます」
と言う氷衣。表情は変えないがホッっとする恵流。
「そっか。この学校芝多いもんね」
と言う沙那に
「自然溢れる高校に偽りなしだね」
と言う夏。
「よく覚えてんな。学校のキャッチコピー的なの」
と言う恵流。
「え?」
「真面目が出てる」
「はいぃ〜?真面目じゃないですぅ〜。陽キャ全開ですぅ〜」
「いや、陽キャだって真面目いるでしょ」
「いない」
「失礼すぎる」
なんていう夏と恵流のやり取りの中ご飯を食べる氷衣。
沙那は少し氷衣のほうにイスを寄せて、夏と恵流が話す中、氷衣に話す。
「いつもこんな感じなんだ」
「そっ、そうなんですね」
「割と恵流がツッコミなことが多いかな」
「そ、そうなんですね」
「キャラ的には私がツッコミ役だよね」
と笑う沙那。
「たぶん私が一番真面目だしね。あ、この3人の中ならね?氷衣さんより真面目かどうかは自信ないし」
と笑う沙那に、「いえいえ。私は真面目では」と言うように首を振る氷衣。
「でもたしかにありがたいよね。グランドも芝だし、結構いろんなとこ芝だよね。道以外」
「で、ですね」
「でも雨の日の次の日とかはさすがに外で食べる?」
「い、いえ。雨の日以外は、基本的に外で、す」
「そうなんだ?でも芝濡れてない?」
「は、はい。な、なので、タオルをベンチに敷いて座ってます」
「なるほど。でもベンチとか上級生が座ってるイメージだけど」
「はい。ただ、雨の次の日は、さすがに避けてるみたいで」
「あぁそっか」
「はい。なので空いてるときがほとんどで」
「なるほどね。いつもは芝に座りつつ、雨の次の日とかはベンチなんだ?」
「はい」
「へえぇ〜。今度そのベンチとかいつもどこで食べてるかとか教えて?そこで食べてみたいかも」
と言う沙那に
「たしかに」
と同意する夏。恵流はなにも言わなかったが、「別にいいんでね」みたいな表情をしていた。
そんなこんなで氷衣の高校生活初の誰かとのお昼ご飯の時間が終わった。
午後の授業、表情には出ていないが、嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
緊張してうまく話せていなかったのではないだろうか。とか
もう少し砕けた口調でもよかったのではないか。とか、いやでも、砕けた口調とか失礼なのではないか。とか
もっとユーモアを出せば笑ってくれたかもしれない。とか
でも私ごときのユーモアで笑ってはくれないか。
皆さん優しいから愛想笑いくらいはしてくれただろうけど。とか
そんなことをぐるぐる考え、珍しく午後の授業丸々集中していなかった。
表情だけは集中しているような表情だったが。
そんなこんなで帰りのホームルームとなり、ホームルームが終わると帰る生徒
教室内で喋る生徒、部活へ行く生徒とそれぞれで教室内が騒がしくなる。
氷衣が帰ろうと教室を出ようとすると
「あ、室城浜さん、またねぇ〜!また来週!」
と言う夏や
「室城浜さん、また来週」
と言う沙那、その2人の近くで手を振る恵流。そんな3人にぺこぺこ頭を下げ
「お!室城浜さぁ〜ん。まったらっいしゅー」
と言うモナにも頭を下げて教室を出た。
表情には出ていないが、少しだけ変わった高校生活に、めちゃくちゃ嬉しく感じていた。
「じゃ、卓球トーナメントだなー」
と言う聖最(せい)。
「多目的ホールへGoー!」
と言う昇有。そんな昇有に
「あ、オレのバッグ持ってって。オレコンビニ行ってくる」
と言う王時。
「あ、オレ四ツ葉サイダー」
と言う聖最に
「あーはいはい。宣透(せんと)も騎人(ないと)もなんかあればLIMEして」
と言いながら教室を出て行った王時。氷衣が昇降口から出て少し歩くと、肩をポンポンと叩かれる。
振り返ると笑顔の王時がいた。氷衣はワイヤレスイヤホンを取る。
「あ、はっ、はい。なんでしょうか」
「ん?いやぁ〜、なんとなく?帰るんでしょ?歩きながら話そーよ」
と言いながら歩く王時。
「いよいよ来週だね。オリエンテーション合宿」
「はっ、はい」
「楽しみだね」
「は、はい」
「夜恋バナとかすんの?」
「いや、わ、わかりません」
「そっかー。聞きたいなー、室城浜さんの恋バナ」
と言う王時に
…私の恋バナ?恋とか無縁ですがなにか?
と思う氷衣。
いや、でも今は白城くんがいるからなぁ〜。でも話したらドン引きされるんだろうなぁ〜。
とも思う。そんな風に一見仲良さそうに並んで歩いているのを教室の窓から見ていたモナ。
「モナー」
と幸乃萌(このえ)に呼ばれ
「ん?あぁ、換気、しまぁ〜す」
と言って窓を開けた。